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少女漫画と小説の感想ブログです

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明治メランコリア(4) (BE・LOVEコミックス)
リカチ
明治メランコリア(めいじメランコリア)
第04巻評価:★★★(6点)
 総合評価:★★★☆(7点)
 

津軽(つがる)を追いかけ、仏蘭西へ渡った鈴(すず)は、津軽と再会を果たす。抱えてきた疑問をぶつける鈴。だが、津軽から返ってきた答えは…。それぞれの思いが交錯する仏蘭西編。謎を解く鍵は、津軽の元恋人・ひなが持つ!?

簡潔完結感想文

  • チートな津軽とは一緒にいられる時間は短く、鈴は津軽以外の男性キャラと交流し続ける宿命。
  • 連載の継続のために津軽は思わせぶりなことしか言わない。迷惑を掛けた人の態度にあらず。
  • 男性キャラとの交流が少女漫画の生命線なので、接近を拒む津軽や春時は鈴の傍に置けない。

軽と会う旅の目的は終着点ではなく出発点、の 4巻。

『緋色綺譚』の感想文でも書いたけれど、作者の言う通り津軽(つがる)は軽々と真相に辿り着いてしまうチートキャラ。そのヒーローの特殊能力(魅力)は連載を短命に終わらせかねない要素で、『緋色』の中盤と同じように この『メランコリア』でも いかに津軽を物語に介入させない物語を作るか が大事になる。

最短ルートを通るならばパリで やっと再会した津軽が自分が ここに来た目的や重要人物である ひな の目的など、現時点で把握していることを鈴(すず)に話して情報を共有すればいいが、それをしてしまうと連載が終わる。だから今回の再会での津軽の役割はキーワードを匂わすことで、本来 謎を整理する立場である津軽が謎を散布していく

この津軽の隔靴掻痒を増幅させるだけの言動にはイラっときた。冒頭で鈴が津軽を力の限り平手打ちしてスカッとしたのに、津軽は中途半端なことしか言わない。注意深く読むと それも鈴が巻き込まれることを恐れての行動で広い意味では鈴を守っている。けれど多大な時間と金額を使った割に津軽は大事なことを言わないから、本当に この人は自分の勝手な行動で心を痛めた人の気持ちが分かっているのかと不安になる。ひな と同様に鈴の手も簡単に手放せるのではないかと彼の情の薄さにヒーローとしての適格性を疑う。
ただ津軽の匂わせによって今回のエピソードでも鈴の「血」が関与する場合もあって、鈴が物語に関与する要素があることが明かされる。津軽の匂わせは彼を「伏線おじさん」にさせる。先にキーワードを羅列することで津軽には全てが見えていたと最終的なヒーロー昇格が約束しているのだろう。

メインキャラの津軽だけど万能すぎてゲストのようなスポット参戦しか許されない

また『3巻』が津軽との再会の道行きだったけれど、今回も移動ばかりで腰を据えない。『緋色』では鈴が一定期間 男性宅に あちこち滞在していたけれど、今回は知人がいないフランスが舞台なので その手法が使えない。だから移動を通して男性キャラと交流を深めていく。『緋色』から登場する河内(かわち)や春時(はるとき)が居ると新キャラとの交流要素が希釈されてしまうので、移動中に彼らを振り落とす。津軽と一緒にいても ひな と一緒にいても融通の利かないところがある春時は詰問ばかりになるので どちらからも見放される(笑)

特に序盤は既存キャラにページを割くのではなく新キャラと鈴との関係性に焦点を当てる。だから春時は お呼びではない。
『3巻』では ひな との1回目の交流があり、『4巻』では ひな と2回目、そして新キャライケメン・平賀(ひらが)との長時間の交流が始まる。

面白かったのは名前を知らないままの交流では好印象だった ひな とは会わない部分が目立ち始め、逆に悪印象だった平賀とは分かり合える部分が出てきている。これは2人の性別も大きく関与している。ひな が津軽の元カノで現在も津軽との特別な関係性を匂わせる限り鈴は仲良くはなれない。ひな の描写に少しずつ毒を含ませるのが序盤で消化すべき要素なのだろう。最後に鈴が ひな にどういう感情を持つのかが鈴のヒロインの立ち位置の最終報告になりそう。逆に異性間だから鈴と平賀は惹かれる余地がある。鈴は一定時間一緒にいる男性を魅了するスキルでも持っているのだろう。

