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少女漫画と小説の感想ブログです

トリセツ2:恋人・看病モードなどを搭載していますが総数は公式も把握しておりません

機械じかけのマリー【電子限定おまけ付き】 2 (花とゆめコミックス)
あきもと 明希(あきもと あき)
機械じかけのマリー(きかいじかけのマリー)
第02巻評価:★★★(6点)
 総合評価:★★★☆(7点)
 

御曹司・アーサーの元でロボットと偽って働くメイド・マリー。極度の人間不信であるアーサーに溺愛されるが、人間だとバレたら処刑確実!!!!!!人間だとバレないよう「恋人モード」「看病モード」などの無茶ぶりに応えながらアーサーを狙う暗殺者と日々戦う!そんな中、マリーに一目惚れした暗殺者が転校してきて命がけの三角関係に発展!?どうなる戦うメイド生活……!!月刊LaLaで大注目のとんでもラブコメディ第2巻★

簡潔完結感想文

  • 恋人モードから本気のキス、と物語が終わりかける時に登場するサイコパス当て馬。
  • 本気を出せばノアはアーサーを殺せる暗殺者だけど、彼の仕事はスマホ奪取の怪盗。
  • ロボットの自分を好きなアーサーと 過去をひっくるめて人間のマリーを好きなノア。

期連載モード突入中、の 2巻。

『1巻』は最初の読切+3回の短期連載分が収録されていたが、今回は4回の短期連載分が収録されている。この『2巻』では短期連載の縦軸として新キャラ・ノアが用意されている。『1巻』のラストでアーサーが「本物の」ロボットという彼の理想を形にしたマリー2ではなく、偽りのロボットであるマリーを選ぶという結末だった。

ノアの登場は その比較対対象のマリーバージョンと言える。アーサーとノア、2人の男性から どちらを選ぶか、という問題にマリーは直面する。そして本書の構造の面白いところは、ノアの方が人間のマリーの全てを肯定しているところだろう。アーサーがマリーを まだロボットだと思っているのに対して、ノアは抹消したはずのマリーの過去を突き止めた。これがマリーの弱みになるのだが、先述の通り、ノアはマリーの全てを知る側の人間で、マリーを人間として扱い、そして彼女の過去も性格も全部 受け止めている

ノアは偽りのマリーではなく本人を好きと言ってくれる男。これはこれで深い愛!?

アーサーとノアは色々と正反対に思われるが、性格的に やや破綻しているところは似ており、今のところは同じ学校の生徒である。そんな2人の男性からの溺愛と求愛、そのどちらを選ぶか というのが全4回の短期連載で描かれていることのように思った。


者の工夫と集中力を感じるのはアーサーとノアは直接対決しない点。アーサーは正ヒーローであるが万能ではない。戦闘力という意味では主要人物で最弱と言える。マリーよりも弱いから守られる必要があるし守れる。

だから作中最強の設定かもしれないノアが戦闘力や暗殺というフィールドで戦えばアーサーに勝つ可能性は十分にある。しかし作者は それをさせない。『2巻』で唯一の男性たちの対決もニワトリ捕獲という平和なもの。しかもマリーはアーサーの側に立ち彼を援護している。恋愛の勝敗は早い段階から決している。

そしてノアがアーサーに近づく理由も暗殺ではないところも平和だ。きっとノアの雇い主であるメイナードから暗殺を命じられたら成功してしまう。しかし『2巻』でのメイナードの目的は『1巻』で握られた弱みを帳消しにすること。その目的が果たせるとノアはアーサーの暗殺を解禁するが、それはマリーに近づくため。殺せるけど殺す理由がないから殺さない。ノアは厄介だけど私怨がないところが作品内の湿度を低くしている
ただしノアは命令が出ればアーサー暗殺をためらわないだろう。そこが怖いところ。けれどノアに手玉に取られている状況のマリーが このままの訳がない。更なる強さを求めて筋トレをして鋼のような太ももを一層 強固にするだろう。しかも今の彼女にはマリー2もいる。というか本物のロボットであるマリーシリーズを量産してマリー軍団を作ればいい(笑) そうやって戦力を増強していって、最新バージョンのマリー57ぐらいで、本当にマリーと外見もそっくりなロボットになるかもしれない。そういう究極の二択も見たい。

短期連載の繰り返しだから話は全リセットされるし重複部分も多い。けど まだまだ可能性を感じられる作品。アーサーがマリーの秘密を知ってどう動くのかを切望する読者の声が定期連載に繋がったのだろう。


敷内で何度も暗殺されかけているアーサーは、ガバガバなセキュリティを問題視。しかし その一因に他者に厳しいアーサーのクビ宣告による人員不足があると考えた側近・ロイは、アーサーの心の余裕のために恋人作りを提案する。

けれど人間の女性は信用できないアーサーは機械メイドのマリーで恋人気分を味わうことを決める。マリーに勝手に恋人モードがあると認定したため、マリーは恋人モードの体(てい)でアーサーとデートをする。デート回である。上流階級の振る舞いを知らないマリーのために、ロイは庶民デートに誘導。マリーは周囲の恋人たちを真似ることで何とか恋人モードを遂行しようとするが人間のカップルのように上手くいかない(マリーも人間なので恋愛偏差値の問題)。

それでもアーサーはマリーのする不慣れで子供っぽい行動も大らかに容認してくれる。四つ葉のクローバーというプレゼントは、何かプレゼントしようとしたマリーの心が美しく、そしてプレゼントに喜ぶアーサーの姿がプライスレスなのだ。

