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謎亭論処―匠千暁の事件簿 (祥伝社文庫 に 5-3)

謎亭論処―匠千暁の事件簿 (祥伝社文庫 に 5-3)

呑むほどに酔うほどに冴える酩酊推理!
女子高の正門前に車を停め、夜の職員室に戻った辺見祐輔(へんみゆうすけ)は憧れの美人教師の不審な挙動を垣間見た。その直後、机上の答案用紙が、さらに車までがなくなった。ところが二つとも翌朝までに戻されていた。誰が、何のために? 辺見の親友であり、酒に酔うほど冴え渡る酩酊探偵・匠千暁(たくみちあき)に相談すると……。続発する奇妙な事件を、屈指の酒量で解く本格推理の快感!


タイトルの読み方は「めいていろんど」。シリーズ前作『依存』から割とすぐ出た作品。ですので、当然タックとタカチのあの出来事の直後が読めると思ったのですが、一気に社会人編にまで飛んでいました(ガッカリ)。でも待望の最新作には変わりは無いですし、内容に不満はありません。明るく酔ってる彼らを読めるのは楽しかったです。学生編も切ないですが、就職や結婚など責任のある立場になって、少し好き放題はできなくなっている彼らに哀愁を感じます。

  • 「盗まれる答案用紙の問題」…ボンちゃん教師編。ボンちゃんが採点したばかりの答案用紙と愛車が消失したのはなぜか?いや、また男の自己陶酔描写が上手。そして執念ですね。タックが女性に見惚れる姿なんて、そうそう見れません‥タカチはどうしたタカチは!にしても中高合わせて2千人もいる女子高って‥
  • 「見知らぬ督促状の問題」…タカチ学生編。ミス・キャンパスらの下に覚えのない督促状が届く、その真意は?犯人の行動は理解できないけど、謎とトリックは好きです。人は簡単には完璧な嘘をつけないってことか。
  • 「消えた上履きの問題」…ボンちゃん教師編。ボンちゃんの女子高でクラス全員の上履きが消失する。真相はちょっと現実離れしているかな、と思います。西澤さんの心理描写の巧みさと女子高という舞台は組み合わせとして最高だと思う。
  • 「呼び出された婚約者の問題」…ウサコ新妻編。元・婚約者に呼び出された翌日に、その婚約者は死んでいた。ウサコと夫の二人の会話のみで構成された話。ウサコもタック・ボンちゃん化。誰でも覚えがある感覚に捕らわれた人の悲劇。
  • 「懲りない無礼者の問題」…ボンちゃん教師編。目立つ衣装に身を包んだ男女が街中で騒いでいたのは何故か?この推理は無いとは言い切れないけど、かなり危うい推理だと思います‥安槻大学といい女子高といい事件が絶えません。
  • 「閉じ込められる容疑者の問題」…タカチ社会人編。娘夫婦と同居する女性が殺された。その娘夫婦は睡眠薬を盛られていて、内部に人はいなかった。タカチの磁力の凄さ、性別を問いません。真相にはストレートに納得がいきました。
  • 「印字された不幸の手紙の問題」…学生編。時期的には『スコッチ・ゲーム』『依存』の間。ウサコの家庭教師先の生徒のクラス全員に不幸の手紙が届く。真相はう〜ん、って感じ。こんな回りくどい手法を使わなくても、って思った。
  • 「新・麦酒の家の問題」…学生編。けっこう初期の頃ではないかと思う。ボンちゃんに誘われて行った所にはビールが20箱積まれていた。『解体諸因』の話がこんな所で、つながるとは。タイトル通り『麦酒の家の冒険』のヴァージョン違い。もちろん設定も内容も違います。私的には真相云々よりボンちゃんの神秘性が崩れてしまって残念(笑)聞きたく(読みたく)なかったな…

謎亭論処めいていろんど   読了日:2001年04月07日