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少女漫画と小説の感想ブログです

さかさまフェアリーテイル? いかさまフェアリーテイルの間違いでしょ(憤怒)!?

王子と魔女と姫君と 12 (花とゆめコミックス)
松月 滉(まつづき こう)
王子と魔女と姫君と(おうじとまじょとひめぎみと)
第12巻評価:(2点)
 総合評価:★★(4点)
 

元姫達の気持ちに決着をつけ、ついに仁(めぐみ)に想いを告げた昴(すばる)。しかし切ない返事を残し、目の前にいた筈の仁の姿が忽然と消え…昴以外、誰もが仁を忘れてしまった。それこそが、前世からの「呪い」だった…。さかさまフェアリーテイル、最終巻!

簡潔完結感想文

  • 魔女たちの魔法が不完全だったように、作者の企みも読者大混乱という不発に終わる。
  • 大魔女が姫君たちに匂わせたのは飽くまで来世のチャンス。選ばれるとは言ってない。
  • プリンスの数の暴力で読者を惹きつけて、本当に頭数でしかなかった暴力的な扱い。

を呪わば穴二つ、の 最終12巻。

まず感想として頭に浮かんだのは、人を その人たらしめる部分は どこか という命題。未読の方は少女漫画を読んで なぜ そんなことを考えるのか不思議に思うだろう。しかし本書を読んだ人なら なんとなく分かってもらえると思う。そのぐらい本書は人という要素をバラバラにしている。
いきなりネタバレになるけれど、昴(すばる)と仁(めぐみ)という本書の主人公2人は こう解体されると思う(不親切な作品の私なりの理解の限界)。

・前世の魔女 = 昴 = 女体化した王子の体 + 魔女の魂 + 記憶の封印
・前世の王子 = 仁 = 男体化した魔女の体 + 王子の魂 + 記憶の封印 +王子を憎む魔女の記憶の残滓

前世と現世、2つの人生の4人の人間。そこに性転換と魂の置換、更には記憶の操作(喪失)がオプション追加される。その上、体には記憶の残りカスまで付着している始末。

誰が分かるんだよ、こんな話!!

これは塩梅を間違えたとしか思えない。想像でしかないけれど、『9巻』で99%真相に肉薄していた文化祭の演劇を読んで全てが分かったと思考停止した読者を驚かせようと、作者は もう一捻(ひね)り加えたくなったのだろうか。けれど結果は こねくりまわし過ぎて失敗。そもそも昴の叔父による「裏台本」が どうして こんなに真相に肉薄していたのかは謎のまま。この叔父は登場の意図が不明で、理事長が加筆・修正の役を担った方が しっくりくる。

しかも上述の通り、メインの2人が分解と合成によってキメラになってしまったのも良くない。
ただし作中で昴が性同一障害っぽく見えたのは少し納得が出来た。昴が女性に安らぎを感じるのは、「放浪の王子」の体が反応しているのだろう(知識不足の者による迂闊な発言が当事者を傷つけそうで怖いが)。また少女漫画のヒーローである仁が恋愛感情を否定し続けたのは現世のトラウマと前世の愛を知らない魂と封印された記憶と呪いという何重ものロックが掛かっているというのも最後まで物語が動かなかった理由として機能している。


後まで読んで本書は、ディズニープリンセスで有名な5つの お伽話に作者が考えた1つの お伽話が合体していることが分かる。そして この「エクストラお伽話」の主人公たちこそ本書のカップルたちの姿であることが判明する。本書は、お伽話世界をを自由に横断する「放浪の王子」と数奇な運命を辿る魔女(本来の生まれは姫)のハッピーエンドに至るまでを描いた作品である。

その設定は面白い。けれど前世での王子、魔女(姫)の背景が何も語られていないから1つの お伽話としての完成度が格段に低い。お伽話を しっかりと作り込めば良かったのに、茫洋とした設定だからエクストラお伽話に誰も興味が湧かない。6つの お伽話の完成度と重要性がアンバランスに思えた。

