《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

紆余曲折あって神様はじめました が、本当は妖怪学園コメディはじめたかったのです

神様はじめました 2 (花とゆめコミックス)
鈴木 ジュリエッタ(すずき ジュリエッタ
神様はじめました(かみさまはじめました)
第02巻評価:★★☆(5点)
 総合評価:★★★(6点)
 

奈々生が通っていた学校に転入してきた超人気アイドルのKURAMA☆ でも、憧れていた“漆黒の堕天使”は意外と嫌な奴で…。その上、学校に来たことを後悔し始めた奈々生に追い討ちをかけるような事件が起こって大ピンチ! そんな奈々生の前に、神使の巴衛が現れて──!?

簡潔完結感想文

  • 作者が本当は はじめたかった学園モノ路線となったはずだが、学園があんまり関係ない。
  • 新キャラ続々投入中。第三の男性で巴衛の嫉妬を、第三の女性で奈々生の自覚を引き出す。
  • クラマがわざわざ学校に通う理由、鳴神姫が社を狙う理由、などなど話の根幹がおかしい。

様・妖怪オーディションはじめました、の 2巻。

恋愛や巴衛(ともえ)の過去など少しずつ縦軸が見えてきた部分もあるけれど、基本的に白泉社作品の序盤は横に広がっていくだけ。癖のある新キャラを続々登場させて、読者の受けが良いキャラを見極める、連載中オーディションが始まる。白泉社作品は連載中にキャラオーディションを開催しがちで、他者の作品よりキャラ数が多いのは勿論、途中でキャラが跳ねなかったため行方不明になるキャラも多い。結果的に全25巻の長編となった作品だけど初期は連載昇格・連載継続が最優先なので新キャラ(主にイケメン)が続々と投入される。この忙(せわ)しなさ騒がしさは白泉社作品の序盤という感じで逆に落ち着くけれど。

この『2巻』からヒロイン・奈々生(ななみ)が学校に復学する。てっきり神社を舞台にした話かと思っていたけれど、それだと お話がワンパターンになるからか舞台が複数用意される。これは作者が連載開始前の構想では学園コメディを目指していたので、本来やりたかった路線に復帰しただけのようだ。でも『2巻』の内容は別に学園が舞台じゃなくてもいい。その内に学校生活も賑やかになるけれど、どうも軸がブレブレという印象を受ける。

新連載『推しに会う神』はじめました。ナルシシストイケメンの攻略は俺様と同じ

全体的に疑問に思う設定が多くて、そこが引っ掛かる。奈々生は神様になったり登校拒否になったり3か月も学校を放置していたのに なぜ自動的に進級できるのかとか、学費問題はどうなってるのかとか色々と疑問が湧くが そんな些細なことには構ってくれない。

他にも新キャラのクラマが学校に通うメリットが見当たらないし(本人も通学するメリットを感じていない)、後半のエピソードに登場する神様が どうして小さな社を狙うのかも いまいち分からない。社(やしろ)に縛られているので奈々生と一緒にいられなくなった鬼火童子(おにびわらし)が その後のシーンでは自由に社を離れて奈々生に会いに行っているのも謎。奈々生が他者の事情に巻き込まれれば話が転がるのは分かるけど、いかにも作為的で必然性のないエピソードが続いて面白さを感じられなかった。

クラマのエピソードは奈々生は巴衛にもクラマにも悪態をつきながら、彼らに好かれるという何もしないヒロインに成り果てて呆れた。ヒロインがイケメン(しかも本書では妖怪という特別な存在)に好かれていれば読者は それでいいのだろうか。通力や神社の立て直しを放置したまま、世俗的な内容になったのは私には残念な方向転換だった。編集側に却下された学園コメディに戻ってもいいけれど、ちゃんと やり通して欲しい。


々生は一度 学校を休んでから登校拒否ぎみ。登校しない間に新しいクラスなり、七十五日が過ぎているけれど自分の家の事情は噂で広まっている。そんな奈々生が登校を決意したのは自分の学校に超絶人気のスーパーアイドル・KURAMA(以下・クラマ)が転入してきたことをテレビで知ったから。登校拒否をミーハーな心が克服させたようだけど、奈々生の軽薄・軽率さが悪目立ちする。

巴衛は登校に反対。未熟な神である奈々生が学校に行ったら狙われると心配する。その対策として頭巾をかぶることを強要させられ、奈々生は周囲の後ろ指に心が折れかける。しかし その奇抜さがクラマの目に留まり、クラマの謝罪に対して冷めた態度を取ったことで また彼の興味を引く。クラマは俺様というか俺様大好きキャラなので、自分に興味がない女性が新鮮だったのだろう。いつだってイケメン(妖怪)に対して正解の対応・態度が取れるのがヒロイン様なのである。

クラマは奈々生を罠に嵌め、窮地に陥らせてからピンチを救う自作自演ヒーローを試みるが、その試みに巴衛が乱入し、巴衛が場を支配してしまう。奈々生が泣いているだけでヒーローが何でもしてくれる。読者としてもイケメン圧が全てを解決する場面で承認欲求が満たされるのだろう。神社でも自堕落、学校でも自動的に男に救われて奈々生の魅力が皆無である。貧しいけれど健気なヒロインの奈々生は早くも どこから湧き出てくるのか分からない巴衛の財布の お金で何不自由のない暮らしをする人に成り果てた。しかも巴衛の献身に気づかない嫌な感じのヒロインになりはじめました。


