《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

左遷先から復活のヒーロー。2巻続いた擬似 三角関係を一瞬で解決。やっぱ長編 向かないわ。

コスプレ☆アニマル(10) (デザートコミックス)
栄羽 弥(さこう わたり)
コスプレ★アニマル
第10巻評価:★☆(3点)
  総合評価:★★(4点)
 

素顔をさらけだした壮生(そうき)に追いつめられるリカ。元(ハジメ)が帰国する前に、壮生と過ごした一夜に白黒決着つけようと決心する。一方、後に引けない壮生は元に男の勝負を挑む!!

簡潔完結感想文

  • 全裸で男女が同衾してても身体に違和感がなければセーフ。いや、お前は ヒロイン失格
  • またもや親の離婚と子供のトラウマ設定。作者の引き出しの少なさよ…。えっ、最終盤も⁉
  • ヒーローの帰国。よく知らない男が三角関係のライバル。彼女の不貞疑惑は議題にも上がらず。

んで私はここで寝ているの⁉ 私の身に何があったの⁉ の 10巻。

主人公・リカは泥酔した挙句、目を覚ますと男性と全裸でベッドにいましたが、
本書を読んでいたはずの私は、いつの間にかに気絶して寝てしまいました。

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リカの軽率な行動は、不足していた読者へのサービスカットのためなんだからねッ!

そのぐらい内容が退屈です。
退屈が失礼ならば、興味が持てません。

『10巻』の内容は前巻に引き続き、古賀(こが)のターンなのですが、
やっていることは かつての三角関係の一角・アラタの時の再放送。

興味のないはずのリカに興味を持ち始めて、あれやこれやと手を出す、という内容です。

リカの彼氏の元(はじめ)を海外にまで左遷してやりたかったことは、これなんでしょうか…。
作者には自分の引き出しの少なさに自己嫌悪に陥ってって欲しいです。

一応、古賀には古賀なりの事情を付加していますが、深い内容ではありません。

作者のテンプレ設定ともいうべき、親の離婚や、親からのトラウマが背景として使われる。
親の離婚抜きには登場人物の設定を作れないんですかね。

主要人物ではアラタぐらいだろうか、親が離婚していないのは。


少女漫画の長期連載化は、話のストックが枯渇してからが本当の勝負だと思います。
作者のこれまでの読書遍歴とかセンスとかが改めて問われることになる。

読切短編など から長期連載へのシフトが上手くいく人と いかない人の差は、
広い意味での頭の良さだと私は思う。

上手くいかない人は、言い方は悪いが一発屋になってしまう。
次の連載以降 なかなか5巻以上の作品にならない人が多い気がする。

長期連載だけが成功例ではないとは思いますが…。


裸でベッドで寝ていたリカも少しは反省して、
古賀に近づかないように努力をするのだけど、狭い世界なので、どうしても接触してしまう。
何かに悩む古賀のことも無視は出来なくて…。

私はリカの中途半端な優しさを見せる性格が いまいち馴染まない。

そういう古典的なヒロイン的な優しさを持っていないと、
イケメンたちと関わる機会や惚れられる部分が作れないのだろうけど、
元への愛も貫けない姿を見させられるのは残念至極。

もっとさっぱりとした性格で い続けて欲しかった。

コスプレをメインに話を組み立てるのなら、
変身ヒロインみたいに、コスプレをすると性格が変わり(気が大きくなり)
他人や、自分の中の悩みや不安を喝破する、という内容でも良かったな。

最近はコスプレして自分を開放することも少なくなり、
コスプレしているのに心が空っぽという場面もあったし。

古賀のターンは『10巻』で終了。
なぜなら本命の彼氏・元が帰国したから。


年間の左遷から元が帰ってきても物語はスッキリしない。

帰国予定日の前日に密かに帰ってきた元。
カフェ・フェリーチェで涙の再会を果たすが、
元は古賀に何かを吹き込まれて、リカと心がすれ違ってしまう…。

これもまたちょっとしたすれ違いで、
むしろ元の深い愛を示すものだったりしますが、
元の無敵のスパダリ力が発揮されると、一瞬で物語は終わってしまいます。

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リカの軽率な行動は責められない優しい世界。ちなみに双子じゃありません。似てるだけ。

