
さとる
夏秋くんは今日も告白したい(なつあきくんはきょうもこくはくしたい)
第02巻評価:★★★(6点)
総合評価:★★★(6点)
“クールな美少年”と女子から注目を集める夏秋くん。顔に出ないから、わかりづらいけど実はクラスメイトの梨子田さんに片思い中! 校外学習で梨子田さんとの距離が縮まった夏秋くん♪ さらに、夏秋くんのお兄ちゃんが登場して弟の恋を応援!? ちょっぴりズレてるけど超一途♪ 恋に全力な夏秋くんの告白大作戦、成功なるか…!?
簡潔完結感想文
- 学校の生徒にバレない恋だけど、尊敬する兄だけには自分から恋を発表する夏秋くん。
- 情報が欲しくて梨子田さんと友人との会話を盗み聞きし始める(ストーカー予備軍)。
- 夏休みまでの1か月、勉強もせず筋トレに励んだ夏秋くん。初めてのナルシシスト行動。
新キャラは この平和な世界を崩しそうで怖い、の 2巻。
白泉社作品とギャグ漫画は新キャラで日常回を引き延ばす傾向があるけれど、本書も この『2巻』の最初と最後に新キャラが投入される。本書で新キャラが登場すると、夏秋(なつあき)くんと梨子田(なしだ)さんの平和だけど変化のない関係(良い意味で)を崩しそうで怖かったが、どうやら作者は ちゃんと新キャラにも空気を読める人たちを配置してくれているようだ。
特に登場後どうなることかと心配したのが夏秋くんの兄。彼は本書初の夏秋くんの恋心を知っている人として登場する。学校内では夏秋くんの恋心はトップシークレットとして誰にも勘付かれないものとして描かれているが、いよいよ告白に進展があると考えた夏秋くんは兄に自分から現状を開示して助言を貰おうとした。


この兄、弟が好きすぎる傾向がる上に興味本位で動きそうで作品の雰囲気を壊すかと思われたったけれど、兄は ちゃんと分を わきまえていた。兄は大好きな弟が好きになった人を知りたかっただけで、弟の恋を促進したり邪魔したりしなかった。もしかしたら告白が上手くいくかどうかの心配よりも、兄に余計なことしてくれるなよ という心配の方が大きかったかもしれない(笑)
しかし心配の種は尽きず、巻末では新しい女性キャラが配置される。夏秋くんの作中のモテ方から言うと、ここまで起こって当然のことが起こりそう。そういえば夏秋くんに当然 起こりそうな同性からの嫉妬は兄が対処しているらしい(おまけ4コマ)。兄は むしろ作風を守る守護者だったのか。
学校内でのピンチのネタが尽きたのか、それとも世界を広げるためなのか『2巻』は学校外の場面が多かったように思う。ただ夏秋くんが梨子田さんとの接触が欲しくて、彼女の周囲をウロチョロしたり、情報を盗み聞いたり、なかなか変態チックなのが気になる。イケメン無罪になっているけど、こういうことを繰り返していたら、女性の方から告白されて面倒臭くなる前に釘を刺しておかなければ、と思われるかもしれない。
また『2巻』は容姿に恵まれた夏秋くんが普通の男性のように容姿を気にしたり肉体を鍛えたりと夏秋くんの努力が多く見られたように思う。それでも夏秋くんは誰かと比べて自分が格好いいとか貧弱とか思わないで、自分自身を磨き上げるだけ、という展開になっているのが良かった。
夏秋くんが鍛えたのも、女性同士の特に意味のない会話に出てきた言葉がキッカケで、梨子田さんが本当に筋肉が好きかどうかも分からない。それなのに そこから1か月 努力が出来るところが夏秋くんの長所だと思う。心配なのは、作中には無かったけど、もし梨子田さんが夏秋くんの肉体美を褒めることがあったら、夏秋くんは よりバッキバキに自分を追い込んでしまっただろう。少女漫画ではヒロインがヒーローの言葉を気にして無理したりすることが多いが、夏秋くんのメンタルはヒロインと全く同じ。無理をし過ぎるほど してしまうから、梨子田さんが褒めなかったことが むしろ夏秋のストイックさを軽減してくれたと感謝したいぐらいだ。
