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犬はどこだ (創元推理文庫)

犬はどこだ (創元推理文庫)

開業にあたり調査事務所“紺屋S&R”が想定した業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。―それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして…いったいこの事件の全体像とは?犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。新世代ミステリの旗手が新境地に挑み喝采を浴びた私立探偵小説の傑作。


初の非学園モノの米澤作品。最初は覇気のない主人公・紺屋同様ローギアのスタートでしたが、調査以来が舞い込んで以降の展開は面白く、段々とギアを上がっていくようにスピードと緊張感が増してきた。ラスト数十ページは息もつかせぬ緊張感がある。高速道路のドライブが終わった後の虚脱感まで味わえる。
上手い。まさに逆転の発想。この本で書かれているような事件が「この世界」では多々あると言うけれど、それを利用した上で一ひねり技を加えるのが上手いと思った。決して突飛な発想じゃないんだけど、ちょっとだけ見てる方向が違う。その盲点が見えた時の驚きは同時にミステリの爽快感でもある。終わり方は爽快とは言えないんだけれど、コーヒーのような嫌ではない苦さだ。この絶妙な苦さが米澤さんの豆を挽く腕なんだな、と思う。切なくも苦い味を出すのが本当に上手い作家さんである。私は紺屋ではないのでコーヒー何杯でも飲めますよ、米澤さん!
古典部シリーズでも地元の描写が多いですが、米澤さんは土着の文化が好きみたいですね。今回、作中に出てきた地元の歴史本の内容はフィクションなのに面白く読めました。トリック自体に使われるわけではないのですが、この本の内容も意味を持つのが面白かった。しかし、それを言っちゃあ元も子もないんでしょうが、紺屋とハンペーもっと緊密に連絡取れよ、と思ってしまうもどかしさもあった。「気づくんだ、ハンペー!」と何度思ったことか。ハンペーは登場時よりも、かなり好きになったキャラ。この本はシリーズ化されるのだろうか?今後、善意満点の大南さん、ただ者ならない感じの妹・梓夫婦など更に活躍するのかな。楽しみ。
(ネタバレ:反転→)被害者と加害者の構図も面白いけれど、犯人の偽名が一番ヤラれたかな?障子一枚向こうに答えはあった、という感覚が痺れる。 シリーズ化したらGENの正体も分かるのかな?私は彼が犯人だと思っていたのに…。だって紺屋部長、情報リークさせ過ぎなんだもん。 私のサイトやブログは過疎化してますが、情報は読み取ろうと思えば読み取れますもんね。ガクガクブルブル。なんて杞憂。 とも言い切れないのが電波系粘着の恐さかな?(←)

犬はどこだいぬはどこだ   読了日:2005年11月30日