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センセイの鞄 (文春文庫)

センセイの鞄 (文春文庫)

ひとり通いの居酒屋で37歳のツキコさんがたまさか隣あったご老体は、学生時代の国語の恩師だった。カウンターでぽつりぽつりと交わす世間話から始まったセンセイとの日々は、露店めぐりやお花見、ときにささいな喧嘩もはさみながら、ゆたかに四季をめぐる。年齢のはなれた男女の、飄々として、やがて切々と慈しみあう恋情を描き、あらゆる世代をとりこにした谷崎賞受賞の名作。


文章はすごくキレイ。一言一言に魂がこもっている。数ある言葉の中から、最適なものを選んでいるし、その中で月子さんとセンセイの距離感もきっちり描かれている。丁寧に紡いだ物語であることは間違いない。読んでいるときは全てが詩のようなキラメキを持っている。一つ一つのエピソード、おいしそうな料理・お酒。お腹の減る小説である。あぁいう自分だけの小さな居酒屋さんというものをいつか探し当てたい。
しかし、最終的な拒絶があった。それは、老人の恋愛というものをイメージできない私の狭い視野によるものなのかもしれない。どうもセンセイを好きになれない、美化できない。こういう恋愛もあるのかななんて、思いはするのですが。この「あわあわ」とした雰囲気は月子さんとセンセイの間だけのものなのだろう。

センセイの鞄センセイのかばん   読了日:2002年12月10日