- 作者: 小林聡美
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2002/10/01
- メディア: 文庫
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女優業とマダム業を日々真面目にこなすマダム小林に、降ってわいた憧れの留学話。ところは秋の終わりのニュージーランド。優しい初老の御夫婦宅にホームステイし、久々の英語の授業に頭はフル回転、日常を離れて学生気分を満喫、と思った矢先、深夜、激しい腹痛に見舞われて…。たったの十日間だけど濃くて刺激的だった「お試し留学」体験記。
マダム30ウン歳の初めての留学。この本は、その留学の始まりから最後の一日までを書いたエッセイである。小林聡美さんのエッセイは前々から好きだったが、この本で更に好きになりました。何が面白いって、読んでいると小林さんの留学を追体験してるみたいな感覚になるのだ。ホームステイ先の家族の描写、先にホームステイをしてるサンドロとの微妙な距離感、留学の良きライバルの出版社の菊池さんなど様々な人に囲まれて過ごした日々が赤裸々に語られているのがいい。尚、この本で起こる事件はリアルタイムで起こっているって感じだ(「24(トゥエンティーフォー)」)。腹痛事件は本当に緊迫してるし(笑) 他にも日本とニュージーランドの何気ない文化の違いがそこここに書かれていて面白いし、最後は観光情報も入っているのでお役立ち度もかなり高い。読んでいるとマダム小林さんの年齢をいつの間にかに忘れている。同じ留学生のサンドロなんて完全にマダムよりも年上の人として読んでいた(サンドロの写真がふけているからか…)ホームステイ最終日のサンドロへのボールペンの贈り物はかなり粋だ。マダムらしい気遣いだと思う。
余談ですが、卒業証書(?)の名前が三谷聡美になっていて「あぁこの人、三谷幸喜と結婚してるんだな」と当たり前の事を改めて実感しました。