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煙か土か食い物 (講談社文庫)

煙か土か食い物 (講談社文庫)

腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!故郷に戻った四郎を待つ血と暴力に彩られた凄絶なドラマ。破格の物語世界とスピード感あふれる文体で著者が衝撃デビューを飾った第19回メフィスト賞受賞作。


いやいや痛快、痛快! 普通のミステリだったら、1冊丸々使って、どうだスゴイだろ!と自信満々に披露するような渾身のトリックも最初の100ページで全て解いてしまった。しかも名探偵役の「ルンババ12」もいるのに、それと同時にトリックを解いてしまう主人公・奈津川四郎。その展開にただただ圧倒されるばかり。いや〜、テンポの良い話でした。最初は少し暴力的な文章に抵抗があったのだけれど、これが奈津川家を上手く表している。両親と4兄弟、どの人も個性あるキャラクタが出来上がっていて、次作『暗闇の中で子供』奈津川家の話だと知ったときは嬉しかった。すごくキャラクタの濃い、そして情に厚い家族の話でもあります。時に激しく、時に静かに、しかし確実に心揺さぶられます。
と、私には痛快な話でしたが、好き嫌いの分かれる作家さんであり作品だと思います。色々と電波が飛びかっている作品ですもの。本格ミステリのガチガチな作品よりも痛快ですが、本格では許されないような突飛な話だと覚悟して読んだほうがダメージが少ないと思います。取り扱い要注意の作品です。

煙か土か食い物けむりかつちかくいもの   読了日:2002年01月12日