人間なら好意がないと出来ないデート回も、ロボットならモードチェンジで楽勝

れど2人で手を繋いで、傍目からは恋人同士に見えても、今の自分たちが偽りな関係であることがマリーの胸を痛める。

立ち寄った教会でアーサーからキスを求められたマリー。マジでアーサー様はガチ恋勢になられたようだ。しかしキスの直前に暗殺者に狙われ、いつものようにマリーが秒殺するかと思いきや今回の暗殺者はマリーと互角に戦いを繰り広げる。暗殺者に教会の屋根から落とされたところをアーサーに助けられる。ここで怪我をして流血したら そこで嘘がバレていたのか。アーサーは2つの意味でマリーのピンチを救っている。しかも彼女の無事を確認したアーサーは頬にキスをする。マリーは心臓に悪い恋人モードをエネルギー消費の観点から頻繁に実行できないという設定を作る。嘘に嘘を重ねるとは まさにこのこと。そのうちモードの把握が難しくなりそうだ。


リーを襲った暗殺者は転校生として同じ学校に潜入してくる。名前はノア。彼はデート回でアーサーを ずっと観察して、彼の隣にいたマリーに一目ボレしたという。しかもノアはマリーの過去を知っていた。ロイが消去したはずの過去データをノアは全力で入手したらしい。たった1日で それをしたのか? それほどにノアは優秀だと言うことか。

ノアはマリーの知られたくない情報を脅迫材料にする。そこにアーサーが現れるが過去を知られないためにマリーはノアとの懇意を装う。マリーへの自分以外の男性の接近で嫉妬に駆られたアーサーがノアと勝負を挑む。

アーサーは あと一歩で勝利を掴みかけるが、彼の勝利をサポートしようとしたマリーが水没。マリーが泳げないためロボットは水に弱いという設定を事前に知っていたアーサーは勝利よりマリーを優先する。アーサーの足を引っ張った形となった自分を強く希求してくれることにマリーは嬉しくなる。ノアも紳士なアーサーに感服したと勝負を放棄する。


げないけど丈夫なマリーに対して、果敢に入水したアーサーが風邪を引く。風邪回である(マリーが風邪を引くことは設定的に有り得ないのか)。

しかしアーサーは風邪を引いても自宅で学業と学校の仕事をこなそうとする。それは選ばれた自分の後ろには選ばれなかった者がいると知るからこその彼の責任感の強さである。そんなアーサーの頑固さを止めるのは、ロイから預かったアーサーの父も使っているという看病セット。その中身はナース服。デート回の時もそうだったが、アーサー父は女性に関して少々 緩い部分がある。そういう人だからアーサーという愛人の子が生まれたのだろうけど。

ナース姿のマリーにアーサーは混乱と興奮を覚えるが、マリーが看病モードに入ったと大人しく看病される。寝る前に汗をかいた身体を拭き着替えるためにアーサーは服を脱ぐ。肌を露出したアーサーの背中には無数の傷があった。それは彼が幼少の頃から襲われ続けてきた証拠。一生消えない人生の負の要素をアーサーはマリーに初めて見せ、マリーは それを優しく受け止める。自分と一緒にトラウマと一緒に生きようという将来の約束に見える。彼の強さも弱さも素顔も素肌も見て、マリーもまた満たされていく。


アの雇い主は、アーサーの異母兄・メイナード。ノアはメイナードから『1巻』でアーサーに握られた弱み(犯罪の証拠となる動画)の入ったスマホを奪取することを命じられて学校にも潜入した。これまでスマホ奪取が第一目的だったノアは それを果たしたことで、アーサーを殺害対象と見做す。

命懸けの三角関係が始まった。創立記念パーティーでノアの計画が始まる。仮装パーティーでもある この場と自身のコミュ力を利用して、ノアは自分と同じ格好の生徒を多く紛れ込ませていた。ノアが警戒監視から逃れたことに気づいたマリーはアーサーの無事を確保しよう走る。しかし その前にノアは睡眠薬をアーサーに打ち込み彼の意識を奪っていた。ノアにとってアーサーは飽くまで囮でマリーの到着を待つ。

ノアと対峙したマリーは戦闘を開始。『1巻』の初対決時に戦力差を痛感したマリーは戦闘力を上げる努力をしていた。しかしノアは強く、首を絞められ絶体絶命。その際にノアはマリーに対して偽りのロボットではなく、人間としての経歴の全てを知った上でマリーを好きと告げ、そして必要だと言う。アーサーと形は違えどマリーの自己肯定感を刺激する言葉である。
しかし絶対的にノアを信用ならないマリーは、アーサーが抵抗した際のスタンガンによって弱ったノアの握力に気づいて態勢を立て直す。そして暗闇に乗じて自分とマリー2を入れ替える。ノアが同じ格好した生徒を目くらましにしたように、マリーも同じ手を使ったという構成が粋である。

そして戦闘をマリー2に委託して、アーサーを救出する。しかしマリー2は善戦するが敗北。マリーはアーサーを庇いながら、そしてノアはマリー2との戦闘での負傷を抱えながらの戦いとなる。ノアはマリーの過去だけでなく現在の恋心も見抜いていた。偽りの上で成立する関係や、学校内でも人間関係を築けない疎まれる存在だとマリーの弱点を揺さぶる。その精神攻撃からマリーを守るのは まだ感覚が完全に回復していないアーサー。2人の男性は同じようでいてマリーを救ってくれるのはアーサーしかいないのだ。

致命傷を負ったにもかかわらずノアは翌日も登校する。そして暗殺に関係なくマリーの受け皿になることを告げる。暗殺者でも当て馬はヒロインを一途に好きでい続けるようだ。