
山田 デイジー(やまだ デイジー)
恋するふたごとメガネのブルー(こいするふたごとメガネのブルー)
第02巻評価:★★★(6点)
総合評価:★★☆(5点)
世界でいちばん大切なふたごの姉・ももの恋を応援するって決めたさくら。でも、ももとフジタの仲を取り持とうとするたびに、なぜか胸がぎゅうって痛くなり……? 気が付くと、さくらもフジタを好きになっていた。あきらめなければいけないってわかっているけれど、この切ない想いはどうしたらいいの……?
簡潔完結感想文
- もも を連れ出すはずのイベント回は さくら と藤田の接近にもなる。体調不良 多すぎ。
- その喜びよりも辛さや苦みばかり感じる さくら の初恋。不倫や奪略愛のような状況。
- 入れ替わり修学旅行。自分がいないことが悲しいのではなくて、もも がいることが苦しい。
ここまでを『1巻』で描けなかったのか、の 2巻。
本書のスタートラインは、タイトルにもある通り『恋するふたご』が登場した地点であろう。その意味では ようやく双子の妹・さくら が恋心を明確に自覚した『2巻』が出発地点となる。恋心の動きは双子の姉・もも が担ってくれているため十分 供給されているが、タイトルから誰もが予想するラインに『2巻』にして辿り着くというのは遅い気がする。ましてや低年齢読者の多い「なかよし」掲載作品で、8か月かけて ようやく本格的な恋愛が始まるのは展開として遅いのではないかと、連載終了から何年も経ってから余計な心配をしたくなる。よく この速度で読者アンケートが良かったものだ。双子の恋という設定が受けていたのだろうか。リアル読者には どこが受けたのか、当時のアンケート内容を読んでみたいものだ。
タイトルの残りである『メガネのブルー』を担う藤田(ふじた)は当初 塾と学校でキャラを使い分けているのかと思ったけれど、どんどん統合されていく。もも目線の藤田が美化されているのは分かるが、さくら目線でも別人と感じた あの雰囲気は双子疑惑のためだけだったのだろうか。どうやら藤田は「イケメンってわけじゃないのにクラスで三番目にモテるタイプの人」らしいけれど、その微妙なスタンスもリアル読者たちに理解されているのか謎である。私も良い子とか真面目なことを強調したいのは分かるが、さくら も幼いが同じように藤田も幼すぎて内側から見えてくる魅力が見えてこない。
2巻8話までで3回も体調不良が描かれているのが気になる。しかも病弱設定の もも ではなく(彼女も熱中症は1回あったが)、さくら が2回、藤田が1回という配分も気になる。『2巻』の さくら に関しては普段 使わない部分がオーバーヒートした知恵熱的な要素もあるのだろうけど、体調不良のエピソードが多すぎだ。


恋心の積み重ねを丁寧に描いているのは分かるし、ところどころで双子の姉妹が感じる汚い部分も含めた恋心の描写は上手いと思う。でも その割にビジュアル・性格を含めたキャラクタの造形が「なかよし」に照準を合わせ過ぎていてチグハグに感じられる。本当に どこがリアル読者に受けているのか私には全く分からない。非・リアル読者からすると高校2年生にしては幼いし、幼い見た目の割に内容はドロドロしているからミスマッチを感じた。
さくら のような性格の人には もっと動きのある物語が合う気がする。本書で動かない恋愛での手応えや読者の好評を得たという実感があるから、次作『初恋はじめました。』も恋の動かない物語になってしまったのだろうか。さくら を主役にするならば もっと とびきり明るい恋模様を読みたかった。どことなく粘着質というか奪略愛や不倫のような感触や後味の悪さを感じさせる作品なのが気になる。
「まだ はやい」と物語を焦らしているが、さくら には衝動的な告白(からの大後悔)ぐらいの勢いが欲しい。藤田も含めキャラ設定が いまいち分からないから読み進めるごとに違和感が膨らむ。リアル読者は どこが…、と また言いたくなる。
