
上野 はる菜(うえの はるな)
ポンコツ警察官は私に夢中(ポンコツけいさつかんはわたしにむちゅう)
第02巻評価:★★☆(5点)
総合評価:★★☆(5点)
一途すぎる警察官と紳士な舞台俳優にはさまれちゃって困る! ポンコツ警察官に気に入られちゃった方言女子の椛。ちょっと愛が重めの彼のことを厄介に思いつつも、なんだかんだで気になっちゃう! 一方、隣人で同郷の舞台俳優とも急接近してときめいちゃって…!? 警察男子の一途すぎる愛に困惑×ときめきの新感覚ラブ! 三角関係に突入の第2巻!!
簡潔完結感想文
- 恋愛がご無沙汰だから2人の男に交互にトキメくし、身体が先にキスをしたいと思うんだ★
- 2人の男性の間を行き来するのがヒロインの仕事。日比谷と代永(とマスター)でお泊り2回。
- 方言は恋の呪文。偶然と故意で使えば2人とも私を好きになる。(マスターには絶対に使わない)
読者の理想を具現化したヒロインは現実のビッチ、の 2巻。
少女漫画を読むためには ある程度の常識を忘れるのが読者のルールだろう。教師モノの教師をロリコンと詰(なじ)ってはいけないし、同居モノの無理矢理な展開を いつまでも突(つつ)いては楽しみが半減する。…でも私は どうしても そこが気になる。頭が固いから私の常識の範囲内に収まっている作品しか好きになれない。
本書では やや常識から外れているのは警察官ヒーローの日比谷(ひびや)で、ヒロインの椛(もみじ)は住まいを知られて隣に引っ越されたり、無断で写真を撮影して現像したりする日比谷に心のブレーキが作動してしまう。それが溺愛を簡単に成就させないブレーキになっていて、早々に両想いになることを防いでいる。溺愛されたからって簡単に動かないところがリアルに感じられる。


変わり者の日比谷は分かる。私が分からないのは逆ハーレム状態をナチュラルに満喫できる椛の方だ。少女漫画のデフォルメが作用しているから、そこを突くのはマナー違反かもしれないが、彼女の行動は首を傾げる事ばかり。
例えば『2巻』の中では椛の自宅だけが停電状態だから日比谷の家に お泊りしている。自分に好意を持っている男に疑問を持ちながら利用する時はする感じが苦手だ。ページ数の関係もあるだろうけど近隣の宿泊施設を探すとか非常時の対応をしないまま男に寄り掛かる内容になっている。
巻末のエピソードでは椛は男3人とキャンプに行っている。日比谷は帰宅するが、代永(よなが)とマスターと自分1人だけで宿泊するなんて個室を与えられているとはいえ危機感が無さすぎる。『1巻』でも水族館に誘うような友達はいないし、今回も地元に戻っても会うような女友達は登場しない。椛の周囲に女性がいないのはビッチと忌避されているからなのでは、と思うほどの軽率な行動の数々である。恋愛感情の芽生えより先に肉体的接近で欲情しているのもビッチっぽい。
また『2巻』では日比谷が椛の好きなところを挙げているのだけど、この時 日比谷が挙げる点は正確には好きになってからのエピソードばかりで、好きになる過程は謎のまま。結局 作品側も方言以外に椛の良いところなんて挙げられないのだろう…。
作者のエピソードの練り方の問題でもあるのだろうけれど、日比谷と代永、どちらに対しても椛は よく知らないことに偉そうに言う印象を受ける。特に代永の舞台俳優引退宣言への言い分は部外者が何を知っているんだ と言いたくなった。例えば この話が後に起こる椛が代永の役者仕事を見る というエピソードの後なら説得力が出るけれど、椛は役者の代永を ほぼ知らない。絶望的に才能が無いかもしれないし、「若手イケメン俳優」の寿命も近い。収入の面とかトラブルとかマイナス面を考慮せず、好きなら続けろという言葉は浅すぎる。作品自体も そういうことの連続である。読者に望まれるのが溺愛やイケメンのヒロインの奪い合いであったとしても、もう少し描き方に創意工夫が出来る余地があるのではと思ってしまう。
