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トリセツ5:ロボットの言動はユーザー様の趣味嗜好の塊です。我に返りませぬよう

機械じかけのマリー【電子限定おまけ付き】 5 (花とゆめコミックス)
あきもと 明希(あきもと あき)
機械じかけのマリー(きかいじかけのマリー)
第05巻評価:★★★☆(7点)
 総合評価:★★★☆(7点)
 

御曹司・アーサーの元でロボットと偽って働くメイド・マリー。極度の人間不信なアーサーに溺愛されるも、人間だとバレたら即処刑間違いなし!…なのに、アーサーがマリーの秘密を知ってしまった…!?しかしすでにマリーが大好きなアーサーの様子はさらにおかしくなり…?新たな秘密バトル開幕の溺愛ラブコメ第5巻☆★

簡潔完結感想文

  • 秘密がバレてはいけないマリー VS. 秘密を知ったことをバレてはいけないアーサー。
  • 頑張り屋のマリーの学校生活が彩られた裏にノアの存在があることは彼だけの秘密。
  • 白泉社の御曹司恒例の婚約者騒動。アーサー様は自分をコネに利用する人間が嫌い。

間の経過が油断と英断を生む 5巻。

相変わらず1巻分にテーマが見えてくるのが良かった。『5巻』はアーサーが、マリーがロボットではなく人間であることを知っていることを知らない振りをする内容となっている。これまではマリーが秘密がバレる緊張の中にいたが、彼女の与り知らないところでアーサーと攻守交替している構図が面白い。マリーが慣れない接近にドキドキしていたのと同様、アーサーが人間の女性にドキドキしていることでアーサーが年相応の青年に見えてくる。

しかし(無印の)最終『6巻』へと次のテーマを発表するためなのだろうけど、新展開の予告を最後の1ページに詰め込んだバタバタ感が凄い。何の予兆もなく同居初日のような男女のハプニングが起きている…。


の大嫌いなアーサーが嘘を許容するのは、その嘘が嘘で良かったと思ったからだろう。ロボットにガチ恋する自分よりもマリーが人間であってくれたことの安堵が大きかった。それは ここまでの4巻分の恋心の蓄積が生んだ寛容だろう。彼は自分の心の動きを正確に理解し、責めるのではなく恥じることを選んだのも笑える。

そして一層 面白いのはこの屋敷でのマリーの行動はアーサーがプログラムしたもの と言えること。膝枕も食事を食べさせてもらうことも萌えメイド動作も全部アーサーの趣味嗜好なのだ。ここまでの4巻分で、マリーがアーサーに接して望まれたこと、したら喜んでもらえたことの情報の蓄積が今のマリーの行動となっている。人間のマリーに自分の性癖をぶつけて、フィードバックさせていたことは年頃の青年にとって死なせてくれ、と思うほど恥ずかしいことだろう。

アーサーが真実を知ったことを知らない振りをするのもマリーと一緒にいる時間を一時(いっとき)でも長くするため。だから彼は嘘の片棒を担ぎ、進んで共犯者となる。

全てはアーサーがマリーに仕込んだこと。でも真実を知り賢者となった彼は我に返る

一方で、嘘をつく側のマリーと愉快な仲間たちには、人間がロボットの振りをする という無茶苦茶な嘘が4巻分 バレなかったのだから大丈夫という油断があるのが面白い。ある意味で この一味はアーサー様のことを過小評価している人間たちと言えるだろう。

真実に気づいてみると、屋敷の警備と同じぐらいガバガバなマリーのロボット設定。そのロボット設定を どうにか守るためにアーサーの方がガバガバな設定を補完していく様子には笑わずにはいられない。御曹司はトラウマが解消され健やかな心で おられるのかと思ったけれど、色々と気苦労の絶えない星の下に生まれているようだ。

少女漫画の作法の通り、ヒーローのトラウマ解消は恋愛解禁の合図、としながらも、本書ならではの1巻分を使った混乱の収拾があるのが良かった。今回でアーサーは人間のマリーも ちゃんと愛せることを理解した。嘘で縁取られていたために長かった両片想いも いよいよ終わってしまう。惜しまれながら、余力を残しながら、中だるみが無かったからこそ続編が期待される人気作のまま終わったのだろう。続編が本編の価値を落としたりしないことを願うばかりだ。


リーの経歴資料を見てしまったアーサーはマリーが人間だと疑う。しかし彼の中に湧き出したのは嘘をつかれたことへの怒りや悲しみではなく、ロボットだと思い込んだ自分のマリーへの言動への羞恥と反省だった。

一方、アーサーに嘘をついているマリーや側近・ロイはアーサーの様子がおかしいことに気づくが、ここまで真実を華麗にスルーしてきたアーサーの鈍感さを信用し切っていた。

アーサーはネット上のマリーらしき人物の情報が ことごとく改変されていることを知る。しかし人間離れしたマリーの行動を目の当たりにしてアーサーは疑惑を一度は放棄する。
だから これまでのようにロボットのマリーに自分の愛情を包み隠さず打ち明ける。そのアーサーの真心に触れたマリーの表情が あまりに人間的であることにアーサーは驚く。そして賊からマリーを守る動作の中で彼女の腕を掴み、脈を確認する。それを理解した上でもアーサーに怒りは湧かない。その代わり湧き出したのは人間・マリーへの愛情。マリーがいつも寄り添ってくれたことはアーサーの中の真実である。彼女に触れたいアーサーは抱擁を命令する。そこで感じるたのは自分が人を愛せるという安心感、そしてマリーの心臓の鼓動だった。そのことにアーサーは静かに涙を流す。

