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ワタシは最高にツイている (幻冬舎文庫)

ワタシは最高にツイている (幻冬舎文庫)

ささやかな出来事が、簡単にシアワセにしてくれる…。どうにも笑えて、味わい深い。3年間書きためた珠玉のエッセイ、待望の単行本化。書き下ろし「島で映画の撮影」を加えた全34編を収録。


マダム小林、約5年ぶりの新作エッセイ。今回もマダム独特の言葉選びや文字変換(例:MRIの機械音など)、そして絶妙な例え、セルフツッコミに相変わらず抜群のセンスの良さを発揮している。また本書独自の特徴としては、しみじみ読ませる場面が多かったように思う。後述するがエッセイの後半でマダムは緑溢れる場所に度々訪れる。その旅先の街並み、自然の美しさ、可愛らしい動物の描写が非常に上手い。その場所の空気を体感できた気になり、最後はゆったりとした気持ちで本を閉じられる。5年ぶりのエッセイはそんなのんびり仕様になっている。
本書に大まかな流れがあるとすれば、前半は「マダムの関心事」という言葉で括れるだろうか。その関心事とは、まゆげ・ブラジャー・運勢・免許・パソコン、そして携帯電話に親知らずなど。エッセイだから当たり前かもしれないが、前半は本当にマダムの半径数m圏内の事が多く採り上げられている。
しかし後半、映画「かもめ食堂」の撮影でフィンランドに向かった辺りから、マダムは自然との共存(?)に目覚める。ある時は東京の自宅、ある時は八ヶ岳のバブリーな別荘(会社の所有物)、またある時はターシャ・テューダーの暮らしの中に、そして再訪したフィンランド、最後に映画撮影で訪れた沖縄の島で、マダムは花鳥風月を愛でる。そんなマダムの心境を表しているのだろうか、本書の表紙は植物でいっぱいである。本書での努力が実を結び、ご自宅や八ヶ岳の別荘の庭がマダム・ターシャ・テューダーによって花で溢れる日を、そして、その報告エッセイを読める日を再び心待ちにしております。出来るだけ早くに!
マダム激務の仕事ラッシュの時期もあるが、先にも述べた通り、エッセイの後半に向かうにつれ、ゆったりとした時間の流れを感じる。40代に突入したマダムは年齢と共に変化していく身体(体内年齢はまだまだ若いが)と上手く付き合って、精神とのバランスを取り、そして自分の周囲の自然を慈しむ(時には高枝切りバサミで容赦なく断ち切るけど)。そういうマダムの飾らないライフスタイルは格好良くて憧れる。自然体のマダムはやっぱり素敵だ、という事を再確認したエッセイでした。

ワタシは最高にツイているワタシはさいこうにツイている   読了日:2007年10月17日