《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

作品発表から現実で8年が経過し、作中でも永遠の2~3歳児だった双子に同じ月日が流れる。

LIFE SO HAPPY 1 (花とゆめコミックス)
こうち 楓(こうち かえで)
LIFE SO HAPPY(ライフ・ソー・ハッピー)
第01巻評価:★★★(6点)
 総合評価:★★★☆(7点)
 

ベビーシッター見習いの詩春ちゃんと天使の双子・茜ちゃん&葵くんとの愛しく温かい日々を描いた超人気シリーズ「LOVE SO LIFE」の待望の続編。あの小さかった茜ちゃん&葵くんが今度は小学5年生!?でも、子どもだっていっぱい悩み事はあるんです。ハートフルな双子の成長ダイアリー、第一巻。

簡潔完結感想文

  • 愛情と優しさを与えられ育った双子が、今度は他者に それを与える番。
  • あの人の愛が詰まったノートのように、破れたノートを私が特別に変える。
  • あおく…、ぼく は まだ子供だから夜に男女が同じ部屋に意味をよく知らない。

うしようもないことを受け入れていく大人への階段、の 1巻。

『LOVE SO LIFE』の本編終了後、1年も経たずに発表されたシリーズ続編。全4巻ながら最終巻の発売までは6年半を要した作品。これは最終巻で明らかになるが本当の子育てなど作者の私生活が多忙になったことが影響しているらしい。

この続編の主役は本編で主に3歳前後だった茜(あかね)と葵(あおい)の双子。本編最終『17巻』では8歳になった彼らが描かれていたが、この続編では そこから約2年後、5年生になった2人を描いている。これは最初の読切の発表が2008年で、続編の開始が2016年からだから、現実時間と作中時間の経過を合わせた結果なのだろうか。本編では3歳前後を7年以上やっていた双子だが、今回も10歳で6年間足止めを食らっている。
ということは推定するに双子は2006年生まれで、私が読んだ2024年現在では18歳になっているのか。叶うのなら2022年あたりに、当時の詩春(しはる)と同年代になった高校生編もやってほしかったが、そういう展開は無かった。でも別に現実時間とリンクしなければならない縛りがある訳でもないので、いつか時間に余裕が出来たら そういう話も作って頂きたい。彼らが恋をする様子を見てみたい。

上手く出来たことは詩春には褒めて欲しい。詩春の褒めは自分を肯定してくれた彼らの原体験。

の10歳という年齢設定は現実時間に合わせたのかもしれないが、もう一つ、大人への入口を通る年齢だから選ばれたのではないだろうか。本編がヒロイン・詩春の大人と子供の中間である高校生の頃を描いた作品だった。そういう年頃の詩春は思い通りにならない現実に対して大人(松永・まつなが)にも子供(茜と葵)にも なれないから、苦しんでいた場面があった。

それに対して双子では その過渡期の始まりの一歩目を描いているように思う。この小学5年生の10歳前後は他者との違いや、現在の生活への小さな不満、友人関係、そして自分自身に悩み始める年頃。男女の性別による肉体的な変化が見られる時期でもある。自分で自分を持て余す日々の中で双子が何を見つけ、どういう人間になるのかが描かれていく。

ということで本編の主人公だった詩春や松永はサブキャラに回っている。そんな中でも垣間見られる2人の生活や交際の模様や進展具合など見るべき個所は たくさんある。そして このカップルの一つの到達点が ある騒動を引き起こすことになる。それは本編で交わされた約束と矛盾することとなり、詩春が初めて あの人を傷つける。

優しい人たちに囲まれて愛情が欠乏することはなかった双子。その彼らが他者に対いて どう寛容になれるのか、自分に愛を注いでくれた大好きな人たちのようになれるのか、その成長が始まろうとしているのが10歳の頃なのである。


学校5年生、10歳となった双子たちは、この家での生活も約7年となり、祖父母と父親と5人の家族は上手く機能しているように見える。何気ない朝のシーンでは、朝食の白米の量が茜の方が多いのが笑える。全然 体型には出ていないが、茜は食べるのが大好きなままのようだ。何かといえば何かを食している気がする。

茜はイケメン教師にドキドキするような お年頃。その一方、葵は若い教師よりも理知的で冷静な祖父のような好感を抱いているらしい。この7年の生活で祖父を好きになるようなことが いっぱいあったのだろう。

現在の生活に不満はないが茜は この頃 母親のことが知りたくなる。だが娘を亡くした親である祖母は、母の話をする時に悲しそうな表情をするので その話を聞けずにいる。これが今の家族形態だと分かっていながらも、他のクラスメイトの当たり前の家族に少し羨望を感じ、母が生きている もしもの世界を考えてしまうのだろう。

そして学校公開日に、皆とは違い自分の家は祖母が来校することを恥ずかしく思ってしまう。それは自分の家庭の事情を新しいクラスメイトに話すことへの面倒臭さと繋がっていて、茜は自分の家の事情が人に漏れるのを嫌がる。あから祖母が学校に来る機会を減らそうと、祖母に強い口調で学校に来ないでと言ってしまう。

