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かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)

かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)

ひとりぼっちが寂しいなんて嘘さ。もっと速く遠くに飛んでいくんだ。そう、重要なのは食べることではなく、飛ぶことだ。風になることだ。急降下、宙返り、きりもみ、そして全速力。飛ぶことだけのよろこびを味わうために、光りかがやく空の果てまで飛んでいく一羽のかもめ、ジョナサン・リヴィングストン。群れから追放された異端のかもめは、強い意志と静かな勇気をもって、今日もスピードの限界に挑戦する。夢と幻想のあふれる現代の寓話。

   
読書前から名前だけは知っていた本。なんとなく啓蒙書・哲学書のような感じを受けていたが間違ってはいなかった。私には精神の高みを目指そうという内容の本でした。
私の読解力によってこの本を要約すると、本能のままで生きることなく、より高みを目指して生きる。そして自分ひとりではなく、後発者にも教えを広めることでより素晴らしい社会を目指すのが人生の目的だ、という内容(だと思った)。しかし訳者でもあり、この本の解説をしている五木寛之さんですらも言っているように、なぜこの本が売れたのかが疑問だ。この手の啓蒙書・現代寓話は出版当時の1970年代にも溢れていたのではないだろうか。私は読んで、協調性を重んじる日本人には合わないのではと思ったのだが、社会が豊かになるにつれて「個」がそれぞれに芽生え始めていたのだろうか。
私は寓話や啓蒙書をたくさん読んだわけではないが、このような本は読み手の思考や感情で幾通りにも受け取れる占いのようなものだと思う。どこに寓意を感じ取るか、はバラバラであろう。魂の飛翔とでも取って宗教に転用できたり、社会に対して迎合するのはやめようという反体制の本にも取れる。そういう自由な解釈の余地を残しているのが良かっただろうか。

かもめのジョナサン   読了日:2002年10月03日