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少女漫画と小説の感想ブログです

魔法少女は、ひみつ道具で クールな友達のキャラを崩壊させる困りもんのドラえもん

ウルトラマニアック 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
吉住 渉(よしずみ わたる)
ウルトラマニアック
第01巻評価:★★★(6点)
 総合評価:★★☆(5点)
 

亜由は架地くんに片思い中のフツーの女の子。そこへ自分の事を魔女だという「フツー」じゃない女の子・仁菜が出現。そして亜由と仁菜の不思議な毎日が始まった……。

簡潔完結感想文

  • 作者初のファンタジーもの&ダブルヒロイン体制。この男性は どっちのヒーローなのか。
  • 携帯用マジックパソコンは ほぼスマホ。魔法より科学技術の発達の方が早いのかも。
  • クールなはずの亜由は『1巻』は巻き込まれヒロイン。その原因はドジっ子な魔女っ子。

ッケージが変わっても中身は安心の吉住印、の 1巻。

吉住作品に魔法というファンタジー要素が入るのは初めて(にして最後?)らしい。その他に本書は最初からダブルヒロイン体制になっている。主人公たちが中学生設定(のまま)なのは珍しいが『ミントな僕ら』の前例がある。

異世界転移ではなく異世界から転校してきた仁菜によって日常とキャラは崩壊する

魔法というとファンタジーで非現実的なイメージがあるが、ご自身でも理屈っぽいという自覚がある作者の手にかかると「杖と魔法の世界」ではなく、「ITと薬物の世界」になる。

作中で登場する魔法グッズのマジックパソコンの形状は電子辞書をモデルにしているが、2025年現在から見ると その機能はスマートフォンである。電子辞書で写真や動画撮影、ネットに繋ぐなど2002年当時は夢のような機能が10年強で実現しているのだから魔法の存在よりも科学技術の進歩の方に驚いてしまう。発達し過ぎた科学は魔法である、とは よく言ったものだ。

そして『1巻』で登場する魔法の多くはチョコ(または別の食べ物)にインプットされる。物語が進むにつれ、いかにも魔法っぽい魔法も登場するのだけど、『1巻』時点では魔法は未来の科学技術っぽく感じる。ヒロインが出会う魔法少女が実は同じ世界の未来から来たという裏設定が明かされても納得できる範囲だ。

もしくは『1巻』の魔法は危険ドラッグのようにも思える。性別を変えること、好きな人を変えること、それは本人に作用するドラッグで本人が そう思い込んでいるだけの世界。ドラッグの名前は「マジックチョコレート」。そう考えると題名の『ウルトラマニアック』からは ちょっと違法な匂いが漂っているような気がする。

そんな『1巻』で一番 違和感があったのは魔法グッズ同士を有線で結んでいることかもしれない。イヤホンとかもそうだが、いよいよ有線はレトロの象徴になりつつある。


きなり世界設定の話から始めてしまったけれど、恋愛面では本書はダブルヒロイン制なので、正ヒーローというものが分かりにくいのが物語を面白くしている。1話で架地(かじ)と辻合(つじあい)の2人の男性が登場するのだけれど、そのどちらが どちらのヒロインのヒーローなのかが分からない。しかも『1巻』では どちらかというと裏ヒーローっぽい辻合の方がエピソードが多い。

仁菜の魔法と同様、秘密の共有は2人の距離を縮める。辻合って いい人だね…(ポッ)

ましてやカップルの交換を気軽に行う吉住作品である。最初に この人が好きと言っておきながら結ばれる相手は実は違うなんてことは恒例行事である。そこが面白く、だからこそ吉住作品の好きは信用が置けない。

そこは主人公たちの年齢は関係がない。中学生でも高校生でも、高校生の子供がいる夫婦でも簡単にパートナーを交換してしまう。そういう足元が覚束ない浮遊感は どの作品でも変わらない。

魔法を取り入れた作品でも同様で、最少人数での多角関係に発展し、追加キャラが暴れ、何だかんだで落ち着くべきところに落ち着く。それが吉住作品である。

吉住作品は画面が綺麗で、絵の変化も少ないので どの時代の作品か調べるまで分からない。この絵、この作風、人間関係の入り乱れ方で人気を確立しているのだろう。2002年の作品である本書もパソコンがスマホだったら少しも違和感がないだろう。


石 亜由(たていし あゆ)はクールビューティ―と人気が高い、中学2年生の女子テニス部員。そんな亜由は先週 転校してきた佐倉 仁菜(さくら ニナ)の落とし物を拾ってあげたことで仁菜から気にいられる。

キャラの(表面上の)性格を紹介する説明ゼリフ。フルネームで呼び 文字量が多い

亜由が男女のテニス部の いさかいに巻き込まれ、男子部員の代表・辻合 宏基(つじあい ひろき)と勝負をしなくてはならなくなった。負けたらコートの使用権が奪われるため負けられないが勝ちたくない。
そんな時に仁菜から声を掛けられ、落とし物の お礼をしたいと言われる。仁菜は その下準備として亜由の人間性を観察し、彼女なら平気だと自分が魔法王国(マジックキングダム)から留学してきた魔女っ子であることをカミングアウトする。

