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図書館の神様 (ちくま文庫)

図書館の神様 (ちくま文庫)

主人公は、清く正しい青春をバレーボールに捧げてきた、その名も清(きよ)。あることがきっかけで、夢をあきらめて教師になるべく、海の見える中学校に赴任する(教員採用試験に受かっておらず、臨時雇いではあるが)。そこで、思いがけず文芸部の顧問となった清に訪れた変化とは……。「卵の緒」で坊っちゃん文学賞を受賞した瀬尾まいこの、デビュー第2作。大幅にファンを増やした評判作の、待望の文庫化。単行本未収録の幻の短篇「雲行き」も収録。


主人公は清でなくてはならない。けど、主人公が清じゃなければいいのに!
物語上しょうがないけれど清の性格が馴染まない。他人の価値観を簡単に否定する人格が許せない。ヤル気のない講師である清が、全く興味の無い文芸部の顧問になって、たった一人の部員である垣内君との交流を通して教師として人間として再び歩み出していくというストーリーなのは最初の30ページで見当がつく。だから清はその流れのための性格設定でないといけないのは分かる。だけど新米教師とはいえ、20歳を過ぎた人間はもう少し様々な価値観を持っていてもいいのではないか?と思わずにいられない。清の過去なら尚更である。でも、感想は…
面白い。やっぱり垣内君、最高。内容も本好きの心をつかんで離さない。ちょっと見え透き過ぎだと思うけど。後半の清の授業は是非とも受けたいし、文芸部にも入りたい、いやこの図書館に入るだけでもいい。清と垣内君の会話、清の変化の描写はさすが瀬尾まいこだと思った。物語の冒頭から最後まで無駄な贅肉がない、けれども適度に筋肉のある理想体型の小説はさすが瀬尾まいこだ。私的に浅見さんは最悪であるけれど。この手の人は不倫が本気になる気もするが、引き返し可能な場所で留まるのがこの男の本性である。弟・拓実もいいけれど姉弟だから当たり前な部分もある。やっぱり垣内君だ(笑)垣内君は清の性格や教師が適職だという事を見抜いていた。別れの場面が淡々としてて逆に悲しみを誘った。自分が精神年齢の高い子供ではなかったから、こういう人生を送る人が好きだ。一生かけてもなれないけれど、こういう人と出会える小説はやっぱりいいものだ。自己弁護かもしれないけれど、たまにこうやって本を読むことが肯定されると(誰も否定しないが)嬉しい。また新たな出会いを求めるぞ!という気持ちになる。この本は、本だけではなくて色々な新たな出会いが楽しみになる本である。

図書館の神様としょかんのかみさま   読了日:2005年03月02日