《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

主人公・菜緒の厄年は続く。交通事故で借金、食中毒で入院、追試につぐ追試。そして同棲解消⁉

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高須賀 由枝(たかすか ゆえ)
グッドモーニング・コール
第5巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★(6点)
 

高1の菜緒は、学校の人気者・上原くんと同居中。夏休みになって、みんなで温泉旅館に行くことになったけど、まわりの企みで、二人っきりで泊まるハメに。いざ、二人っきりになると、何だか落ち着かなくて…。

簡潔完結感想文

  • 旅行先で周囲の後押しもあって2人っきりの一夜。いつものことだけど、何かが違う。
  • 菜緒、緊急入院。会えない日々が愛を育てるのか、隣の病床の男がさらっていくのか?
  • 菜緒の入院中、同棲の噂が駆け巡る。菜緒のため退院後も物理的距離を置く上原だが。

2人でマンションで過ごす時間がめっきり少ない 5巻。

小さな諍いはあるものの、同じ屋根の下に暮らしているから、
他のどんなカップルよりも長い時間いられる同居のメリットも今は昔。
若い2人の同居コメディだったはずなのに、別居シリアスに軸足が移っていく…。


頭は夏休みの旅行で来た温泉地での一夜から。
同居生活も1年が経った夏休み。
なかなか進展しない2人の関係を進めようと、気を利かせた上原(うえはら)の義姉・百合(ゆり)たちの目論見によって、
いつもとは違う空間で一緒に過ごす菜緒(なお)と上原。
急な展開に多少のギクシャクはありながらも夜を迎えた。

客室は一人一室、計二室とってあるのだが(贅沢)、
菜緒の部屋に出る幽霊の噂が怖くなり、菜緒は上原の部屋に一緒に寝かせてもらうことに。

上原だって菜緒の性格を熟知しているから額面通りに受け取っただろうが、
これは女性側の照れ隠しの「YES」のサインと受け取られても おかしくはないだろう。

そしてミスとはいえ旅館の人が夜中の11時過ぎに客室に布団を敷きに来るって どうなの⁉ 覗き目的⁉
菜緒たちに色々と意識させるためなんでしょうが。

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2人の気持ちが重なり、今一つになる。これもまた周囲の後押しがあったからです。

いよいよ覚悟を決めた菜緒、と思いきや、典型的な少女漫画的なオチ。
卒倒、急な発熱、湯あたり、(誤飲による)飲酒は、男女の仲を進展させない便利な道具ですね。
まぁ気持ちが固まったと思えばいいのかな。
菜緒もこの一夜のことは甘美な思い出として何度もリピート再生しているみたいです。
上原が菜緒のことを「菜緒」と呼んでいるところがいいですねー。
彼なりのムード作りか、意気込みか。生殺しでしたね…。


『5巻』は菜緒の受難と新キャラ投入が続きます。

もう十分賑やかだから増えなくていいという私の願いも虚しく、物語も後半に差し掛かっても、お話を盛り上げるべく新キャラが波乱を巻き起こします。
厳しいことを言えばキャラの描き分けできてないんだから、これ以上、読者を混乱させないでくれ!と思う。
名前やニックネームで呼ばれても「その人 誰だっけ⁉」と何度 思ったことか。
少人数で楽しませるのが作者の腕の見せ所ではないか。


そんな新キャラの1人は上原の小学校の同級生だった女性・桃山 まみ(ももやま まみ)。
再会のきっかけは、上原たちが暮らすマンションのエントランス。
何でも彼氏が上原と同じマンションに住んでいるとか(どこかで聞いた設定だ)。
そしてやっぱり、このマンション、近隣からは若い女性が出入りするラブホテルマンションと呼ばれているだろう…。
(もしくは90年代風にいえば援助交際、当世風に言えばJKビジネスだろうか)。

本書の後半では、この彼氏という人が意外な人物だということが分かる。
『5巻』は意外な真相がテーマなのかな、というほど仕掛けに富んでいる巻でもある。

ちなみに15,16歳の女子高生に手を出しまくる、ちょっとアレな坊っちゃん男子大学生はいつか本当に逮捕される日が来そうだ。
そんな男と別れられないのは金払いがいいからか、それとも…、と下衆な勘繰りをしてしまいます。


中では、まだまだ暑い季節だからか食中毒が流行る、この漫画。

菜緒が百合と一緒に行ったオシャレなカフェで食中毒が発生。
なぜか菜緒だけが発症し、緊急搬送・緊急入院。
こんな一大事にも親に連絡もしない菜緒。
親を頼れないなんて、家出や駆け落ちしたのも同然ですね。

そんな入院先の病室で隣のベッドだったのが、新しい登場人物・千崎 優(せんざき ゆう)。
若い男女を同室にするのはいかがかと思う。

この優くん、最初見たときは驚きました。
あんまりにも上原に似ていて…。

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上原くん まで入院⁉ いいえ別人です。双子ですが、上原くんとではありません。

