- 作者: 舞城王太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/04/15
- メディア: 文庫
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15歳の僕と14歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験、そんな10代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。鮮烈!新青春エンタ!!
待ちに待った新作。今回の主人公は「ルンババ12」こと番場潤二郎。順番的には二郎だと思ったのだけれど…。しかも話は三郎・ルンババが中三の時、つまり過去のお話になってる。ルンババ好きの私には、ルンババは本当に名探偵だったということが分かっただけでも満足な一冊です。そして、やっぱり舞城王太郎はスゴイのかも!と改めて思った(ちょっと疑っていた)。特に講談社ノベルス20周年の密室本企画だけに密室縛りのミステリだけども、その中でも凄かった。クイズみたいではあるが、真相が分かった瞬間には、おぉ〜、と唸りを上げました。これだけでも凄いミステリなのだけど、そんなことは、隅に置いてしまうような物語であるところがすごい所。
今回も展開は滅茶苦茶、破天荒な感じなんだけれども、どこか悲哀を感じさせる一冊。奈津川家の場合も、番場家の場合も「家族」をいう単位をとても大事にしているからなのだろうか。どんだけ人が殺されていても、暴力が描かれようとも、何か根底にペーソス(?)見たいなものを感じるのです。突拍子もないけれど、大事なものを見つめているこの人達が私は好きです。思わずジン、ときてしまうのだ。