《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

俺の頭の中は かわいい君でoccupyされているから、他の女性の おっぱい ではドキドキしないよ。

うそカノ 8 (花とゆめコミックス)
林 みかせ(はやし みかせ)
うそカノ
第08巻評価:★★★(6点)
 総合評価:★★★(6点)
 

留学生のジェシカ&マイケルが、入谷の家にホームステイ。無口だけど頭脳明晰なマイケルは、なぜかすばるがお気に入り!?美人だけどツンデレジェシカは、入谷に気があるようで…?新たな人間関係が芽生えるなか、入谷はラッキースケベで大ピンチ!?一方、すばるは改めて入谷との関係を考えて…。そして修学旅行。すばる、ついに前へ進みます!!

簡潔完結感想文

  • 『3巻』の時田以来の新キャラ投入。本書は白泉社漫画としては新キャラが少なめか。
  • 入谷は女性の胸を触り、すばる は自分の胸を盛って おっぱい に物語がoccupyされる。
  • ちょっとした「うそ」をついても、今回は照れなく 君が欲しい言葉を正直に言うよ。

2回目の大団円チャンスもスルーする 8巻。

好きっていいなよ。改め、好きっていってよ。も今回で無事完結。
いよいよ恋愛イベント的には することがなくなりました。

交際から1年弱が経過した この時点で、あまり よく分からないタイミングでの、
キスや告白が続きましたが、白泉社的には ここが最果ての地でしょう。

ヒーロー・入谷(いりや)が何度 自宅に恋人・すばるを連れ込んで、
鍵をかけても、それは未遂に終わるのが運命づけられています。

今回の「告白」によって、何が変わる訳でもなく、ほのぼのとした日常が続くのだとは思いますが、
当人たちには、俺達の本当の恋愛はここからだッ!という意気込みがあるのかもしれない。
互いに遠慮しなくなった関係が見られるのが楽しみなのも確か。

ただ、やっぱり あれだけ決着をつけることから逃げていた、
和久井(わくい)の件や、キス、そして入谷からの告白が、
ぬるっと終わっていくのは残念。
もうちょっと分かりやすいドラマを作っても良かったのではないか。


して この『8巻』からパリから帰国した入谷と共に新キャラが2人登場する。

本書は、これまで『3巻』の時田(ときた)以降は新キャラを投入することのなく、
白泉社漫画としてはキャラ数少なめのまま話数を重ねていった。

今回、分かりやすく新キャラ(かつ 分かりやすい期間限定キャラ)が登場する。
2人の外国人留学生で、入谷が海外に行ったから彼らが参入してくるという流れは自然。

ただ、彼らが物語的に必要なキャラかというと、そうではない。
新キャラが事態を動かすキーマンになるのなら登場に意味があるのだが、
特に いなくても話が成立してしまうのが残念。

もうちょっと新キャラによって、主役たちの心が動く展開が欲しかった。

とはいっても、中盤のラッキースケベなどは新キャラがいなければ出来ない話で、
その一連の話の作り方が とても好きな私としては、感謝すべき存在なのだけど。


んな2人の留学生はジェシカとマイケルの2人。
入谷に口うるさい注文する女性、と入谷に何も言わずに頼るばかりの男性である。

どちらにしろホストファミリーの入谷に負担がかかっているので、すばる は助けようとする。

入谷が流暢に英語を喋れていて驚いた。
そんな設定あったっけ?
学年一位設定は、何でも出来ると同義なのか?

他に家族もいるホームステイとはいえ入谷は異性との同居になるが、
すばる は そこを気にしていない。
どんなに魅力的な人でも、入谷は簡単には好きにならないだろうという推測が すばるにはある。

これは1年弱の交際を経て、彼の性格を熟知し、
2人の関係に自信を持ち始めたということだろうか。

逆に入谷はマイケルと すばる の距離の近さが気になる。
和久井が大人しくなったと思ったら新たな心配の種が蒔かれる。
もはや無敵で聖母の すばる に対して、
入谷の方が心配することが多いという立場になっている。


だ、さすがの すばる も入谷がラッキースケベジェシカの胸を触った時には同様する。
すばる が これだけ不快な表情を見せるのは初めてぐらいじゃないか。

…と思いきや、これはジェシカに対する怒り。
彼女がマイケルを好きだということに気づいていた すばる は、
入谷に興味があるかのように振る舞うジェシカに、自分を傷つけるような態度をするなと忠告する。

