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レベル7(セブン) (新潮文庫)

レベル7(セブン) (新潮文庫)

レベル7まで行ったら戻れない。謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと自分たちが何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけない凶悪な殺人事件へと導いていく。ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間。気鋭のミステリー作家が放つ力作長編。


『四日間の奇蹟』ならぬ「四日間の追跡」。消えた少女を追う女性と、消えた記憶を追う男女。やがて二組の調査は、ある場所、ある事件にたどり着く…。
宮部みゆきは読者にページを捲らせる。改めてプロットと話の運びの上手さに舌を巻きながらページを捲った。本書でいえば男が目覚めて記憶喪失と自覚し、更に同じベッドで寝ていた女も同じく記憶を失くしたと判明する場面。そして部屋から発見される拳銃と大金。この怒涛の展開を、作者は一気呵成に、だが丁寧な筆致で登場人物と同じ視点・速度で読者に状況を把握させる。このシンクロが起これば、もう結末まで読まずにはいられない。宮部みゆき恐るべし。また、4日間で事件が解決する、と分かっている点も作品のスピード感を維持していると思う。もちろん展開の速さだけでなく、人情の機微・家族の繋がり・信頼関係などでも読ませるのだ。
記憶喪失の男女の隣人の、怪しすぎる男・三枝も物語を牽引する。彼は歩行時に右足を引きずっているのだが、「あれ、前にも…」「あれ、ここにも…」と読者を混乱させる。この物語への彼の参入は偶然か必然か。終盤に明かされる彼の様々な秘密、物語の驚きの多くは彼によってもたらされる。オイシイ男である。
読書中思ったのは、同じく宮部作品の『魔術はささやく』に似てる、という事。どうやら初期の頃の宮部さんは超能力・超心理的な作品が多いみたい。非現実的で本格ミステリファンには好まれないかもしれないが、それでも『ツイストに次ぐツイスト』は広義のミステリとして面白い。その波乱の展開をしっかり支える土台の強さが宮部さんの力。また、目覚めたら記憶が消えているという場面は洋画「エターナル・サンシャイン」を連想した。記憶を消す手法もちょっとだけ似ている。
15年以上前の作品なので、この時代の好景気を思わせるバブリーな描写がいくつかあった。あの別荘地の計画は「あの事件」が起きなかったとしても失敗したんじゃないかとか、今も「ネバーランド」は存続しているのだろうか、とか考えた。他には、短いながら他の宮部作品の登場人物の登場が嬉しかった。

レベル7レベルセブン   読了日:2006年11月17日