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大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない。雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。…時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。三人組と柳川としの熱い日々が始まる! 第32回日本推理作家協会賞長篇賞受賞作。


冒頭の刑務所から出所して犯罪を企てる3人の描写で、泥臭い!この小説苦手かも、なんて思ってしまった。が、しかし柳川刀自が作品に参加してからその色はガラリと変わる。泥臭い3人組と凛とした刀自との対比が、面白さを倍増させてきます。3人が計画した「誘拐」3人が現実に実行した「誘拐」をコミカルに描いて非常に読みやすい作品になっています。原作は2,30年も前のものなんで設定が古い部分はありますが、どなたかの名言ではありませんが、「いや〜、名作はいつ見てもいいもんですね〜」そのままの古典的の大傑作だと思います。

大誘拐だいゆうかい   読了日:2003年05月16日