ラストでは「伏線おじさん」の役目を果たした津軽が再び退場処分となる。これで また平賀との距離が縮まる。津軽と離ればなれになりながら、男と一緒に行動するという基本構造は『緋色』から変わっていない。そして『緋色』と同じく15歳の鈴も少しも津軽との恋が進展しない。作者はサスペンスは作れてもロマンスを作るのが苦手なのだろうか。仕切り直したのに同じパターンが繰り返される匂いしかしない…


意から1か月以上かけて遠いパリの街で津軽に再会した鈴。感動の再会に涙が溢れるが怒りも込み上げる。それは自分の存在を軽視する津軽と周囲への軽視への怒りだった。

平賀(ひらが)が動き出す気配を見て鈴は津軽に逃亡を促す。そこで津軽は一緒の逃避行を提案。結果的に平賀(下の名前は馨(かおる)と判明)に追いつかれて3人で1台の自動車に同乗して移動することに。これは重要キャラに集中させる意味もあるのだろう。振り落とされたのは平賀ではなく春時(はるとき)で、彼が あれこれ口を挟まない比較的落ち着いた状況を用意する。

津軽が平賀を恐れないのは後ろ暗いことがないから。でも津軽の急な行動の真意を津軽は答えてくれない。


思議な3人旅の目的地はモンテカルロ。いつもなら河内の場所に平賀がいる。そして平賀と鈴の相性が悪いから口喧嘩が絶えない。しかし道中で平賀が発熱して倒れ、看病回を経て2人の距離は近づく。鈴は平賀を意外と繊細で悪い人ではないと思い始める。

車で移動中、鈴が眠ったのを見計らって津軽は鈴が黙っている平賀への献身と いじめないでくれと釘を刺す。その後、起きた鈴が寝たふりを続けていると津軽は大人同士の話を平賀と繰り広げる。事情に通じている2人の会話は鈴には断片的にしか分からない。これは読者への布石でもあって、鈴が抱く疑問が作品の牽引力となる。

病人・看護者が互いに朝まで絶対に起きないのが暗黙のルール。朝チュン必須

う一つの3人組となった ひな・河内・春時は春時が ひな に不信感を抱いて険悪。津軽の行き先すら はぐらかしてばかりの ひな に春時が詰めると、ひな は春時を放置するために騒動を起こし、一人で電車に乗って移動してしまう。春時にとっては2度目の放置だ。

河内と春時は一度 拠点としている河内の親戚宅へ戻る。そこで春時は必要な情報を集め津軽の居場所を推定しようとする。やがて津軽が出した行き先を報せる手紙を読むことになり、ワンテンポ遅れて目的地に異動を開始する。


な は津軽の行動を予想できる。女学校に通い始め津軽に出会って、鈴が目指す才女と呼ばれた ひな は津軽と同じ思考が出来る。ひな と合流する前に津軽は ひな が鈴を利用するかもしれないリスクを話す。それを津軽は回避したかったが、目の前に鈴が現れた以上 不可避と判断。それに津軽は鈴を昔から助手として見込んでいる。その嬉しい言葉を久々に聞いた後、ひな が追いつく。

ここで2度目の女子タイムが発生するが、1回目と違い鈴は ひな との違いばかりが気になる。
一方で平賀と行動する津軽は平賀に自分が一緒にいれない時の鈴の護衛を依頼する。それは鈴の「血」が利用される懸念があるから。そして津軽は平賀と同じく ひな の夫である愛染 元二郎(あいぜん もとじろう)と敵対する自分の立場を表明する。これによって平賀は津軽と利害を一致を見て、鈴の護衛を引き受ける。そんな鈴の背景を同じ家にいた春時は知っている様子。津軽から鈴が巻き込まれる可能性を知らされ春時は鈴との合流を急ぐ。

先行する4人で行動すると、ひな と津軽がペアになり、鈴は平賀とペアになる。ダブルデートのような様相になり、ひな は若い2人をくっつけようとしたり、自分が死亡したことになっており愛染の妻ではないと、津軽との復縁が可能であるような気配を漂わせる。『緋色1巻』の幼なじみ女性に続く久々の女性ライバル(しかも元カノ確定)の出現で鈴は落ち込む。そのケアをするのは平賀。
やがて ひな は隠していた「強者」の本性を現す…。