- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/11/16
- メディア: 文庫
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科学者・真賀田四季。幼くして発現する、真の天才。圧倒的人気のカリスマ、真賀田四季の物語、第1弾。天才科学者・真賀田四季(まがたしき)。彼女は5歳になるまでに語学を、6歳には数学と物理をマスタ、一流のエンジニアになった。すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考するその能力に人々は魅了される。あらゆる概念にとらわれぬ知性が遭遇した殺人事件は、彼女にどんな影響を与えたのか。圧倒的人気の4部作、第1弾。
この作品は4部作で1作品と考えたほうがいいと思います。後述の『四季 夏』・『四季 秋』・『四季 冬』の全て読んで1作品。
ネタバレなしに感想を書くのはすごく難しい作品なので、気付かないうちにネタバレしてたら、すいません。これまでの作品を未読の方は読まないのが賢明かも。この作品は真賀田四季の生まれた時から、13歳ぐらいまでを描いた作品。密室殺人に透明人間の正体の解明と、ミステリとしても読めるんですがそれは付属品みたいなもの。やっぱり大事なのは真賀田四季という存在。この四季4部作は、ファンのための本という解釈が大方のようです。だから1冊の本としては不満も多い。しかし、この「春」に関しては単純に、彼女の思考が垣間見れて、とても楽しかったです。真賀田四季のどこが天才であったのか、というのが分かってよかった。コンピュータとして考えれば理解ができる。彼女は膨大な記憶容量と処理能力を持った人間であったと考えれば、私にもその能力の一端が理解できた気がしました。其志雄という人格が生まれた理由も納得。一番興味深く読んだのは、四季の能力に年齢が追いつかないという描写。彼女に出来る事、したい事が年齢という壁に阻まれていること、そしてそれに彼女が焦れていることが面白かった。早熟、というよりも既に完成された天才は、自分の身体と周りのくだらない常識に縛られることで、初めて自分の身体に不自由を感じるのでしょう。