元と古賀の男同士の純情な争いも、デジャヴを覚えますね。

元と入れ替わるように古賀は参戦したから、
ほぼ知らない者同士の2人。
でもリカちゃん想う気持ちは同じ。

…って、それ、元とアラタの戦いと何が違うの??
男性が愛する人のために全力を出す、というのが萌えポイントなんでしょうか。
本当に出涸らし漫画になりましたね。


全身全霊の元とは反対に、フラフラと男と全裸でベッドに眠るリカの粗忽さが際立ちます。

そんなリカが急に恋愛モードになって元に甘えても後の祭り。
元のいない日本でリカがどれだけ男性と一緒にいたか、教えてやりたいものです。

元が帰ってきたというのに いまいち盛り上がりません。

それに元は、海外に行ってから何回も帰国しすぎた。

僅かな時間だったり、会えなかったりしたこともあったが、
物語を盛り上げるために いちいち帰ってきすぎた。

元の一時帰国と、リカの浮気疑惑で何とかもたせた半年でしたね。

雑誌の連載で読んでいれば現実の時間経過とリンクして、
少しは2人の恋愛の渇望感に共感したかもしれませんが、
1日1巻読んでいる リカと元に興味が持てない身にしてみれば、
またか、という眠気も覚めない内容でした。


元が帰国して、2人の関係も何もかもが良い状態までリセット。

いよいよ、恋愛を邪魔する者もいなくなった。
そしてそれは描くこともなくなったことを意味するのではないか…?

『11巻』を読むのが今から怖い。
だって内容が全くないかもしれないよう…。

彼氏を1人確保してから始まる 乙女ゲー漫画。…それって ただのビッチ?

コスプレ☆アニマル(9) (デザートコミックス)
栄羽 弥(さこう わたり)
コスプレ★アニマル
第09巻評価:★★(4点)
  総合評価:★★(4点)
 

いけないお兄さん、始動!? リカ史上最大のピンチです~~!! ――リカのキャンパスライフを乱す第3の男・壮生(そうき)。白衣にみとれても、中身はオオカミだって忘れちゃダメ!! その手練手管に、元(ハジメ)欠乏で凹(へこ)みがちなリカ、陥落寸前!? 観察(マーク)されちゃったリカの運命やいかに!!?

簡潔完結感想文

  • 第3の男 起動。大学は一緒だが学部は違う人間と収録4話中全話で会うのは もはやワザと?
  • アメリカに追放された彼氏の一時帰国の日にも第3の男と会うヒロイン。身体が男を欲す?
  • ヒロインとヒーローの人を想う心、思い遣りの差が激し過ぎて恋愛が崩壊し始めてるよ…。

第2の男が意気消沈したので第3の男が大暴れする 9巻。

主人公・リカの彼氏で、第1の男である ヒーロー・元(はじめ)を、
彼の親を病気にさせてまで海外に左遷させて継続する本書。

元の親友でリカを想う第2の男・アラタが失恋を認め始めたので、
初登場の『6巻』から鳴りを潜めていた第3の男・古賀(こが)がいよいよ始動する。

古賀の登場と、元の左遷は ほぼ同時なので、
古賀が元の代役なのは明白だったが、
第2の男が諦めが悪かったため(笑)、活躍時期が後ろ倒しになったのだろうか。

アラタもそうだが、古賀も これまでずっとモテ続けてきた人生で、
約30人余と同時に関係を持っていたらしいが、
元を想い続けるリカの姿を見て心機一転、リカに本気になっていく…。

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自分は恋人に黙って男性と宿泊しているのに、正論だけは いっぱしのヒロイン。

しかし性格の悪い私からすると、
アラタや古賀が、リカごとき(汗)に固執する理由は、
他人の彼女だから、ではないかと疑ってしまう。
(古賀は今回、そのような趣旨のことを発言している)