魔法中学で落ちこぼれたため卒業危機となり、魔法関係の科目がない人間界に留学してきたという。亜由は仁菜が危ない人間だと距離を取ろうとするが、必死に縋りつく仁菜に対してテニスでの勝利のための運動能力向上の魔法をかけてもらう。

すると仁菜はチョコに魔法をインプットする。マジックチョコレートと書くと危ない薬物みたいだ…。実際、チョコを口にした亜由の意識は飛ぶ。そして目を覚ますと男性の体になっていた。

亜由が焦るのは身体の構造の変化などではなく男女の部活対抗戦に出場する自分が男性の身体になってしまったこと。しかし身体の構造と同じく魔法の実例紹介のターンなので、問題なく亜由(男)は試合に出場できる。そうして試合に勝利、…という訳にはいかず、慣れない身体は思い通りに動いてくれず惨敗。しかし試合相手の辻合が勝負に勝ってもコートの権利は現状を維持すると発言したため、男女各部の問題点を洗い出して この問題は収束する。辻合が担がれて試合に出たのは自分の意見を鶴の一声にする権利を得るためだったのだろう。
仁菜の魔法の証明とポンコツ具合を描いて1話は終わる。


法王国の人間が魔法のことを他者に話すと記憶消去をする必要があり多額の料金がかかる。亜由は魔法の存在を忘れたくない気持ちがあるため秘密の保持に努める。

2話目は亜由が痴漢被害に遭ったと聞いた仁菜が また迷惑な魔法を掛けたことで起こる騒動を描く。この騒動で亜由は好きな男子生徒で野球部の次期エース・架地 哲士(かじ てつし)と接近する。架地は1話目から辻合より目立たず亜由との交流も少ないので誰が正ヒーローなのか分からない状態なのが面白い。

この時、保健室で眠る架地を盗撮しようとする亜由が使い捨てカメラを取り出すのは さすがに時代を感じる。その盗撮現場を辻合に見られたことで亜由は、辻合と ともすると彼の親友である架地の信用を失ったのではないかと絶望する。仁菜の魔法は人に迷惑を与えるだけなのか…? 仁菜と自分の関係を亜由は「逆ドラえもん」だと例える。


日、辻合に遭遇した亜由は盗撮話を架地にしたのかを問う。すると彼は亜由の名誉のために黙っていることが判明。辻合が俺様ヒーローだったら、この亜由の弱みに付け込んで彼女を手玉に取り始める場面である。辻合の性格が歪んでいなくって良かったね、亜由。そして架地は亜由は辻合との距離が縮まっていると複雑な表情を見せている。

仁菜は亜由の恋の相手が架地であることを見抜いていた。そして亜由のクールキャラは、たまたま彼と一緒に下校した際に亜由が そういうキャラだと見えたようで、架地の理想像の自分であろうと努めてきたのだった。
そんな自己像が崩れるからと亜由は、自分のペースを狂わす仁菜との距離を取ろうとする。そこで仁菜は亜由に喜んでもらうために架地にマジックチョコレートを食べてもらおうとするが、それを辻合が食べてしまい また騒動が起きる。

辻合が食べてしまったチョコには亜由を好きになる魔法が込められていた。辻合の告白の裏に仁菜の存在をすぐに直感した亜由は解除チョコを求めるが、仁菜が落として粉砕してしまう。そこで効力が切れる3時間ほど亜由は辻合を監視する。部活後、勢いでキスされそうになった時に ようやく魔法が切れる。

仁菜が魔法に頼ってまでも自分との関係を望んでいることを知り、亜由は仁菜とのコンビを継続する。直接的に魔法を使わなくても一番 距離が近づいたのは女性同士だった。


4話では仁菜の生活が色々と明かされる。彼女の本名は こちらの発音で言うと「ニナ・サクレイル」という名前で、日本名にもじって佐倉 仁菜と名乗っている。仁菜は今 ある夫婦のもとにホームステイ中。この夫婦は夫が魔法王国の出身で妻は人間界の人。留学中に恋に落ちたため(夫は落ちこぼれだったのか??)人間界で暮らしている。そして事情を知っているため留学生のホームステイ先に選ばれた。

架地(と辻合)が合コンに参加することを知った仁菜は、架地を狙う3年生の先輩の恋路を妨害するため男性になる魔法を亜由と自分にかける。
先輩と架地の接近を邪魔するために亜由は積極的に先輩に話し掛け、そして自分が先輩を狙っていると誤解される。先輩に お断りをすると架地を狙うと言い出すから、亜由は他の2人(辻合か仁菜)にしろと勝手な願いをわめく。その際に先輩から架地には好きな人がいるという情報を入手する。片想いらしいが架地の初めての情報に亜由は思い悩む。しかもラストで消して欲しいほどの記憶が生まれる。


一体、架地は誰を好きなのか、亜由は仁菜の力を借りて魔法で自白させる手段に出ようとする。
放課後、架地と一緒に雑事をする際に、彼から辻合との交際を疑われる。架地は魔法で亜由に惚れた状態の辻合の様子を目撃していたのだ。それを一生懸命 誤魔化して、何とか架地にチョコを手渡し食べてもらおうとする亜由だったが、架地はチョコを亜由の口に入れてしまう。自分の行動や好意がダダ漏れになると焦った亜由は教室から逃亡。
その後、教室に様子を見に来た仁菜は架地の裏の顔を知ってしまう…。