※これは上原ではありません。
なぜ、男のイケメンキャラは揃いも揃って眉毛が一緒なのだろうか。

優は双子で、秀(しゅう)という兄がいる。
秀は やや短髪なので上原と混同はしません。
二人合わせて「優秀ツインズ」だが、なぜ兄が秀なのだろうか。

ちなみにこの二人も漏れなく菜緒たちの通う久保高生です。
とことん久保高生を優先する漫画ですね。
ラーメン屋の一星(いっせい)はムダ設定としか言いようがない。

高校生で違う学校なのは優秀な中学の同級生・みっちゃん、そして女子校の桃山さんぐらいか。


緒が入院中、2人の家に2人が別れなければ学校中に同性のことをばらす という内容の怪文書が届く。
そして本当に翌日から同棲情報が学校を駆け巡ってしまい…。

なかなか見舞いに来ない上原に思いを募らせていた菜緒。
そして、やっと退院できたと思ったら、上原は噂のほとぼりが冷めるまで実家に戻るという書き置きを残して出て行ってしまった。

菜緒にとっては、上原の書き置きこそ不幸の手紙ですね。
不幸の連続というべきか、それとも入院中の別居生活があったからこそ、
学校の人たちなどに朝一緒に登校する姿などを目撃されなかったというべきなのか。

上原が実家に帰ったため、現在は上原の兄とその妻・百合が暮らす家が初登場。
一軒家だし天井が高すぎなぐらい高いし、それ相当の広さもあるだろうし、
もうかつてのように百合に恋してないし、実家に戻ってもいいんじゃないかと思いますけどねぇ。

本書最大の核心、2人の同居がバレる危機はやっぱり盛り上がりますね。
連発されると人気維持かなと辟易しますが、2,3回といったところでしょうか。
まぁかわし切れずに、秘密を共有する人が増えただけとも言えますが。
『5巻』でも北浦さんにまでバレてしまっているし。
これは彼氏が同じマンションの香織先輩経由。ってか香織先輩、秘密守ってくれないんっスね…。

別居の時間が長くなっても菜緒は簡単にラブを充電できる人だけど、簡単に落ち込む人でもある。
上原も説明不足&短期、そして口調が荒いところがあって菜緒が落ち込むポイントは多い。
離れて初めて菜緒に嫉妬などの感情が芽生え、寂しさもまた募る一方だ。

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入院や別居、長期間の生活のすれ違いから ついに我慢の限界を迎える菜緒。

菜緒が寂しさで泣くのは初めてですかね。
ここは心底 上原が好きなんだなー、と初めて伝わってきた場面でもあります(苦笑)
そして甘いキス一つで、すっかり正気に戻る菜緒。
コントロールしやすい人で良かった。


者としては脅迫状の差出人候補を複数作りたかったのだろう。
私も違う人を犯人と決めつけてまんまとミスディレクションに引っ掛かりました。

ちなみに桃山さん に関しては、2つの意味でミスディレクションが施されていて、
1つは脅迫状の差出人、
もう1つは上原を横恋慕する相手、としても読める。

脅迫状の差出人としては、再会のきっかけが上原が落としたハガキだったり、連絡先のメモを渡したり、
桃山のマンション内の登場シーンがエントランスの集合ポストの前だったり、色々と刷り込まれている。
(上原たちと同じ階で出会うと、桃山の彼氏が誰なのか限定されるから遠ざける意味もあるかも)。

偏見かもしれないが、脅迫状という間接的な手段は女性的ということも影響しているかもしれない。

真犯人の自白はいまいちスッキリしませんね。
手段が迂遠すぎて、またも逆恨み犯罪か、という感じです。
ただ別々の2つの事件が1つの実像を結ぶという構成はミステリ小説っぽくて好きですね。

『5巻』の最終盤、浮気疑惑やら真犯人を上原に伝えないやら、引っ越しやらお話が込み入り過ぎた感じがありますね。
作者としては、どれかの要素でお話を畳もうと画策していたのでしょうか。


書では結構、上原は嫌がらせに合ってますね。
逆恨みが100%という感じですけど、イケメンもそれはそれで生き辛いのかもしれません。

連載が始まってすぐの中学の頃は菜緒も女子生徒に嫌がらせをされましたが、
いつの間にか学校公認のカップルになっていて、彼女に被害はない。
菜緒より上原の方が被害が多いというのは意外でしたね。
まぁ上原の彼女というだけで菜緒にも何の落ち度はないので、嫌がらせされても嫌な気持ちになるだけですが。

上原は幸の薄い感じが似合う気もします。
初恋の相手は兄の嫁になり、家を出てバイト三昧。
彼女にも本当に愛されているか疑問に感じたり、
いざ次のステップに進もうと思ったらお預けを食らったり。

でも自分の誕生日を菜緒が間違えたことをあんなに非難した上原なのに、
1か月後の菜緒の誕生日には上原の方からは何もなしという始末(伏線でもあるのかも)。

上原って結構、俺様タイプなのかな。
自分のペースを崩したくないという頑固者ではありますね。
そして、相手に合わせることを知らない末っ子のお子ちゃまっぽさもあります。

そういう上原に、菜緒は合っていると思う。
必要以上にベタベタしないし、同居生活もまだまだ初々しさがあって、
キスがしたい、デートがしたいと喚いたりしない。
いつもの毎日が続いていれば特に文句も言わない。

まぁ、いつもの毎日が続けば、ですが…。最終巻に続きます。