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垂里冴子のお見合いと推理 (講談社文庫)

垂里冴子のお見合いと推理 (講談社文庫)

垂里家の長女・冴子、当年とって33歳、未婚。美しく聡明、なおかつ控えめな彼女に縁談が持ち込まれるたびに、起る事件。冴子は、事件を解決するが、縁談は、流れてしまう…。見合いはすれども、嫁には行かぬ、数奇な冴子の運命と奇妙な事件たちを名人上手の筆で描き出す、特上の連作ミステリー。


私のお気に入りシリーズ(2作しか出ていませんが)。垂里冴子=推理の冴えている子などなど、一見ハチャメチャな設定だけれども、その推理は実に見事で極上ミステリとして楽しく読めます。他にもホームドラマ(姉弟愛?)として、お見合いうんちく本として、コメディとして楽しく読めました。私が好きなのは、やっぱり京一くん。姉への過剰な思いやりは好ましい。絶対いい子だし、彼。とか書きながら、次女・空美さんもかなり好き。行動派の彼女がいないと読書好きの根暗な家族ですからね(笑) 合子伯母さんとの舌戦は必読ですよ。私の中では「やっぱり猫が好き」の次女・レイ子(室井滋さん)を連想させる。15年前に室井さんに演じてもらいたかった。(年齢設定がおかしくなるけど)今からでもドラマ化したら結構面白いと思う作品。

  • 「春の章 十三回目の不吉なお見合い」…ホテルの喫茶店で13回目のお見合い。立派なはずのお見合い相手は、どこか奇妙で、しかも喫茶店の客と口論をする始末。しかも夜に彼は…。垂里家の家族と呪いが紹介されている。呪いが無くても、30代中盤以上まで結婚しない男性には少なからず問題があるのではないだろうか?お見合いに限らず肩書きに囚われ過ぎる危険性を書いた作品とも読める。
  • 「夏の章 海に消ゆ」…元甲子園球児で現在は軍人家系の名を継ぎ海上自衛隊に勤務している男性が次の見合いの相手。だが彼は見合いの最中で煙のように消える…。ちょっとこの結末は無理があるかな。でも伏線がしっかり張られているので推理は綺麗。海という設定が上手く使われている。トリックは推理小説ではよく使われる手法。合子伯母が披露したお見合いの歴史に妙に感心してしまった。
  • 「秋の章 空美の改心」…3作目にして早くも変化球。今回見合いをするのは次女・空美。米軍基地の恋人は祖国に発ち、傷心の彼女は冴子の見合い相手をなかば横取りする。しかし空美にも呪いが…。空美さんの横暴と愛嬌の間のスタンスが好き。憎めない。伏線があからさまなので見合い相手の狙いは分かった。「阿川佐和子」さんはその実践者?ただ、その後の展開は驚いた。なにもねぇ…。
  • 「冬の章 冴子の運命」…読書家の冴子に、と合子伯母が持ち込んだ見合い相手は作家。会うなり意気投合する二人だったが、この作家には常に死の影が見えていた…。冴子の運命や如何に? 出てくるなぞなぞの一つは森博嗣作品っぽかったな。これは読めた。空美も絶句する結末には切ないものがある。ここにきて良きライバルの合子と空美が面白い。

垂里冴子のお見合いと推理すいりさえこのおみあいとすいり   読了日:2001年02月11日