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東京100発ガール (幻冬舎文庫)

東京100発ガール (幻冬舎文庫)

三十歳ともなれば、酸いも甘いもかみ分けたクールでイカしたオトナの女、のはずが、彼の誕生日に花ドロボーになり、禁断のエステで新たな快楽に目覚め、通販でいらない物を買いまくり、新品のスニーカーで、犬のウンコを踏みしだく…。マダム小林が結婚直前に二匹の猫と過ごした、気ままな中にも笑える事件続出の日々を綴るエッセイ集。


なぜだろうか。この本の小林聡美さん(彼女はどうしてもフルネームになりますね)は落ち着いている。もう「乙女」ではない大人の女性である。この本と前の本『凛々乙女』の単行本は数ヶ月の間に立て続けに出版されている(原稿を書いた時期の幅はあるだろうけれど)。が、小林聡美という人は変わった気がする。この本の途中で30代に突入したからだろうか?それとも、この本のすぐ後に結婚をするからだろうか?そう、この本は「乙女」から「マダム」への変貌を遂げるための、いわば「サナギ小林」のエッセイである。もちろん、変わったといっても中身は同じ小林聡美なのであるからして、ドタバタと生活という日常と女優という非日常を行ったり来たりしている様を、小林聡美にしか書けない文章で書いているんですが。
今回は家族のお話が多かった印象。父親の園芸・母親とのパリツアー・姉弟のお話・そして二匹の猫。小林さん本人の話も好きだけれど、周りの人たちとの話も面白い。特に猫の話は小林聡美エッセイでは欠かせないものだろう。今だったら、それに加えオット・三谷幸喜さんの話題が出てくると嬉しい。今回は、しんみりと読む話もあった。テレビ番組での子供たちとのキャンプと母親との旅行の話である。特に後者は旅の途中での母親への認識の切り替えと、最後の空港での母親の行動。いい話だ…(泣) そんなこんなを経て、彼女は結婚し新たな家族と暮らし始め「マダム」としての一歩を踏み出すのだった…。次巻に続く(笑)

東京100発ガールとうきょうひゃっぱつガール   読了日:2002年05月19日