《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

ホグワーツ魔法学校入学。想像の力を用いるから面白く、想像の力の分だけ怖い。

ハリー・ポッターと賢者の石 1-1 (ハリー・ポッター文庫)

ハリー・ポッターと賢者の石 1-1 (ハリー・ポッター文庫)

ハリー・ポッターと賢者の石 1-2 (ハリー・ポッター文庫)

ハリー・ポッターと賢者の石 1-2 (ハリー・ポッター文庫)

「ハリー、おまえさんは魔法使いだ」。その一言が、ありふれた日常を、宿命に操られる波乱の人生へと変えた。ホグワーツ魔法魔術学校で新たな生活を始めたハリーを次々と襲う闇の恐怖。壮大な構想のもと、個性的な登場人物が織りなす感動長編の序章。勇気と信頼と友情の物語は、ここから始まる。

「賢者の石」を狙う謎の影がホグワーツに迫る。「賢者の石」とは何か。だれが石を手に入れようとしているのか。ホグワーツの教師に疑惑を持ったハリーは、ある事件をきっかけに固い友情で結ばれたロン、ハーマイオニーとともに探索に乗り出し、勇気と機知と行動力でついに闇にひそむ巨悪を追いつめる―。


遅ればせながらホグワーツ魔法学校入学。本書はファンタジー小説と同時に、友情あり冒険あり成長ありミステリありと一冊で何もかも楽しめる贅沢な小説。驚いたのは世界的ベストセラーでありながら、イジメありイビリあり復讐ありと陰湿な雰囲気が物語に張り付いている事。それら全ての要素は主人公のハリーという人物に光を当てるための対照的な闇なのだが、その闇の深さにはやや戸惑った。後述するが、本書は子供にとってかなり嫌な部類の小説ではないだろうか。あらゆる要素が詰まっているとはいえ、闇の濃さが気になるところ。
世界的ベストセラーも納得なのは、その秀逸な構成。飛び交う固有名詞や目に余るハリー贔屓の展開に辟易しながらも目は文章に釘付けのままだった。何も知らないハリーと同じ視点で魔法世界の全ての事象に目を瞠り、彼ら生徒たちと一緒に次々に身に降りかかる問題に苦悩していた。前述の通り、一冊に様々なジャンルが詰まった贅沢な小説なので、それだけ読み所も多かった。
序盤、叔母一家で寂しい暮らしていたハリーには、シンデレラストーリーが用意されていた。家庭内のイジメにも耐え聡明に成長する醜いアヒルの子・ハリー。しかしシンデレラと違うのは魔法使いに出会い城へ向かうのではなく、自らが魔法使いで(ある意味で)王子様であった点。現実では物置暮らしの彼が魔法世界では大金持ちのサラブレッド。彼はいったいどのように増長するかな…(イヒヒヒヒヒ) 本書が世界的ベストセラーになる訳は、このような普遍的な古典童話と同じ要素を持つからなのか。実はこの感想を書くまでは、ハリーのイジメ描写を快く思ってなかったのだが、思えば世界的に支持される童話も序盤の内容はかなり陰湿だ。美しいから苛められ、果ては毒リンゴで殺害される。理不尽極まりない(笑)
中盤はハリーの初めての友人たちとの交流が読み所。ロンとハーマイオニー、それぞれの個性がハリーの三本の矢となる。終盤の展開はちょっと感動する友情物語だった。魔法学校とはいえ現実と同じ学園生活で、七不思議を探検し、教師の怪しい秘密を耳にする。ただ一つこの学園生活で疑問に思うのは各寮への点数制度。というよりも、あの憎き教師のハリーたち個人的減点。教師が勝手に得点を操作できる制度は甚だ疑問(ラストの加点に対しても)。魔法学校も意外と窮屈。夜の校舎、魔法で窓ガラス割って、この支配からの卒業〜♪
終盤はミステリの様などんでん返しの連続。魔法学校内の(まさに)悪の手先は誰なのかが明かされる場面には驚いた。読者のミスリーティングを誘う手法も、真相を納得させる伏線もしっかり用意されている。更に悪の親玉が姿を見せる場面の怖さといったら! 本書がベストセラーになって子供たちの読書時間が増え、想像力が豊かになる一方で、この本の描写って柔らかい子供の心にはトラウマを残しそうな気もするなぁ。ラストの対決場面なんて、自分の頭を使って想像した事だからこそ、いつまでも夢にも出てきそうだ。もし私が子供だったら翌朝は布団一式物干し行き(笑)
当初からシリーズ化構想されているために残された謎もあり、一冊だけでは評価し切れない部分も多い。今後への期待としては、主人公たちの年齢的・精神的成長とともに様々な価値観が提示されたら内容に深みを出して欲しい。
しかし、この世界での魔法とは何なのだろう。「マグル=一般人」にとって生活と魔法は無縁で、交通にも医療分野にも魔法は使われていない。この金持ち学校の資金源も気になる。木の葉を紙幣にしてたりして(笑) あと徹頭徹尾、叔母一家が阿呆に描かれているのが気になった。まさかハリーの増長への布石!? イヒヒヒヒヒ。