葵と喧嘩しながら社会性を身につけたように、時には家族とぶつかって自分を見つけていく。

孫の初めての反発に祖母は自分が悪かったのかと聞くが、茜は自分の気持ちに翻弄されているだけのようだ。祖母も、そして父親の耕一(こういち)も理由が よく分からないのだが、同じ年の葵には何となく理由が想像がつく。茜ほどではなくても、母親がいないことは心のどこかで引っ掛かっている現実なのだろう。茜の心を教えてもらいたい耕一だったが、息子に本人に聞けと冷たくあしらわれてしまう。祖父は信頼しているが、父親は信用が置けないか…。

外に飛び出した自分を必死に捜してくれた祖母を見て、茜は自分の心の動きを祖母に正直に話す。それは自分の心の問題で、祖母は悪くないことも茜には分かっている。そういう難しい気持ちを抱えることこそ大人への入口なのである。祖母自身も、そして彼女も娘の子育ての経験で、この年頃が自分にとっても難しいのは承知している。優しく聡明な人たちに囲まれた茜だから、いつか自分で答えを見つけるだろう。


学年になりクラブ活動を決める時期。2人は人気のクラブを志望するが、茜はじゃんけん大会を勝ち抜き希望の お料理クラブに入るが、葵は志望とは逆の文科系の書道クラブに入るハメになる。

新学年はクラス替えをしたばかりで、茜は新クラスで漫画を描いている女子生徒・桜(さくら)を発見し、近づく。だが後日 同じく桜が漫画を描いているのを発見した男子生徒は、彼女のノートを奪い、笑いものにしていた。その場面を見つけた茜は、桜のノートを奪還するが、男子生徒との揉み合いの末、彼女のノートを真っ二つに破ってしまう。

それに動揺した茜は謝罪するが、中央で破れたノートを見て桜は絵が無事ならと逆に茜に気を遣う。男子生徒も起こった出来事に対し謝罪し、桜もすぐに泣いてしまった自分を詫びる。こうして衝突をしながら子供たちは仲良くなったり、適切な距離を考えていくのだろう。

だが茜は自分が大切なノートを破ってしまった事実を気にする。流れで葵に相談すると、彼なら一生 許さないという。葵の強情さが見える答えである。

茜はクラブ活動で作ったパウンドケーキを謝罪を込めて桜に渡す。そして破れたノートをマスキングテープで補修し出来るだけ元に戻そうとする。ただの市販のノートが、人の手が加わって特別な物になるのは詩春が作ってくれたアルバムのような効果である。


うして心配事が減った茜は、自作のケーキを詩春にも送りたいと言い出す。葵が送るのは書道クラブでの習字。彼らが送った荷物は無事に詩春の家に届くが、その時には松永が家に来ていた。彼らの交際から2年が過ぎているからか距離が近くて、読者には驚きの場面の連続である。葵が書いた習字の文字で松永が痛いところを突かれているのが笑える。そうじゃないことを自覚しているから胸が痛むのか。

荷物の御礼に詩春は電話を入れる。しかし葵は詩春の電話口の側に松永がいることをどう思っているのだろうか。彼にとっては2人は家族だから、その2人が一緒に居ても変じゃないという考えなのか(家族的に)。一途すぎて その他の色恋に興味がないから松永の気持ちなんて考えもしないのか。
そして2人はゴールデンウィークに双子の住む静岡に向かうと言うが…。


LOVE SO LIFE 特別編」…
特別編は梨生(りお)と健(たけるカップルの話。このカップルは普通ではない形態ながらも6年以上の交際になるのか。そんな彼らの危機と三角関係を描いた作品でもある。

そして梨生は仕事も恋愛も不安定な健とは違い、同じ会社に勤める少し年上で、周囲の評判の上場の爽やかな男性社員と接近する。彼から一方的にアプローチされるだけでなく、梨生も自分が優しくされたことで胸がキュンとする。そんな自分の心境を心配して健成分を補給しようにも彼は連絡が取れない場所で放浪している。肝心な時に健との将来像が見えない梨生。作品としても健を自由人のままにしたから就職させなかった面があるが、梨生の恋心も同じで自由な彼に惹かれたが、今は その自由さに不安になる。どうでもいいけど、テレビをつけたまま寝落ちした深夜のテレビが砂嵐というのは作者の感覚がアップデートされていない。

恋の相談相手は詩春と松永。松永は健の不甲斐なさに彼を一刀両断。詩春は梨生の揺れ動く気持ちが分かるから、性急に答えを出さなくてもいいという答え。
ちなみに この時点で詩春たちは交際半年。松永が詩春の家に来て「深い意味で」泊まったりする仲らしい。現在の松永の暮らしが見たい。松永家の一軒家での暮らししか知らないから彼の家が見たい。

それから1か月。健は帰国し、梨生は別れを切り出す。自分の不安や、次の恋愛の目途などを正直に話して、健の自由を願う梨生。だが健は駄々をこねる。彼の譲歩は まだまだ自分勝手なのに、梨生は先輩男性の方に お断りをする。それは客観的に見れば間違っているかもしれないが、主観的には その間違いも受け入れられるぐらい梨生は健との関係の継続を望んでいる。