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別冊宝島「北村薫CompleteBook」 (別冊宝島 (1023))

別冊宝島「北村薫CompleteBook」 (別冊宝島 (1023))

デビュー15周年の北村薫のすべてを明かす。主要キャラクター事典、全作品ガイド、作品世界・体感ツアー、歌人・藤原竜一郎とのトークバトルほかを収録。幻の本格ミステリー・パロディ小説「早稲田殺人事件」も初公開!


この手の第三者が編集したファンブックというのは、その作家のファンであればあるほど心情的に読みにくくなると思う。なぜなら、この手の本の文章は作家さん自身が書いておらず第三者が書いていて、作品・登場人物解説の分析は自分ではなく第三者の見解だからである。その作家さんと作品は好きなんだけど、この手の本は別に読まなくてもいい本であり、好きだからこそ読まずにはいられない本でもある。これは『森博嗣本』の感想としても同じ。複雑な心境なのだ。
でも、この本は面白かった。北村さん自身も幾つかの企画に参加されているし、北村さんに近しい人が作っているからだろうか、作品に対して北村さんに対しての愛に溢れている。北村さんが『謎物語』で『古典には色々な解釈を許すだけの懐の深さがある』と語っていましたが、これだけの企画が出来る北村さんの物語にも深さがあると思う。北村さんの本の魅力は、他の世界への入口が開いている事だろう。「私」が読む本を読みたくなり、落語を聞きたくなり、詩を嗜みたくなる、そういう北村さんの好きな物への愛を読者が触れていくのだと思う。 やっぱり面白かったのは、北村さんのロングインタビュー。作品や登場人物を語ってくれたのは嬉しい。北村さんが円紫さんと私シリーズの「私」と正ちゃんの関係を語った言葉は衝撃的。私もシリーズを再読して正ちゃんの強さを改めて見直したばかりだったので、北村さんが正ちゃんをこんな風に思っていた事に驚きと納得を感じた。
「早稲田殺人事件」は完全なる身内ネタだけれども、それなりに面白く読めた。推理小説としては、推理合戦も読めて、意外な犯人(?)も登場する。 警告が出ていたけれど、クリスティの「アクロイド殺人事件」の結末をあっさりと知ってしまったのは残念。ミステリ以外の視点で見ると、30年以上前の北村さんの文章が読めるのが一番の楽しい。パロディでコメディ的なので、今の北村さんの作風とはかなり違うけれど、10代でこんだけ書けるのに私は驚いた。やっぱり文才だろうか…。

静かなる謎 北村薫しずかなるなぞ きたむらかおる   読了日:2005年08月15日