この お伽話世界を横断できる「放浪の王子」こそ不幸の元凶と言えるのだけど、上述の通り もはや それが現世における誰なのか不明瞭になっているから責任が宙ぶらりんになる。魔女と大魔女、2つの魔法は不完全に発動して混乱を招いていて、魔法使いのポンコツさが際立つ。王子も魔女(姫)も大魔女も様々な失敗と罪を抱えているのに、その罪を誰も負わない。そのアンバランスさが読了後の読者に しこりを残す。


も残念なのは結局、物語にプリンスたちが いる必要がないこと。彼らの転生は無意味。これは全方位に失礼な話で、ここに怒りを禁じえない。

どんでん返しと物語の前提を ひっくり返すのは意味が違う

お伽話の姫君たちは王子を追って現世まできたけれど、結局 彼女たちは本書の姫である昴に勝てなかった。プリンスとなった姫君たちは当て馬ではなく同性のライバルという立ち位置で、姫君たちの恋愛を勝ち抜いた昴は姫の頂点に立つ、という読み方が正解なのかもしれない。前世でも現世でも男性としても女性としても選ばれない残酷な運命には同情せざるを得ない。

再び人の解体の話になるけれど、現世ではプリンスたちが合成キメラである昴の どこに惹かれたのかが不明確になる。王子の魂が仁にあるなら彼らは仁を好きになるべきなのだ。だけど昴に反応しているとなると王子の体(もしくは女体)にしか目がいっていないことになる。異性である肉欲が彼らの目を濁らせたのか。プリンスたちは仁が昴を好きなら諦めるという友情や親愛を示しているが、それは王子が運命の人を見つけたという結論を優先する諦念なのだろうか。この辺は本来の真相である演劇の「裏台本」に作者が最後の最後で魂の置換という悪手を加えた結果か。

5人のプリンスを登場させ、彼らそれぞれに固定ファンをつかせることで作品人気は支えられていた。それなのに5人を単純な頭数としてしか認識していない物語で、壁に本を投げてやろうかという気持ちさえ湧いた。

そもそも大魔女(ずっと生きてる理事長)がなぜ前世の姫君たち(現世のプリンスたち)に声を掛けたのかが謎過ぎる。大魔女の願いは自分の弟子である魔女(姫)と王子の来世でのハッピーエンドのはず。それならば姫君たちの来世での登場は障害であり、前世の再失敗のリスクがあるのに、彼らを同じ舞台に立たせる。
しかも前世では取り敢えず本来の運命の人である それぞれの王子と幸せになれ、という運命の強要し物語を矯正しているのも越権行為に思える。ここは お伽話の成立、という現世での整合性を優先した作品側の事情にも見える。しかも現世のプリンスたちは、前世で本来の王子を見つけた記憶を都合よく忘却している。これまで読者は「放浪の王子」を求めて、来世での出会いを切望した悲しい姫というプリンスたちへの認識が、手近な王子と結婚した打算的な人間に変わる。これは読者への詐欺ではないか。

憧れの人と同じ舞台に立てるよ、とウブなアイドル志望の女性を騙す悪徳プロダクション

詐欺と言えば大魔女の転生の約束も詐欺である。大魔女は姫君たちに打算の結婚をさせたのに、来世の王子がキメラであることを秘密にしている。これでは姫君たちが憐れ過ぎる。しかも こんな物語の成立過程を作ってしまっては、全世界の人を魅了した5つの お伽話の価値に傷をつけるだけである。姫には王子以外に本当に想っている人がいました、ということだもの。

作者は自分で書いた あらすじ の「さかさまフェアリーテイル」という言葉が気に入っているようだ。確かに悪くない。でも結局これは昴と仁という物語にとって重要な2人の関係性を表した言葉でしかない。他の5人のプリンスたちにとって現世は「いかさまフェアリーテイルと感じても おかしくないだろう。大魔女(理事長)は姫君たちとの契約を履行したが、その契約自体が いかさま の上に成立している。しかも理事長は愛弟子で娘のような存在の昴たちのことしか考えず、プリンスたちに一切のフォローはしない。最後に理事長は、前世の時代からの全記憶を持った同一個体であることが明かされるから いよいよ罪深い。理事長はアンフェアだからと意味不明な魂の置換をしたけれど、プリンスたちへの詐欺こそアンフェアの極みだ。なのに理事長に罪の意識が見えないことに腹が立つ。

