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英国庭園の謎 (講談社文庫)

英国庭園の謎 (講談社文庫)

資産家の人知れぬ”楽しみ”が、取り返しのつかない悲劇へとつながる表題作。日本中に大パニックを起こそうとする”怪物”「ジャバウォッキー」。完璧に偽造された遺書の、アッと驚く唯一の瑕疵(かし)を見事に描いた「完璧な遺書」。おなじみ有栖川・火村の絶妙コンビが魅せる全部アタリの絶品ミステリ全6編を収録。


あらすじのように、全部アタリと思うかどうかは置いておいて(思わなかったって事ですけど)、すべての作品が特徴的に作られています。悪く言えば、思い付きをそのままトリックに利用した、という事にもなりますが。どの作品も、ガッカリもしないけれども、ビックリもしない、というのが端的な感想だと思います。また私はキャラクタ小説だと思っているので、アリスと火村が出てくればどんな作品だろうが一定の面白さを感じる。その時点で、作品に魅了されているとも言えるが、もっと強いアタリが欲しいと思うのです。

  • 「雨天決行」…雨の日に公園内の四阿で発見された女性が最後に言った言葉。その前夜の電話の会話の意味は?言葉が焦点の作品。そして恋愛も。事件よりも22歳の頃、アリスが相合傘をした相手とは誰だ!?の方が重要な有栖川作品。
  • 「竜胆紅一の疑惑」…かつての人気作家・竜胆紅一は自らの命が狙われていると怯える。事実、彼の周りでは放火事件も起こっていた…2作続けて出版界の話。真相にも驚きはない。関係者を問いただして、真相へという一本道の作品。
  • 「三つの日付」…ある殺人事件の容疑者のアリバイ証明者として呼ばれたアリス。彼の証言で事件が分かる。時間軸が出ている作品。隣人にカナリアを返した『ダリの繭』から3年経過で、また92年の話。
  • 「完璧な遺書」…本人の署名入りの手紙を利用して作成した遺書。見破られるはずの無い遺書を見破る術は…倒叙作品。犯人だと断定していながらも真綿で首を絞めるような尋問をする性格の悪い火村助教授(笑)。自白も時間の問題。
  • 「ジャバウォッキー」…暗号のような言葉で話す青年。彼がこれから起こそうとしていることは何なのか?ドキドキした作品。情報量・豆知識も多いし、リアルタイムで事件を解決していく「24(twenty four)」みたいでいい。
  • 「英国庭園の謎」…暗号や類が好きだった資産家が暗号ゲーム開催中に殺された。表題作。感想は、別に英国庭園じゃなくても…犯人は火村がいなかったら逃げたのだろうか?なんだか出来レースの展開だった気もします。

英国庭園の謎えいこくていえんのなぞ   読了日:2001年11月11日