性に対して根拠のない強気な態度を取るのが奈々生で巴衛の言いつけは守らないし、クラマからのアプローチも唾を吐く勢いで断る。クラマは自分を袖にする奈々生に逆恨みを始め、本性である妖怪の姿に戻る。彼は鞍馬山烏天狗。山から下りて16年だから16歳という設定のようだ。
クラマの正体に巴衛が気づき奈々生の知らないところで妖怪バトルが始まる。クラマは奈々生の心臓をかじり、自分が土地神になろうとしていた。人間界でスターになった彼が土地神になって得るものがあるのか不明。どうにも世界観が浅い。

妖力は巴衛の方が上でクラマは敗走。その騒動を奈々生が知り、勝者である巴衛の上位存在である奈々生がクラマに恩赦を与え、そしてヒロイン性を発揮することでクラマを虜にする。


いては雷神・鳴神姫(なるかみひめ)が土地神を譲られた奈々生を逆恨みする話。この鳴神姫は準レギュラーにもなれなかった、読み返しても こんな神いたっけ?というキャラ。
鳴神姫の接近に気づいた巴衛は、予防策を取らない奈々生のために鬼火童子たちを送り込む。これは鳴神姫が神社に来ると思っていた巴衛の到着を遅らせるためでもあった。

奈々生と接触を図った鳴神姫は奈々生にミカゲ社の禅譲を提案。しかし何不自由なく何の苦労もない奈々生が拒絶。そこに巴衛が登場するが、鳴神姫は巴衛を「打出の小槌」で小さくしてしまう。鳴神姫は巴衛を無力化した後、奈々生の額にある土地神の印を奪取。そして自分が主となったミカゲ社に帰っていく。鬼火童子たちは社の精なので新しい主人に付き従う。奈々生に残されたのは子供の姿になった巴衛だけ。鳴神姫は ここで巴衛も神使にしてしまえば良かったのだけど、そうすると話が終わってしまうのだろう。
それにしても鳴神姫の動機が弱いし、既に神である存在が社の主となって どういうメリットがあるのだろうか。騒動の発端が弱いから お話に入り込めず、大騒ぎしているだけの物語に見えてしまう。

美形でも雷神でも作中で その名を轟かさなければ二度と出番はない厳しい世界

度、家を失った奈々生。しかも巴衛は子供の姿になって気力が減退。その上、高熱を出したため奈々生は途方に暮れる。そこにクラマが現れ、彼の家で看病してもらう。超人気アイドルの自宅にあがるヒロインは これまた承認欲求が満たされる。
クラマの見立てでは巴衛は小さい体に妖力が収まらず暴走している。治すには元の身体に戻るしかないという。奈々生はベッドサイドで付き添い、そこで眠り始めるが、やがて寝ぼけて巴衛の隣に横たわる。

目覚めた巴衛は過去の夢と現実が交錯しているようで笹餅を所望する。これまでも巴衛は「雪路(ゆきじ)」という名前を口にしているけれど、連載が途中で終わったら この雪路のエピソードは永遠に不明だったのだろうか。『1巻』で雪路の名前を出した時には ある程度の連載期間が確保されていたのか。

奈々生は母親が作っていたから笹餅が作れるという便利な設定が持ち出される。そして この笹餅は奈々生が巴衛のために作る初めての食事となる。最初に家なき子になった時には不安だったけれど、今は巴衛が隣にいる。その心強さと感謝を形にしたものが笹餅になる。


ラマ宅での疑似三角関係で巴衛は嫉妬の心を見せる。少しずつ2人の距離が縮んでいる。そのクラマは芸能活動があるため直接的に巴衛に協力しない。部屋を提供したりしてくれるだけ優しい。
巴衛は自分の問題を自分で解決できない状況が苛立たしい。また以前と同じように奈々生には奈々生の人間としての人生があると彼女との世界の違いや置いていかれる不安を抱える。

そこに鳴神姫の使いが巴衛を捕獲しようとする。それに奈々生は巴衛は家族であるとヒロインらしい人道主義を訴えるが、当の巴衛が奈々生を切り捨てる。これは無力な彼女を危険に巻き込まないようにする配慮でもあろう。巴衛はミカゲ社に戻るものの、鳴神姫の神使になるつもりもない。なので鳴神姫から逃亡する。自主的に撤退するのは奈々生はヒロインだし今は人間で無力だし、巴衛が元に戻っても神様に楯突くような真似はさせられないからだろう。

こうして奈々生は再度 孤独になる。家を貸してくれたクラマに礼を言い、自分の無力さで問題が解決できなかったと涙を流す。その奈々生にクラマは妖が見えるようになる能力を与える。すると鬼火童子たちが すぐそばにいた。鳴神姫の激昂で社のピンチだから奈々生のそばに来たのか。でも鬼火童子たちには そんな自由が許されるとは思えないけど。仕える駒が少ないから仕方ないけど、設定があやふやすぎる。


々生は独力でも社に乗り込む決意を固める。鳴神姫が社を全壊させて巴衛を炙り出そうとしていたところに奈々生が到着し、巴衛を発見する代わりに元の姿に戻す約束を取り付ける。巴衛がいたのは先代の土地神・ミカゲの持っていた鏡の中。巴衛が自分の意のままにならないと知った鳴神姫は撤退。二度と姿を現さなくなる。

鳴神姫の使者が奈々生を土地神に戻す儀式を行っているが、申し訳ないけど こんな下位の者にも出来る儀式なのだろうか。巴衛が青年の身体を手に入れると奈々生は彼の姿に見惚れる。自分が巴衛に好意を抱いていると自覚した途端、彼から神使の再契約=キスが交わされる。