取り敢えず理事長はプリンスたちに土下座して。話はそれからだ。


して昴たちの前世は お伽話にあるのではなく前作『幸福喫茶3丁目』にあるような気がしてならない。結局、昴=潤(うる)、仁=進藤(しんどう)、真白(ましろ)+零時(れいじ)=一郎(いちろう)という感じにしか読めなくて、ダブる部分が多かった。恋人同士の関係を描くのが苦手なのか、描けないのか分からないけど、恋をした その先が何も提示されないのも前作と同様だった。『幸福喫茶』は続編があるけれど。

また不満なのは、クッキーが全員に行き渡ってない点。各キャラの誕生日の前に物語を閉じる必要があったからなのか、中途半端な配布で終わった。このクッキーも前作とダブる点だけど、ここは昴からの感謝と友情へと変化した気持ちの証として5人全員に行き渡らせて欲しかった。全体の構成も繰り返される日常回で引っ張り過ぎて、前世にページを割けないぐらい終わりが急で雑になっているように思える。

この結末を最初から用意しているのは再読で確認できるけれど、ならば せめてプリンスの数を減らして、もっとスッキリした構成にして欲しかった。繰り返しになるけれど個人回に偏りがあるし、プリンスたちの現世のトラウマも昴が介入しない自助努力で解放されるもので余計な影をプリンスたちに与えただけ。トラウマ(弱さ)を見せて読者の人気を獲得しようという あざとい試みだったのだろうか。

設定や序盤は面白くなりそうな予感がしたのに、物語の結末はともかく読者にとってキャラクタを大事にしない最悪の選択をしたように感じられた。今回、作品に愛されなかったプリンスたちこそ、愛を知らない「放浪の王子」に転生するのではないかと心配になるメリーバッドエンドに近い読後感であった。


は仁にプリンスたちの想いに応えられず、前世とは関係ない人=仁を好きになったと暗に伝えるのだが、仁は わざわざ難しい恋をする昴に呆れたような言葉を吐く。その言葉に昴はショックを受けるが、ショックを受けたのは仁も同じ。プリンスたちなら諦められるが、全く無関係な第三者を好きだという昴を受け止められない。

その後、昴は零時に会い、零時の方から自分をフルように強要される。零時もまた昴の変化と恋心の在り処に気づいていた。そして最初で最後となる昴への強烈な想いを伝えるが、それでも昴の気持ちは変わらない。こうして5人のプリンスは全員 失恋した。


から昴が今すべきことは仁への告白。5人のプリンスたちにも背中を押され、逃げようとする仁を追って昴は ちゃんと想いを伝える。しかし告白を聞いた仁の第一声は自分が前世の魔女であるという自白だった。それは自分は昴の運命の人とは呼べない立場の人間であることの発表だった。

呆然とする昴に追い打ちをかけるように仁の姿が消失する。それは存在そのものの消失で、他の生徒たちの中にあるはずの仁の記憶も消失する。混乱する昴は理事長に縋る。他の者から仁の記憶が消える一方、昴には前世の記憶の一部が宿っていた。それは理事長と同じ姿をした人を「師匠(せんせい)」と呼ぶ自分。

前世で王子を呪った魔女は昴だったのだ。だが本来の王子の仁が自分を魔女を思い込んで、昴の告白を拒絶したため仁は間違え、存在が消えてしまった。これは現世でのチャレンジが失敗し、呪いが発動したことを意味する。


は呪いは性転換だと思っていたが、そこに理事長が補足をして2人の魂を入れ替えた。最終回での台詞を借りると「王子が転生(性)した体に魔法使いが細工をした魔女の魂を入れた姿、それが昴」だという。仁は その逆で魔女が転生した体に王子の魂が入っている、ということになる(冒頭の等式)。