では なぜマリーはロボットに偽装し この屋敷にいるのか。その疑問が浮かんだアーサーは、マリーとロイの会話を盗み聞く。そこでマリーの秘密の露見はマリーの屋敷からの追放を意味し、マリーも了承していることを知る。だからマリーと一緒にいたいと願うアーサーは自分が秘密を知った事実を彼らに知られないように努める。


リーが人間だと分かってからのアーサーは年相応にドキドキしっぱなし。だって好きな人が自分の身近にいて世話をしてくれるのだから。しかし そのドキドキを悟らせてはいけない。だからマリーと距離を取ろうとするが、マリーはロボットとしてアーサーの心身の安定を優先しグイグイくる。

自分の緊張を悟られたくなくてマリーの心遣いを拒絶してしまったことに気づいたアーサーはマリーに甘えることを決める。屋敷内でのマリーの好きな場所を知ってアーサーは また彼女の心に近づいていく。


節イベント・秋祭りの日、アーサーが生徒会の仕事で花火を見ることが出来ないためマリーは花火を一緒に見る相手を探していた。そこでマリーの友達作りが始まるが、経験不足と常識や価値観、アレルギー反応の違いで仲良くなれない。しかしマリーは不屈。

そんな時、教室内で割れた花瓶が発見され、担任教師は犯人を突き止めようと生徒を足止めする。犯人が名乗り出ないと年に一度の花火を見られないと生徒たちは ざわめく。そこでマリーは友達になりたいクラスメイトたちが花火を見られるように犯人だと虚偽の申告をする。またもや作中で嘘が出てくるが、これは誰かのための嘘。

マリーの健気な心理を間近で見ていたノアは真犯人を突き止め鉄拳制裁をし、マリーを花火の見える場所に連れていく。そこで自分のスキルである社交性をマリーに伝授し、彼女をクラスメイトの女子たちの前に歩かせる。そうしてマリーは自分を認めてくれる人たちと交流をすることが出来た。その橋渡しをしてくれたノアに お礼を言うマリーの明るい表情にロイは胸を打たれる。しかし すぐに仕事を終わらせたアーサーが現れ、彼の隣で満たされた表情を浮かべるマリーを見ることになる。ノアの不毛で本当の恋が始まろうとしている。


称・アーサーの婚約者のイザベル(14歳)が登場。彼女はアーサーの遠縁。しかし本当はアーサーの異母兄・メイナードの婚約者。それでもイザベルはアーサーを望み、彼の自称婚約者を名乗っている。

イザベルは、アーサーが婚約を言い訳がましく弁解しようとする女性・マリーを発見し、敵意を燃やす。側近・ロイが この場を収拾するためにロボットだと紹介するが、イザベルは女のカンでマリーの正体を見破る。あっさりと真実を口にしたことでマリーと愉快な仲間たちとアーサーは絶句。嘘の露見は好きな相手を失うこととマリーとアーサーは絶望する。

登場4ページで真相を見抜くイザベルに対して、4巻分 真相をスルーし続けた御曹司

その件は有耶無耶のままイザベルのワガママに付き合って遊園地に向かう。そこでもマリーが非ロボットであることが露見しそうになるのをアーサーが必死にフォローする。アーサーの負担の多い遊園地回だが、人混みの多さで自然と手を繋ぐことが出来て彼は幸せそうだ。水の中をモチーフにしたアトラクションで泳げないマリーのトラウマが爆発しそうになるのをアーサーがフォローする。飽くまでマリーの機械設定を守った上でイザベルを納得させる態度を取ってマリーを助ける。これは好きになっちゃうヤツ。


1日中 イザベルに付き合わされるマリーを気遣いアーサーは休憩を挿む。そこで彼女に水分摂取させようと自分の飲みかけの飲料を渡し、捨てるように言って その場を立ち去る。秘密を守ったままの彼女の守り方は複雑だ。

しかしイザベルに飲み物を口にしているところを見られ、マリーは彼女に弱みを握られてしまう。そこから脅迫される形でマリーはアーサーとイザベルの恋の応援モードに突入する。アーサーはマリーの突然のモード変換に戸惑う。しかしマリーは2人を応援することで自分と彼との立場の違いを痛感し、身を引くことを決意する。

しかしアーサーにストレスが付加されたことにより、彼は人間嫌いを発動。イザベルのワガママに付き合わない狭量な男性に成り果ててしまった。マリーは自分の苦労を無駄にするアーサーの言動に腹を立てる。そして悲しみで逃亡したイザベルを追い、彼女の恋を諦めないように導くことで心を通わす。


ザベル登場以降、アーサーが必要以上に冷たかったのは自分の恋路を邪魔されているという私怨ではなく、そもそもイザベルが本当に自分を好きではないことを見抜いていたからだった。本当に想っているのは婚約者のメイナード。

惹かれたメイナードはアーサー登場によって変わってしまい、自分のことを気にしてくれなくなった。だからメイナードが執着するアーサーに近づいて、メイナードの視界に入ろうと思ったのだ。マリーは迷惑なイザベルに対して立腹するが、アーサーは自分の存在が変化させた人間関係にも責任を負おうとする。それがイザベルの目にはアーサーの変化だと感じられた。そして その原因にはマリーの存在があることも分かった。

イザベルが2人に頭を下げることで一件落着。マリーの強引なカップリングもアーサーはデコチューで水に流す。しかもイザベルが知ったマリーの秘密は人間であることではなかった。これで日常が戻ると思われたが…。2巻連続、人間バレの危機。