リカが特別なのではなく、
恋のハンターとして、リカが自分に振り向く可能性が
ゼロに近いが、なくはない、という絶妙な数値を示していることを把握してるのではないか。

そういう意味ではリカは絶妙なラインだ。
元に心酔しているが、元との関係が上手くいかないと他の男にしな垂れかかる可能性がある。

そんな駆け引きが出来るから彼らはリカに固執するのではないか。
もし彼らが恋人のいないリカと出会っても十人並みな対応で拒絶しそうだ。

そういう理由でもないとリカがモテる理由は私には分からない。


直、ずっーーーーと中身のない漫画なのですが、
本書の正しい読み方というのは、何なのでしょうか。

読者が自分をリカだと思って、次々にイケメンに惚れられて、
モーションをかけられることを疑似体験して喜べばいいのでしょうか。

私もそうしたいのは やまやまだが、
リカに元という運命の人がいることが引っ掛かって楽しめない。

これが「乙女ゲー」のように、複数人のイケメンから、
そこここでアプローチされる、という内容だったら楽しめたでしょう。
『私がモテてどうすんだ』『金色のコルダ』など)

ただ本書は年下の現役高校生スパダリが居て、
彼の健気なほどの愛があるから、
ヒロインが浮ついて、隙を見せ男性に好意を寄せられる様子は、
腹立たしさしか感じない。

つい前の巻『8巻』で別れる別れないの修羅場を経験したというのに、
今回も友達の付き添いという大義名分で男性がいる場所に ホイホイと出向く。

彼氏が不在の6か月間、男断ちをして過ごしました、
では漫画にならないのは分かるが、
自業自得に男に近づいては、その好意に戸惑う、という
マッチポンプ的な犯行は呆れて ものが言えません。


回、リカの行為で最も腹立たしかったのは、
元が一時帰国する日に、古賀の願いを聞き入れ、彼と行動を共にしたこと。

結論から言うと、結局 会えないままの一時帰国となった。

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空港での重要な場面。なのに 一瞬この男性が古賀なのか元なのか判別が不能になる似すぎ問題 発生。

リカの言い分としては、
古賀の願いを聞くことが人助けになると思ったのだろう。
そこでリカの放っておけない性格を表したのかもしれない。

だが、リカが優先順位を間違えたことは揺るがない事実。
そして自分のことしか考えていないことも事実。

リカは元に会えなかったこと、
古賀が自分に本気のキスをしたことに動揺しているが、
(作品の都合上)親が病気になってアメリカに渡った元の気持ちなど想像しない。

今、自分が元に会う意味や価値が分かっているならば、
1分1秒でも長く会える選択をするだろう。

だけどリカが当日に取った行動は、
古賀のお手付きの女性の整理を手伝い。もう意味が分からない。

その途中で、逆上した女性から手で押され、水辺に落ちる事態が発生し、
塗れた服を乾かしている間に、元は空港にとんぼ返りしてしまった。

避けることも可能だったのに、なぜ避けなかったのか古賀に問われると
「彼女の気持ちが伝わってきて」と善人ぶった返答をする リカ。

いやいや、水に濡れたら その分、元と会う時間が減るとは考えなかったのか。
こういう、リカを中途半端に善人化して、
物事を長引かせる手法には もうウンザリ。

しかも その善人化も、リカの価値観でしかない。


れに追い打ちをかけるのは、元のアメリカからの動画。

「リカには見せるな」という条件でバイト仲間たちに送った動画には、
自分と離れて落ち込んでいるであろう リカのことを元気にしてやってください、
という恋人を想う元の健気な姿があった。

どうでしょう、この落差。
リカは自分以外のこと考えましたか?
元(はじめ)ファーストの行動を何か取りましたか?

作品を続ければ続けるほど、
リカのアンチが増えていくだけではないだろうか。


更に問題は、古賀と同じベッドの上で朝を迎えるラストシーン。

何だろう、衝撃の場面のはずなのに、心がちっとも動かされない。

似たような形式はアラタの時にやったし、
起きたら古賀とともに寝ていたというのは『7巻』でもやったこと。
(その時は別の女性がいたけど)

イケメンの猛アプローチに心が揺らぎ、
隙を見せてはベッドの上に2人で上がる、
アラタの際にやったことを再放送されても辟易するだけ。

そして、リカの株が下がり続けるだけである。