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きらきらひかる (新潮文庫)

きらきらひかる (新潮文庫)

私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのは、おそろしくやっかいである―。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。そんな二人は全てを許し合って結婚した、筈だったのだが…。セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上る誠実、友情、そして恋愛とは。傷つき傷つけられながらも、愛することを止められない全ての人々に贈る、純度100%の恋愛小説。


江國さん初体験。純度100%の恋愛小説、という触れ込みは間違いじゃない。読んでいて、とても胸が痛くなった。アル中で躁鬱の激しい笑子に、旦那でホモの睦月とその恋人の紺くん。一見アンバランスな関係の3人。だけども、安定する三角形。お互いを慈しみ、正面から向き合う。何も間違っていなのに、ずっとこのままでいられるのに、結婚という形をとったから、夫婦の役割を果たさないから、彼らは周囲の環境を窮屈に感じる。それに誠意で対応する睦月と、睦月のことを大事に思えば思うほど孤独を深めていく笑子。そして、一見自由奔放に生きる紺くん。読めば読むほど、この3人が好きになりました。恋愛ではないかもしれないが、こんな風に愛情に接しながら生きる人たちが好きです。名作は名作でした。
お気に入りは、ベタかもしれませんが紺くんですかね。多分、誰に対しても、何に対しても一番キャラを作って生きているのだと思います。ひねくれているように見えて、一番物事を正面から見据えることが出来る人。100%の恋愛をしているのは、睦月と紺くんな気がします。最後まで同じ空気を保っていて本当に良かった。

きらきらひかる   読了日:2004年08月19日