7話。梨子田さんへの好意が自然に口から出ていた夏秋くんは遂に告白したと思い込む。そんな彼は自分に磨きをかけて告白の返事を聞きたいと願う。それに協力するのが兄。夏秋くんは兄弟に挟まれた男3人兄弟。兄は顔出ししているが弟は顔が隠されている。なぜ弟のキャラデザがされていないのかは謎。夏秋くんは兄を尊敬していて、兄も弟が大好き。
この兄は夏秋くんが学校の誰にも言えていない恋心を初めて知る人物となり恋愛の見届け人と言えよう。兄もまた残念な方向に頑張っちゃう人なのか、流行遅れの改造されて夏秋はイケメンキャラになり切る。そんな彼に梨子田さんが声を掛け告白の返事かと思いきや、梨子田さんは夏秋が自分の乙女成分を恥ずかしがって急に イキり出したと勘違いしていた。告白は伝わっていなかったという日常は続く。しかし夏秋くんの勇気は彼の世界を確かに変えていく、という世界がキラキラする感じも いつも通り。
8話。弟の告白が失敗に終わったと知って気になった兄は弟の学校に潜入する。そんな兄が教師から声を掛けられて困っているところに梨子田さんが助けに入る。いつもとは逆で梨子田さんがヒーローのようである。これがキッカケで兄は梨子田さんと会話となり、今の夏秋くんの性格が弟の誕生によって形成されていった話をする。
夏秋くんは梨子田さんが「派手な先輩」に絡まれているという噂を聞き、助けに向かう。兄は既に立ち去っており、兄弟の対面には ならなかったが、相手が誰であれ助けに入ろうとした夏秋くんの頼もしい背中を梨子田さんは知る。
9話。梨子田さんの出没スポットを盗み聞いていた夏秋くんは休日に偶然を装い遭遇しようとする。学校では告白が上手くいかないから、というもっともらしい理由があるが、中々ストーカー的な行動である。
長時間 粘って梨子田さんが出現。梨子田さんの連れている犬が怖くても、しかもライバル視されても夏秋くんは奮闘。しかも その犬のために身を挺することで ご褒美がもらえる、といういつものパターン。
10話。夏服。またも梨子田さんと友人の会話を盗み聞き、ひきしまった身体がカッコイイとの発言で筋トレを決意する。3週間で腹筋に成果が出たが、プールの授業前日に怪我をして肉体を見せられなかった。落ち込む夏秋に梨子田さんが声を掛け、夏休みに肉体を見せつけるチャンスを貰う。


11話。2人きりでの海だと勘違いしていた夏秋くんだったけど、クラスの集まりだった。夏秋くんは これでもかと肉体を誇示(そして無駄にモテていく)。海では梨子田さんが元気で助ける暇もない。
2人きりになるチャンスを模索して梨子田さんの遠泳に付き合う。なんだか段々と夏秋くんが偏執的になっている。夕日を借景とムード作りに利用して告白を決意する夏秋くんだったけど その前に梨子田さんがピンチ。自分の都合より相手を助けることでスキンシップが成立する。
12話。梨子田さんの無限の体力に付き合い、彼女のために奮闘したことで夏秋くんは倒れてしまう。昏倒中に梨子田さんにカワイイとだけ言って、再度 寝てしまったことを夏秋くんは知らない。その時の梨子田さんの表情も夏秋くんは知らないまま。
次に会うのは海から2週間が経過した夏休み中の登校日。この日、クラスで文化祭の実行委員会4名を決めることになるのだが、梨子田さんが最初に決まったため夏秋くんが友人・真島(ましま)を巻き込んで立候補する。彼らの立候補を見て森川(もりかわ)という女子生徒も立候補することで実行委員が決まるが…。