そして『1巻』で事件が頻発したからか街は平和だ。あのままの頻度で事件が起きたら少女漫画の「米花町」になってしまう。あのペースだとクライマックスでは日比谷が がっつり刺される予感がする。でも事件が起きないからポンコツ警察官の出番もない。今回のポンコツは自損事故だけ。日比谷は制服を着ていない方が まともなんだけど…。
疲労困憊で帰宅したら電気トラブル。取り敢えず電球の交換を試そうと向かったコンビニで日比谷に遭遇。暗闇と高所の作業に自信がないため彼の提案に従い電球の交換を依頼する。しかし交換しても灯りは点かず、仕事のストレスと重なり椛の方言が炸裂。椛って気が短いとまではいかないけれど、人前で怒りを表現できる人間ですよね。好意的に見れば日比谷にはストレスをぶつけられる関係とも言えるけど、ストレスの許容量が少ないのは確かだ。
大らかな日比谷に感情をコントロールしてもらって一緒に外食をして、更に彼のペースで夜のドライブをする。日比谷は何気に強引で、椛もそれを断らない。彼が連れ出したのは東京の夜景が見える場所。電気の点かない人には皮肉な光景とも思ってしまうのは私の性格が悪いからか。椛は日比谷の優しさに触れて心に灯りが点る。
帰宅後も不便なので日比谷の部屋で一夜を過ごす。こういう部分では信頼しているんだな、と椛の警戒心の無さをフォローしたい。いつもと逆で回復した日比谷への警戒心が元通りになるというオチを迎える。
地元のお祭りの手伝いをしている椛は代永と遭遇。そこから代永との交流となり、彼の性格を知っていく。そういえば椛は東京で同性の友達がいなかったけれど、地元に帰っても会いたい人もいないのか。これも作品の都合なんだろうけど、逆ハーヒロインを印象付けるだけだから、代永の格好良さを褒める要員で地元の友達を出せばいいのに。
日比谷の行動には戸惑うばかりだけど、代永と一緒にいると普通に ときめく。「しばらく恋愛なんて ご無沙汰なもんで」簡単に身体が反応するらしい。
地元での交流を経て東京でも親しげになる2人。それを見て日比谷は動揺し消沈する。
メンタルの不調は体調不良となり風邪回が始まる。椛に看護されながら日比谷は代永との仲を問う。椛は日比谷との関係に答えを出すまで誰とも付き合う気はない。そして自分が日比谷に戸惑う部分があることを正直に伝える。
自分の行動に至らない点があったことを反省する日比谷は椛に問われて彼女の好きなところを幾つも挙げる。ここで日比谷は椛が方言を喋るのが好きなのであって、方言を喋る女性なら誰でも良い訳ではないという後付けの言い訳をし始める。多分 作品に対する批判へのリプライなのだろう。読者は首を傾げる日比谷の言い分も椛には刺さる。こいつはチョロすぎる。
更にアクシデントによる接近イベントが発生し、キスされる流れになっても日比谷は誠実さを優先する。でも椛の方は受け入れ態勢が万全だったらしい。今は付き合えないと思っている男性とキスしたいほど欲求不満なのか。


逆ハー椛は男性3人を引き連れてキャンプに行く。こういう場合、世間体や危機感で人数を合わせるためにも女友達を連れてくるものだけど、椛は友達がいない。このキャンプも『1巻』の水族館と同じく喫茶店のマスターの紹介。料理担当は日比谷で椛は何もしない(洗い物担当)。宿泊費もタダ。お姫様である。
今回 椛は精神的にキスOKだと自覚した日比谷との距離感が分からない。日比谷は翌日 仕事のため途中で帰宅することが判明し椛は寂しさを覚える。
日比谷が帰った後、代永が登場する前の騒動の話になり、自分の存在が椛やマスターに迷惑を掛けていたことを代永は遅れて知る。そこから引っ越しを考えるのはまだしも役者の引退にまで話が及ぶ。どうやら彼自身も過激ファンに悩まされた経験があるようだ。その代永に、彼の仕事の実績やトラブルを何も知らない椛は すぐに引退撤回の立場に立つ。男を立ち直らせるために わざと方言を使い、それが代永の心に刺さる。だから彼からも交際を申し込まれる…。