もも は相変わらず さくら にセッティングしてもらい、その恩恵に与るだけ。双子だからOKみたいな雰囲気が出ているが、双子であっても他者であり、これをクラスメイトの友人と考えると もも は自分では何も努力しない人である。恋をしているから全てがOKになる訳ではない。
動物園に続いて今回は花火大会回。メンバーは春田姉妹と藤田兄弟に有永(ありなが)は さすがに双子の関係性の観察者になっている。この回で藤田の弟・空(そら)と もも の交流が見られる。もも は空の秘めた願望を見抜き、そして藤田(兄)は さくら のキャラ作りを見抜いている。そして さくら は藤田が自分を分かってくれること、そして自分にも優しいことを分かっている。しかし藤田は姉の恋の相手なのだ。だから さくら は気を利かせて、もしくは居たたまれずに自分は先に帰り、姉との接触をしないように努める。


藤田の夏休みは夏期講習を含めた塾とバイト、そしてサッカー部と3つの活動を毎日こなしている。その上、母が働いているため家族との時間やイベントのない弟・空のために時間を割いている。塾明けで手一杯の もも は藤田の姿勢を見習い、前のめりに頑張る。それは さくら も同じ。部活にも全力な藤田を見て部活を頑張るが、それだけで体力は底を尽きる。
そんなハードワークは長く続かず藤田は発熱する。さくら が いつもと違う藤田の様子に気づくが、それは いつもの様子を しっかり理解しているから。病気でも藤田は塾に行こうとするが、さくら が それを実力(暴力)で阻止して彼を自宅まで連れていく。
藤田が塾に現れないことを心配し さくら に連絡を取った もも は彼の病欠を知る。藤田が どれだけの姿勢で夏期講習に臨んでいるか知っている もも は彼の代わりに授業に集中する。これは『1巻』での身代わり さくら の病欠の藤田の態度と同じ。勉強に真摯な人たちなのである。
少し休んで復活した藤田は またも塾に行こうとするが、それを さくら が止める。藤田から無関係と言われるが、友だちとして心配していると告げると彼は回復に努める。さくら の一生懸命さに助けられる格好となった藤田は そんな さくら の性格を好きだという。その言葉で さくら は自分の恋心の在り処を知る。いよいよ三角関係が(さくら の中で)正式に始まった。
もも は さくら の中で藤田への興味が芽生えていることを敏感に察知する。そんな双子の気持ちを知らずに藤田は距離感近めで彼女たちと話す。さくら は藤田にドキドキする自分を自覚し、そして もも の恋愛成就に対して複雑な気持ちを覚え始める。
夏期講習も終わり、藤田は学力が上がったことに達成感を覚える。彼の残されたイベントは部活の試合。もも は応援しに行くことを約束し、さくら と空と観戦する。しかしルールが よく分からない もも よりも さくら は藤田のプレー1つ1つに声を上げる。この応援に友だち以上の気持ちが入っていることは さくら しか知らない。
さくら は自分の気持ちを隠蔽するために藤田との距離感を見失う。この現状を打破してもらおうと さくら は もも に告白を勧める。そこに私利私欲が入り混じっていることも理解している。
修学旅行回は さくら が発熱したため、もも が入れ替わる。『1巻』の塾の時と逆パターンである。これは もも が さくら の体調が戻った時に途中参加させてあげたい気持ちから起こった事。ただ さくら は藤田の傍に もも がいることで心が乱される。
この旅行で もも は学校内(ではないが)での藤田の雰囲気を初めて知る。彼が明るい人気者であることを改めて認識し、少女漫画の恒例行事、教師の見回りから逃れるための同衾も藤田と体験する。そして同時に学校内で距離の近く、公認カップルのように扱われる さくら と藤田の関係性を垣間見る。だから もも は聞かないでおいた藤田の好きな人を初めて尋ねる。『1巻』のラストは さくら からの質問、そして『2巻』は もも からの質問となる。
