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卵の緒 (新潮文庫)

卵の緒 (新潮文庫)

僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。代わりに卵の殻を見せて、僕を卵で産んだなんて言う。それでも、母さんは誰よりも僕を愛してくれる。「親子」の強く確かな絆を描く表題作。家庭の事情から、二人きりで暮らすことになった異母姉弟。初めて会う二人はぎくしゃくしていたが、やがて心を触れ合わせていく(「7's blood」)。優しい気持ちになれる感動の作品集。


久々に完璧な小説に出会った気分。人は本当に美味しい物を食べると笑うしかない、と言いますが、本当にいい小説を読んでいると顔が笑っています。自分がこの本を心から好きでたまらないのが分かる。何が良いと言えば登場人物たちである。登場人物が少ないながら世界がもう完璧に出来上がっている。これは見事。お洒落な会話というのはこういうものだ。狙いすぎてなくていい。とてもとても好きだ。瀬尾まいこさんは評判通りすごい人だった。もうファンです。

  • 「卵の緒」…表題作。あらすじ参照。2編の内でどちらが優れていると言えばやっぱり断然こちら。70ページに凝縮された世界。すごい力で引き込まれる。短いのに心は満腹。登場人物のキャラクタ・設定・構成・背景が素晴らしい。育生も母も素敵だが、朝ちゃんも池内くんも素敵でたまらない。誰が好きとかじゃない、誰も好き。展開も完璧だと思う。短い中で話題にされたものが後になって重要な意味をもってくる。小説ってこういうものだ、と久々に感激。こういうのをもっと読みたい。
  • 「7's blood」…高校生の七子と小学生の七生の二人は腹違いの姉弟。七子の母親は入院、七生の母親の傷害事件で刑務所へ。二人きりの生活が始まる。悪くはないんですが「卵の緒」が完璧で、2話続けて同じような話という構成上の問題からどうも印象が悪い。でも終盤はかなり好きです。七子のキャラクタがいまいち分からなかったし、島津くんとの関係ももう少し追って欲しかった。七子と七生が段々と距離を縮めて「家族」になっていく過程は面白かった。七生は私の中では天才子役・神木隆之介くん。万が一、映像化されたらぜひ彼に、と思う。

卵の緒たまごのお   読了日:2005年01月29日