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ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)

ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)

敏腕広告プランナー・佐久間は、クライアントの重役・葛城にプロジェクトを潰された。葛城邸に出向いた彼は、家出してきた葛城の娘と出会う。“ゲームの達人”を自称する葛城に、二人はプライドをかけた勝負を挑む。娘を人質にした狂言誘拐。携帯電話、インターネットを駆使し、身代金三億円の奪取を狙う。犯人側の視点のみで描く、鮮烈なノンストップ・ミステリー。


良くも悪くも青年誌の連載だったということが見え隠れする作品。主人公はいわゆる「出来る男」。私はこういう男好きじゃないですね。絶対ナルシストだと思うし。自分が一番だと信じて疑ってない。自信家の男が起こす完璧な誘拐劇、そこが味噌なんですけどね。作中に出てくる「青春のマスク」というゲームもどうかと思う。誰も買わないよ。こういう世界を理想にする男も世にはいるってことで…。
と、主人公の男がすっごい嫌いなんですが、それ以外はとても満足のいく作品。現代の機器を使った現代の誘拐劇。「誘拐」をとてもスタイリッシュに描いた、しかも犯人側から、というだけでもかなりいい。なるほど犯人側からは誘拐というのは、こうも忙しく緊張する作業なのか、と妙なところで納得。ラストは東野さんらしい伏線による衝撃的な結末。一瞬で脳内の構図が変化した。最後の最後まで目を奪われます。

ゲームの名は誘拐ゲームのなはゆうかい   読了日:2003年10月15日