《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

全国 津々浦々のコスプレ職業を体験する水戸黄門的 作品にすれば よかったのに。

コスプレ☆アニマル(2) (デザートコミックス)
栄羽 弥(さこう わたり)
コスプレ★アニマル
第02巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★(4点)
 

新たなイケメン高校生に魔性のゲイ。コスプレ命・リカの周りは危険がいっぱい!? ――リカと元(ハジメ)の恋路にはトラブルがいっぱい! 元のバイト先のオーナーはノンケ殺しの魔性のゲイだし、旅行先ではリカが若女将にされちゃうし。極めつけに元の親友・アラタが二人の関係に嫉妬!? なぜだかリカに厳しくあたってきて……。イケメンた~っぷりの第2巻!

簡潔完結感想文

  • イケメン増員で作品を補強。大勢のイケメンの中で紅一点という夢まで叶えちゃいます。
  • 渡る世間はコスプレばかり。旅館の若女将として働く主人公。本編中で一番好きな話かも。
  • 三角関係スタート。長編の縦軸に使用される三角関係。作品を支えているようでダメにしてる?

うなったらコスプレ版 水戸黄門でも良かった気がする 2巻。

コスプレある所に主人公あり。
『2巻』では飲食店、旅館、学校と決まった服を着て働き・学ぶ人たちがいる場所へ赴く主人公の リカ。

私は2話目の旅館の話が良かった。
というか、この話の形式が秀逸だった。

この話は旅館に泊まるはずだった リカと元(はじめ)のカップルが、
ひょんなことから旅館で働くことになる、という話。

リカは若女将として働くことになり、着物を身につける。
これが今回のコスプレ。

着物を着ることにテンションが上がる リカだったが、
若女将として守るべき所作の数々と膨大な仕事量に四苦八苦。

だが自分を指導する女将のプロの仕事っぷりに接して、
リカも襟を正して、服装だけじゃなく その心も学ぶのだった…、というのが話の構成。

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衣服で心の お仕事スイッチON。これも社会的コスプレと言えるのではないか。

この構成のように、全国各地をカップルで飛び回って、
行く先々で、制服のある お仕事のお手伝いをすることになる、
という話で全14巻続けて欲しかった。

これなら様々な職業の苦労と喜びを描く「お仕事漫画」にもなるし、
隙を見て2人でイチャイチャしてれば、それ目当ての読者も満足するだろう。

どうせ内容なんて あってないような漫画だから(冗談ですよ…)、
時間経過や生活感とか金銭問題などは いっそ無視して、
思いつくままに職業体験をしていくのも面白かったかも。

そうして水戸黄門のように全国を行脚しては、
リカたちが人を助けたことで、良いことが舞い込むという福の神的な存在になったりして。
良い話とエロをいい塩梅で融合できたら最強のタッグではないか。

まぁ、制服のある職業の中には免許が必要な職種も少なくないだろうし、
毎回、一つの職業を調べ上げる作者の労力も大変だろう。

ただ、後半の中身のなさに比べたら、
この方式の方が再読に耐えられたのは確かだと思う。

コメディとしては良いテンポが出せているのだから面白くなったはず。


許が必要な職業といえば『2巻』の後半から、
主人公の リカが、教員免許を取得すべく、その過程の一つ、教育実習での物語となる。

リカの教育実習先は、年下の彼氏・元(はじめ)の在学する高校であり、自分の母校。
リカは短大生なので19歳にして教育実習生になる。
元は彼氏であり生徒。自分は恋人であり先生(仮)。
学校を舞台に、コスプレではなく、リアルなプレイの幕が上がる。


…というシチュエーションはいいのだが、
私がちょっと調べた限りだと、短期大学では高校の教員免許は取得できないらしい。
取得できないなら、高校に教育実習に行くはずもなく…。

これは作者側のミスなんでしょうかね。
後で、その事実に気づいたから リカの進路に変更を加えたのかな?

もう完全にファンタジーとして読むしかありませんね。

リアル路線でもミスがあり、ファンタジーになるなら、やっぱり水戸黄門の方が良かったのでは…。


ファンタジー路線といえば、『2巻』からイケメンが増員されます。

今後も大きな役割を担う人たちが続々と登場。
登場順でいうと、1人目は初めのバイト先のカフェのオーナー。

美形のゲイ(またはバイ)という個性の強いキャラクタ。

ただ、女性の気持ちも男性の気持ちも分かるという恋愛アドバイザみたいな、
女性作家が重宝しがちな、いかにも典型的なキャラでもある。

元以外のバイトや従業員もイケメン揃いで、より取り見取り。
あれ、これって乙女ゲームが原作でしたっけ、というぐらい
リカ の逆ハーレム漫画が始まろうとしている。ファンタジー


そして、もう一人の重要人物が、元の親友の アラタ。

オーナーも注意してみないと、元と区別が つかない時があるが、
アラタは元の双子かな、ってぐらい更に似ている。
本気で髪の色でしか判断が出来ない。

作者のタイプなのか、それとも画力の問題なのか。

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双子でも兄弟でもないし、異母兄弟の裏設定もない。似てるだけ、とても似てるだけ。

このアラタは、この後、リカを巡って、元と三角関係になり、
ながーーーーーーーーーーーい 不毛な闘いを繰り広げてくれます。

結果も見えている戦いですが、なぜかずっと諦めません。

ただ、少女漫画では明らかな当て馬も、
時には主人公の人気を食うぐらい脚光を浴びるのも事実。

直情型の元に比べて、
素直に好きって認めない・言えない性格とか、
育ちの良さとか(医者の息子らしい)、
確かに見どころの多い人ではある。

ハイスペック当て馬といえば、雑誌「デザート」の後輩漫画でもある
ろびこ さんの『となりの怪物くん』の ヤマケンくんを彷彿とさせるなぁ。


しかし、いくら元とアラタが瓜二つに描かれているからと言って、
教育実習中の校内で間違って背中に語り掛けるとか、
リカの不注意っぷり が凄い。

というか教職を目指しているにもかかわらず、
教育者にあるまじき行為を、教育実習中にしようという、
下半身に直結した思考が 既に教員に向いていない。

「#許すな わいせつ教員」ですよ。