すばる の眉間に皺が寄る表情は初めて。ただし嫉妬や独占欲ではなく、自分を偽るジェシカに怒っている。

すばる が他者の恋心に気づいたのは初めてじゃないか。
お手本のようなツンデレだから分かりやすかったのか。
それとも言葉が分からないとか、昔からの関係性がないとか、
徹底的に第三者目線のままだから、分かったのかなぁ。
和久井や妹・トモの恋心は距離が近すぎて見えないのか。

実は留学生2人は許婚(いいなずけ)だという。
彼らが10歳の時に親同士がノリで決めた事だが、ジェシカは それを信じている。

まだ すばる や入谷もカップルになる前だったら、
恋愛成就率の低い本書における、成功例として この2人が出てくる意味も分かる。
もしかして行き詰まりを見せる、和久井・トモ・時田の関係ではない、
別の動きを欲しての事なのだろうか。
タイミングを考えての登場の割に、
すばる と入谷に動きがある時に新キャラを迎えているのがチグハグな気がした。


谷は どうにか すばる に自分の誠実さを示すために行動に出ようとする。
だが、もう彼は自分のスペックの高さを誇ったりしない、
自分の限界を知っている人だから、ここで何を言っても正解じゃないことだけは分かる。

ただ、自分に出来ることだけをしようとして、
二度と脱衣所でラッキースケベしないように、
ドアに使用中の札を掛けるなど、再発防止策を すばる提言する。

彼女が望むようなことを察したり、聞きたい言葉を発したり出来ないなら、
自分が改善案を提案するしかないというのが、今の入谷の考え方みたい。

ただ、自分の誠実さを示そうとするあまり、すばる を かえって傷つけているオチが秀逸。

また、入谷が購入した使用中の札は英語表記もあるのだが、
その英語が「OCCUPIED」であることにも注目。
この回は徹頭徹尾、胸を触ったり、ブラジャーを買ったり、
おっぱい にoccupyされる「おっぱい回」なのです(笑)

噛み合わない2人のコミカルな すれ違いコントは見ていて楽しい。


して始まる北海道への修学旅行。
本書では観光は割愛され、スキーやスノボの雪山がメイン。

「おっぱい回」のブラジャーは すばる の変化したい願望が形になったもの。
すばる は入谷に「好き」って言ってもらえる自分になり、胸をはって「彼女」と言える自分になりたい。
胸をはる=胸を盛り盛りにするブラジャー、なのだろうか。

セクシー路線で言ったり、またも噛み合わない2人。
この修学旅行だけで作戦は失敗を繰り返し、その度に落ち込む すばる。

そんな彼女の様子の変化が入谷は理解できていない。
そこで入谷が相談するのが、和久井。

ここも和久井への対抗意識ではなく、
それ以上に すばる との関係を優先させていることが分かる。

入谷は人に貸しを作りたくない人だと思うが、
『7巻』で古屋(ふるや)を使ったように、
今回はライバルであった和久井にも ちゃんと頼みごとが出来ている。
ここも友情が成立したのかしら。

潔癖で高慢だった入谷だが、必要に応じては人に頼ることも覚えた。それぐらいに彼女を優先している。

そうして自分から歩み寄ろうとする2人。
すばる は入谷にハッキリした言葉を求める。

しかし入谷は返答を保留する。

なぜ、すぐに言わない!?とは思うが、
これは少女漫画的に落ち込ませる必要があるのと、
入谷に好意的に考えれば、この大事な局面で間違えたくないから、という意味もあるのか。

再度、2人で話し合う機会を持つ際に、
すばる を王様ゲームから抜け出させるために、入谷が「うそ」をついているのが良いですね。

そうして入谷が初めて「好き」と口にする。
これによって すばる は「本物の彼女」になることが出来た。

交際中に進化する関係性も、ここに一定のゴールを見る。

これ以降、入谷が すばる を家に連れ込もうとする割合が高くなるのだろうか…。
ここまでも丁寧に進めてきた2人関係性の変化。
それが次巻から、どうなるのか楽しみです。