理事長の補足は、失敗した弟子である魔女に来世での挽回の機会を与える代わりに魂を入れ替えた。性転換だけではなく もう一つの試練を乗り越えることを望んだようだ。それは魔女の都合に巻き込まれた他の姫(現プリンス)たちへの配慮でもあったが、それがフェアな行為であるとは決して思えない。

昴は前世の自分の失敗に気づき、ねじれた事情を理解することが挽回のチャンスだった。仁を特別に想うほど昴は前世を思い出してきたが、自分が魔女だと思い出す前に昴は仁に想いを告げたのでゲームオーバーになってしまったという。

事長の言葉に混乱しつつも昴は仁の痕跡を探し続ける。だが記憶も写真の中の仁も綺麗に消えていた。仁の母親にも連絡するが、息子などいないと言われてしまう。この世界では子供を生んだ経験のない仁の母親(言葉がおかしいが)に向かって子供の有無を確かめるのは相手を傷つけかねない行為で母親が傷つかなかったか心配になる。


の世界に仁の痕跡がないことを昴は認め落涙する。疲れ果てて眠る昴が見るのは前世の夢。そこでは昴は理事長という大魔女の弟子の魔女だった。

魔女は捨て子で、そこから大魔女に育てられ一人立ちする年齢に達した。この2人の魔女には もはや親子であり情愛が宿っている。呪い発動の前振りとして、魔女(魔法使い)は私情の入った呪術は御法度。その呪術は己の身に返ってくる、というルールが設けられる。

そんな魔女は森の中で王子に出会う。鈍感な魔女は自分が、陽性の王子に惹かれていることに無自覚だが、親のような大魔女には心の動きが読めた。この王子こそ「おとぎの国」の姫君たちの心を惑わし、本来 出会うはずの王子と出会えない運命を作っている者。その故意の(恋の)介入をして世界を狂わせつつある王子に大魔女は警告をし、最悪 術を発動することを考える。

王子との出会いで平常心を失いつつある魔女は森の中で怪我をしてしまう。そこを王子に助けられ また接近する。だが近づいた身体の距離で魔女は、王子の服に複数の香水(姫君たち)の移り香を感じ取る。これで魔女は自分の純情を間接的に傷つけられた形となる。

この前夜、王子は大魔女から夢という形式で警告を受けていた。この王子は放浪の王子。自分の王位継承権を妬み奪おうとする環境で育った王子は感情が壊れている。そこに大魔女の介入が始まった。それを知った魔女は王子に一人だけ本当に愛しい女性にだけ愛を捧げるように忠告する。だが王子は意に介さない。


子の件を王城に報告に行った大魔女は、王妃から「娘」の心配をされる。その娘こそ魔女なのだろう。つまり魔女もまた姫であり、その運命の相手こそ放浪の王子だったはずだった。しかし王子は一つの愛に価値を見い出さない。自分が拒絶された形となった魔女は落ち込む。それを見た大魔女は王子との接近を禁ずる。

魔女は師匠である大魔女から一人前として認められる。一人前になったことで陛下に お目通りすることになっていて、これは もしかしたら両親(または父親は別で我が子を事情があって捨てた母親)との再会となり、ここで魔女は王女として暮らす選択肢の出現だったのかもしれない。

大魔女が いよいよ王子に介入するという前夜、魔女は夜中に家を抜け出し、森に行く。大魔女は魔女が そうすることを黙認していた。運命の相手であるはずの王子との運命を自分で決めさせる、それが親心のようだ。


の森で再会した王子に魔女は、彼が粛清の対象であることを忠告が、それでも姫君の恋心を もてあそぼうとする王子の態度に魔女が粛清を発動する。だが そこに王子への私情(恋慕と憎悪)が無自覚に入っていた。だから魔女にも呪術が返ってしまう。

しかし呪術は不完全で2人とも即死を免れた。そんな魔女の不幸な人生を憐れに思った大魔女は、彼女たちが来世でも会えるように魔法をかける。その魔法には大魔女の私情が入っており、彼女にも呪術が返ってくるリスクがあった。それを承知で大魔女は来世で、今回は気付かなかった魔女自身の恋心に気づくように祈る。その親心もまた一つの大きな愛のように思う。

