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にょっ記 (文春文庫)

にょっ記 (文春文庫)

他人の日常って、ほんとうに奇妙なもの。ましてや鬼才ホムラヒロシともなれば。好評連載の単行本化。挿絵はフジモトマサルのひとこま漫画。いったい何それ? という反応が返ってきそうな妙ちきりんなタイトルですが、短歌の鬼才・穂村弘さんの奇っ怪かつユーモラスな日常を綴った一冊。ついついニヤリとしてしまうハイブロウな笑いの波状攻撃。フジモトマサルさんのひとこまマンガでニヤリも倍増。


タイトルからしてバカバカしい穂村弘さんのウソ日記(誉め言葉)。でも穂村さんならウソじゃないかも、と思わせられるホムラニョッキ。この本にまとまりはない。例えば私が好きな日記のタイトルを羅列すると、「『お〜いお茶』の謎」、「うこん」シリーズ、「由美かおる」、「女性百科宝鑑」シリーズ、「手書き文字入力」、「未来ごっこ」、「清潔人」だ。見事に意味不明なタイトルのオンパレード。時に「ふふふ」と笑い、時に「ブッ」と噴き出す、そんなウソニョッキ。
日常って想像力を使うと楽しくなるんだな、と思った。想像力は穂村さんの最大の武器だ。もちろん、それに加えて文章力・表現力・考察力の持ち主。 「『お〜いお茶』の謎」は誰でも見ているのに、誰も見過ごしていることの代表例。私も読んでから確かめてしまった。そうか…、こんな感涙ドラマが隠されているのか、と毛筆の商品名にしばし見とれる。「うこん」シリーズも同じ。「『うこん』が困るのは、これをみて『うんこ』を必ず思い浮かべる自分はひょっとして下品なのだろうか、と思ってしまうことだ。」の一文には感動した。恥ずかしさの原因は名称ではなく連想してしまう自分の思考だ、という目から鱗の考察。逆に「由美かおる」「未来ごっこ」などは、一歩間違えば「病院はアチラです」という感じだが、この遊びで楽しめるのは想像力を持つ者の特権だろう。「女性百科宝鑑」などの古い雑誌は、その時代のシュールさが最大のインパクト。この時代、どこかの新婚夫婦がこんな会話を交わしていたのだろうか…、と思いどきどきする。「手書き文字入力」のおバカさには参る。「蟹」の件だけでも突き抜けているが、自分の顔を書くなんて子供でもやらないよ!……面白い遊びだったんで、私は「ドラえもん」で挑戦。結果は「襲」。どうやらヒゲの3本線が決め手だったようだ。そういえば、穂村さんは「のび太」に似ている。ドラえもんのび太のコンビは「襲」と「ぬ」か。ふふふ。
フジモトマサルさんのイラストも穂村さんの世界によく合っていて良かった。穂村さんに似ている気がする、あの動物はイタチかな? …かわいい。

にょっ記にょっき   読了日:2006年07月15日