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アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は…、たった1冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 注目の気鋭が放つ清冽な傑作。


予想以上に深い話だ、というのが最初の感想。読書前に、この本の情報を全くと言っていいほど知らなかったので、小説の展開を純粋に楽しめた。終盤にかけては一気に切なくなるし、ミステリとして見事に騙されたりもした。一見、訳の分からなかったタイトルにも重みを感じます。ミステリ的にも構成から考えると何かあるのは分かるんですが、しっかりトリックに引っ掛かる。この手の物は読みなれていたはずなんですけど…。やっぱり、それでも裏をかくのが伊坂さんの上手さなんだろう。思わず二度読みしてため息とともに感心した。気づけば騙され、魅了されている。自分の見ていた景色が実は双眼鏡で覗いてたものだった、と気付かされる瞬間。この見事な視点の切り替えは快感。構成の勝利だと感心。
ただ、もう飽きたかもこの文章表現と思わずにもいられない…。連続して同じ作家を読むのは一作の価値を希薄にするので危険といえば危険なんで、私の読書法も悪いのですが。会話や表現が洒脱なのは分かるんですが、普通の行動・会話に無理矢理解釈つけてるみたいで辟易ゾーン突入。一回、文章が回りくどいな〜、と思ったら主人公のすべての表現が偏屈な人間が思うことに思えてしまって、どうも楽しめなかった。他の登場人物も今までの作品に比べて好きになれなかったかも。今までの伊坂作品の登場人物よりも悪意のある感じ。河崎の相手をしたら不愉快になるだろうけど、なんだか棘のある人が多かった印象。

アヒルと鴨のコインロッカーヒルとかものコインロッカー   読了日:2004年03月15日