大魔女は最後に姫君たちに王子の現世での消滅を告げ、来世での出会いを約束する。その条件は本来の物語に大人しく沿うこと。つまりは姫君たちは放浪の王子を忘れ、本来の王子と結ばれたのだろう。それが現代に通じる お伽話となったのか。しかし そうすると姫君たちは放浪の王子のことを忘れ、もしかしたら望まない恋をしたということにならないか。大魔女が介入し過ぎである。しかも この介入は現世で お伽話が既存のものである、という言い訳を用意するためである。


は空っぽの仁の部屋に入り、また絶望し膝を抱える。その昴の前に小さい頃の仁の姿が現れる。絶望し諦めようとする昴を「仁(小)」が励ます。

王子が転生した体に魔法使いが細工をした魔女の魂を入れた姿、それが昴。だが魂を入れ替えたとき、「王子を憎んだ心」の部分だけが残ったという。だから元魔女の体(仁)には愛を知らない空っぽの心と王子が憎いという心の欠片が残ってしまった。それが仁の心。そこに現世での父親の出奔が重なり、仁は恋愛に何重ものロックが掛かってしまった。おそらく仁が昴を人一倍 眩しく思うのは、魔女の体に残る王子への眩しさも加算されていたからだろう。

仁(小)は、現在 昴たちには見えない「隙間」にいる仁を見せる(なぜ魔法のような能力が発動するかは謎)。そして呪いを解く方法は愛する人のキスだと昴に教える。
この昴が郷愁を覚える仁(小)は昴の母親だろう。母親の姿は『5巻』の祖母来訪の回などで見られるが、右肩に垂らした髪などが共通点であろう。そして祖母や叔父の名前の「木崎(きさき)」は母親の旧姓であり、木崎=妃なのである。前世では子を捨てた母親、現世では子を遺して他界した母親だから前世越しで話せた、と喜ぶのだろうか。

なぜ仁(小)の姿で現れたのかと考えたが、もしかしたらそれは王妃が我が子を捨て大魔女に育ててもらう時の約束だったのではないか。母親失格の自分には娘の前に出る資格はない。そう考えた妃=木崎は、娘との対面を自分に禁ずる。だから前世の記憶を持つ木崎は仁(小)の姿を借りてしか昴の前に出られなかったのか。現世で娘を生んだ後に死ぬのも前世からの運命の一つとして理解していたのかもしれない。

ただヒロインのピンチを亡き親が救う、という展開は前作のラストでも見たもので、前作との重複の多さには溜息が出る。

前世でも現世でも自分の姿を娘の記憶に残さないこと、それが大魔女との約束??

キスをして仁は目を覚ます。このキスシーンは画力の残念さが際立つ。妙な角度でキスしているし、仁なんて老人みたいに痩せ細っている。笑顔とか決め顔とか印象的なシーンで魅了できないのは作者の作品の残念なところ。


こから一気に昴たちの代の卒業式まで一気に話が飛ぶ。元々 理事長が設定していたタイムリミットが ここだったからだろうか。1年強で元親の背が伸び、昴を越えている。零時は学年主席らしく卒業生代表で答辞を読んでいる。これも昴を越え続けたという証拠だろう。一足先に卒業した隼人と夢路も駆けつける。

昴たち2人の仲は一歩も動いていないことが仁から話を訊きだした真白を通じて語られる。昴は仁が目の前にいるだけで幸せだし、仁は自分はフった形になっているため身動きが取れないようだ。しかし卒業式の後、今度は仁からキスをする。王子から姫へのキス。それは お伽話の終わりを告げるハッピーエンドの合図である。

「巻末描きおろし」は入りきらなかった物語。昴が仁の発見を師匠である大魔女に伝えるが、前世での関係性に気づいたことを昴は直接は話さない。これは前世と現世を これ以上 混同させないという区切りにもなっているのだろうか。
最後に大魔女は不老不死であることが語られる。それが大魔女の呪いの代償のようだ。

本編で課題になっていて、描かれないままだった米子(こめこ)の次の恋を予感させるような形で終わる。どれもこれも本編に入れようよ…。