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謎物語―あるいは物語の謎 (角川文庫)

謎物語―あるいは物語の謎 (角川文庫)

幼い頃から親しんできた物語。そこでは、空飛ぶものにも、水を潜るものにも、植物さえにもなることが出来る。とりわけ謎物語が好きだという著者が、落語、手品、夢の話といった日常の話題を交えながら、謎を解くことの楽しさ、本格推理小説の魅力を語ったエッセイ本。北村ミステリの要素がたっぷり詰まった一冊。アッと驚くことの快感をあなたも体験してみませんか。


北村さんのエッセイを初めて読みました。最初は北村さんの言いたい事が先走りしてるかな?と思い、エッセイは肌に合わないかも…とこちらが先走りしましたが、結論的には、この本は非常に面白い。おそらく読んだ人、皆が思うことは、もっと本を読みたい!という事でしょう。ミステリが好きな方、本を読む喜びを知っている方なら共感し、また新発見する事の連続だと思います。私も読んでいて、何度も文字がスーッと身体に浸透していくような感覚を味わった。明確に言葉にはできなかった感情や記憶が、ようやくカタチをもって姿が見えた感じ。これも本を読んでこそ味わえる感覚だろう。私は「解釈について」の回の、「読む、行為が即ち創造である」という言葉に感動した。今更ながらに本を読む意味を感じさせられました。10万部売れた本でも、私は私だけの物語を読んでいるのか。どう読み、どう感じたかが私の解釈なのだ。願わくば私の解釈が無価値でないように…。
もちろんミステリの話も面白かった。ミステリは「盆栽」とはよく言ったものです。何を表現するのか、どんなカタチにするのか、枝葉をどう加え、末節をどう削ぐのかが大事なのか。不必要な物が無くなり、必要な物だけの美しさとは結構ストイックですね。そしてやはり驚くのは北村さんの読書量・知識量。御本人は読んでも忘れてしまっては…と仰られていますが、古今東西の本から、落語・学級通信(!)までにも引き出しを持っていれば、どの棚に何が入っているのかは忘れてしまいますよ。余談ですが「魅せる踊り」の回の詩の書き換えにはビックリ。教科書に採用するための標準語にするなどの変更なんだろうけれど、それにしてもひどい変え方だ。教育する側が国語・文学をつまらなく伝えてどうするんだ!!と憤りました。

謎物語 あるいは物語の謎なぞものがたり あるいはものがたりのなぞ   読了日:2005年08月10日