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強運の持ち主 (文春文庫)

強運の持ち主 (文春文庫)

元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押す。父と母のどちらを選ぶべき?という小学生男子や、占いが何度外れても訪れる女子高生、物事のおしまいが見えるという青年…。じんわり優しく温かい著者の世界が詰まった一冊。


占い師を名乗っているにも関わらず、占いを使わずに直感だけで訪問客の悩みに答えていくルイーズ吉田。これでは占い師というより相談士だ。しかし彼女は口八丁手八丁、訪問客を納得させるだけの技術・話術がある。本書には、そんな彼女でも困ってしまった4つの相談事・エピソードが掲載されている。それは彼女が占い師として、また人間としても一回り大きくなる成長の物語でもある。
自分が心配事に左右されない安定(恋人・人間関係)を持っているから、人の相談に快活に答えられるのが彼女の大きなアドバンテージなのだろう。
ただ苦手だったのはルイーズの性格。彼女は普段は占いを裏切っているのに(ウラがナイのに…)、自分が困った時だけ占いに頼る。どうしても自己中心的にしか見えなかった。自分以外の悲しみは意に介さない冷淡な感じがして嫌。それに話が結局、恋人・通彦との恋愛に終始しているのもなぁ。ハイハイ、お幸せに、と思う私は冷淡? 瀬尾まいこ作品の恋人ってどうも苦手。主体性がないというか…。

  • ニベア」…お父さんとお母さんとどちらを選ぶべきか、占いで決めてくれという少年。その重すぎる相談にルイーズは…。占い師という安楽椅子型の職業なのに、靴底をすり減らして調査をするルイーズ。しかし彼女には推理力・想像力というものが全く無かった…(苦笑) もどかしいけれど、不器用な優しさが微笑ましい話。
  • 「ファミリーセンター」…ある異性の目を自分に惹きつけたい、と占いにきた女子高生。しかし彼女の言動は、やけに冷静で…。これも早々に察しがつく。そういう話(ミステリ)ではないのは分かっているが物足りない。今回は完全に占いではなく相談。でも生活感漂う相談と解決がルイーズ独自の「占い」なのだろう。
  • 「おしまい予言」…物事の終末が見えるという大学生の武田くん。彼はルイーズに暫時のアシスタントを頼み込むが…。よく言われるように終わりは始まりでもある訳で、悪い事ばかりでもないみたい。武田君の言動は、ルイーズ奪取の手段ではなかったのか…。恋は盲目、鰯の頭も信心から(?) 見せつけられた気分。
  • 「強運の持ち主」…新アシスタントも雇い、一人の時は知らなかった毎日が始まる。だが恋人・通彦には暗い影が…!? 前回と同じ話。見せつけられた気分パート2。最初から起伏に乏しい話ではあったが、最後は同じコースをもう一周するとは。ルイーズの学習能力は皆無…。どの話も良い話なのですが、心に残らない。

強運の持ち主きょううんのもちぬし   読了日:2006年11月12日