《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

カウンター席だけの地下一階の店に客が三人。三谷敦彦教授と助手の早乙女静香、そして在野の研究家らしき宮田六郎。初顔合わせとなったその日、「ブッダは悟りなんか開いてない」という宮田の爆弾発言を契機に歴史談義が始まった…。回を追うごとに話は熱を帯び、バーテンダーの松永も教科書を読んで予備知識を蓄えつつ、彼らの論戦を心待ちにする。ブッダの悟り、邪馬台国の比定地、聖徳太子の正体、光秀謀叛の動機、明治維新の黒幕、イエスの復活、を俎上に載せ、歴史の常識にコペルニクス的転回を迫る、大胆不敵かつ奇想天外なデビュー作品集。


ちょっと変わった歴史ミステリ。私は歴史(日本史)は嫌いじゃないので楽しめましたが、嫌い・苦手な人には全く楽しくないかもしれない、そんな作品。邪馬台国がどこにあろうが生きてる上であまり困らないですからね…。飲み屋で物好きな人たちの議論を横で聴いている感覚が良いですね。コペルニクス的回転といわれても無理矢理自分で地球回しちゃってるような気もするけれど…。
静香さんの性格すご過ぎです。いささかやりすぎなぐらい強気で、しかも最後まで宮田に押されっぱなしで可哀想。実際に、こんな会話が飛び交うバーがあったら私は退散しちゃうかな(笑) そういえば、このパターンは高田崇史さんの「QEDシリーズ」と一緒ですね。どちらも歴史の薀蓄を語る男、それは無理矢理なんじゃない?という推理が似てます(笑) ただ変に殺人事件を絡めないだけこちらの方がシンプルでスッキリしてると思えるかもしれません。

  • 「悟りを開いたのはいつですか?」…仏教の開祖といわれるブッタは、いつ悟りを開いたのか…?この手の話を読むと、今言われている昔の事のの大半は間違って伝わってる気がしてきます。誰も証明できない問題を、どう解明するか。
  • 邪馬台国はどこですか?」…表題作。未だ場所を特定できない邪馬台国。そこへ宮田は、ある新説を語りだす…。日本史の授業などで、九州説と近畿説は聞いたことありますが、この説は初めて。決着する日はくるのだろうか…?
  • 聖徳太子はだれですか?」…聖徳太子は架空の人物!?宮田の新説で今回も大波乱…。話の切り出し方が不自然になってるような。いきなり聖徳太子の話って…。聖徳太子はお札の顔が聖徳太子ではないと言うのは聞いたことあります。
  • 「謀反の動機はなんですか?」…明智光秀織田信長に反旗を翻した理由はなんだったのか…?日本史ファンでも特に戦国武将好きな人は多いでしょうね。私は人名が多くて苦労しました。今回は説より、織田信長の見方が変わったかも。
  • 「維新が起きたのはなぜですか?」…明治維新はある人物の意図した通りに行われた…!?一番無理がある作品だと思った。今回は論拠に出典などの具体的例がないですからね。その方法はいつの時代だって使えるってことになりますし。
  • 「奇跡はどのようになされたのですか?」…キリストの復活はどのようになされたのか…?キリストへの解釈は世にたくさんありますね。全員を騙せば、それが真実になる。乱暴ですが宗教とはそういったものだと思ってしまいます。

邪馬台国はどこですか?やまたいこくはどこですか   読了日:2003年05月12日