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氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実。何事にも積極的には関わろうとしない"省エネ"少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場! 第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。


まさに「氷菓」のように、謎は爽やかに消えていく。そんな小説。
登場する小さな謎の数々は厳しく見れば伏線や状況説明が甘く、やや牽強付会な部分がないとはいえないが、それでもなんとなくカタルシスを感じるから不思議。そして最大・最後の謎は、やはり最大の魅力だった。なるほど、これは「ほろ苦い」。思えば高校生活が「薔薇色」であるという一文から物語は動き始めていた。これはホータローの「灰色」と相まって物語のカタチを上手く表現している。なかなかに侮れない構成。文化祭や「氷菓」の意味は言われてみれば呆気ない事なんだけれど、そう名付けた時の気持ちが分かった時にほろ苦さが広がる。 好きなのは終わった後の展開。まだまだ感傷に浸れるし、書こうと思えばいくらでも書けるだろうけど、それを排除して終わらせたのが後味が良くて好感を持った。
しかし、ホータローくんは自意識過剰だ。というよりも自己分析過剰な人である。自分の思考・行動をこんなに語る高校生って珍しい。省エネを目指すなら、この思考過多を直しせば随分エネルギー消費量も抑えられるのではないか、と思うよ。だけど逆に言えば、こんな真っ当な高校生はいない。こんだけ自分のポジションや生き方に対して考えを持っている人は、調子に乗ったり、悪の道にも進まないものである。ホータローは「省エネ」と「小市民」の違いはあれど「春期限定いちごタルト事件」の小鳩くんに少し似てるかな…? どちらも自制によって物事への積極的な介入を拒んでる所が同じ。能力があるのに使わない、ってのは中高生は憧れる設定ですよ。私は能力があるなら出てきておくれ!という側になってしまいましたが…。
私にとって初ライトノベル(発売当初のレーベルだと)。初ラノベの感想は、熟語が多いなと思った。背伸びして使っているのか、若者に日本語を教えようとしているのかだろう、なんて事を思った。私の頭だとライトノベル=「萌え」みたいな式が出来ているけど、この本はちょっと違うみたいですね(だからこそ読んだんですけど)。しかし、読む人が読めばこの登場人物にも「萌・える」のだろうか?

氷菓ひょうか   読了日:2005年07月09日