《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

化獣(ばけもの)たちの最終的な目標は『猿の惑星』⁉ 人間の姿を描いた場面が激減中。

ラブ・ミー・ぽんぽこ!【電子限定おまけ付き】 4 (花とゆめコミックス)
赤瓦 もどむ(あかがわら もどむ)
ラブ・ミー・ぽんぽこ!
第04巻評価:★★★☆(7点)
 総合評価:★★★★(8点)
 

種の存続のため、婚活に励む化けだぬき・ぽんこ(♀)。人間姿のぽんこ(たぬ沢蘭子)を溺愛する一(はじめ)と、ぽんこを溺愛する真(まこと)の双子兄弟に正体がバレないよう同居している。実は狸の天敵である“狼”の血を継いでいる双子。ぽんこも双子自身もそのことを知らなかったが、ついにぽんこが知ってしまった…!そのことがぽんこにある影響をもたらして…??新キャラも登場!なサバイバル婚活ラブコメ、第4巻!!

簡潔完結感想文

  • たぬ沢・二ノ宮兄弟の登場比率が下がっていき、ホームが失われている感じ。
  • いやん、私 彼に食べられちゃうの⁉ 真実を知っても彼との結婚だって夢 見れる。
  • アイカツしよ! アイ(ドルの後ろのセットの代役)カツ動。白泉社名物、男装女子⁉

んこ がソロ活しても しょうがないでしょう、の 4巻。

ぶっちゃけ完成度がどうだろうと ぽんこ と双子のファンとしては、
アイドル活動とか脇に置いておいてほしいっていうのが本音だよなぁ。

これは『4巻』の中で登場する台詞のアレンジ。
『4巻』の半分以上がアイドル編で、しかも双子の出番なし。
これは ちょっと本音を隠せませんわ。
しかも次巻が最終巻なら、もっともっと3人の絡みを見せて欲しかった。

イケメンと同居、イケメンと学生生活、イケメンと婚活という3本柱があったはずなのだが、
そのどれもが今回は見当たらない。

マンネリ回避と読者を飽きさせない工夫なのかもしれないが、
舞台があっちこっちに移り過ぎていて、腰を据える場所が見つからない。
『3巻』で ぽんこ が独りで家出した時は、
それが双子との絆を再確認する結末とリンクしていたが、
今回の ぽんこ の動きには双子は一切関わらない独立した話だったのが残念。

それにしても新キャラが登場するペースが早すぎる。
主要キャラを化獣(ばけもの)で固めて、
そこから楽しい学園生活、マンション生活を描くつもりだったのかもしれないが、
大願は成就する前に夢と散っていった(きっと復活するけどね!するもんね!)。

人間姿の たぬ沢と ぽんこ が双子にイコールで結ばれそうになる危機とか、
まだまだ3人1組のユニットで描くことは いっぱいあったはず。
なのに違う3騎士が登場して、紙面を占有してしまった。

全10巻の7巻目あたりの話だったら良かったんですが、
全5巻中で1巻分の2/3を占めるような話とタイミングでは無かった気がしてならない。


んこ は双子の二ノ宮(にのみや)兄弟が狼の血を引いていることを知る。
彼らので秘密を知った一同は学園の理事長でもある双子の祖父に呼び出される。
そこで ぽんこ は二ノ宮家、そして学園の役割を知るのだった…。

祖父から語られるのは、孫である二ノ宮兄弟は薄まってきているはずの狼の血が濃く出ていること。
そのため、一族以外の人間に対して壁を作っていることが祖父の悩みだった。

だが双子の兄・一(はじめ)は たぬ沢に、弟・真(まこと)が ぽんこ に執着心を見せ、
狼の攻撃性が強く出た際も、それを3人が乗り越えたことから同居生活を見守ることにした。
祖父は、双子を変える存在として ぽんこ に期待をかけたのだった。

そして真実を知った ぽんこ も自らが被食対象となるかもしれない相手と一緒に住むことに、さほど抵抗感がない。
それはもう自分の中で彼らは家族だから。
恐怖心を克服して、ぽんこ にも彼らへの愛情が確かにある。

『3巻』での家出や、同じく たぬき である拓(たく)との交流で、
いかに自分にとって二ノ宮兄弟とあの家が大切かを思い知った経験が ぽんこ にはある。
ぽんこ にとって衝撃的な事実だが、彼女が受け入れるだけの寛容さを身に つけていた。

こうして変わらない同居が続くと思いきや、
同居の様子は ちっとも描かれなかった。
ここは夢ではなくて、真実を知った後の現実的な3人の同居風景の話を1話用意して欲しかったところ。

この ぽんこ の表情、可愛すぎないかい? 真の溺愛っぷりも当然に思えてきた。

ぽんこ は野性を残しつつも段々と その表情が柔らかくなってきたように思う。
これは少女漫画でドS男性が丸くなるのと似た経過をたどっているのではないか。
あらゆる動物に喧嘩を吹っ掛けてきたヤンキー気質が どんどん治まっている気がする。
(今回 初登場の化獣には暴力 振るわなかったし)


んこ が見る夢に関しては、フロイト先生が言うように、
夢は無意識的に抑圧された願望が表れたものであろう。

これは ぽんこ が、二ノ宮兄弟が自分にとっては恐ろしい動物・狼に変わる可能性を知ってもなお、
彼らとの甘い学園生活&結婚を意識できるという恋心が確定したことを意味するのではないか。
(それがどちらに向けられているのかは確定していないにせよ)

夢の中では真と たぬ沢の姿で交際している。
最初は冷たく当たっていたけど、今は愛してくれる真。
彼が たぬ沢に こんなに優しくしてくれる場面は初めてではないか。

続いては 一との交際の夢。
一は僅かなことを心の底から喜んでくれている幸せな交際。

そのどちらが未来に選ばれるのか。
これは前半と後半を結ぶ幕間のような夢ではないか。
当初の構想では ここら辺が中間点ぐらいだったのだろうか。
それならば全8巻ぐらいは欲しかったところ。

もしや この夢は、物語が想定よりも早く完結することを悟った作者が、
本来のエンディングを先出ししたものだろうか。

全5巻分の物語となることを知った読者は完結後にある希望を託せる余地を残すことにした。
だから、現時点では恋愛のエンディングが見られない読者のために、
こうなるはずだった未来を見させたのかもしれない(きっと復活するけどね!するもんね!)。

この説の弱い所は、物語の終わりを編集者から こんなに早いタイミングで聞かされるのかという点なんだけど。


活を頑張るはずの ぽんこ だったが、彼女に用意されたのはアイカツ
久し振りに たぬ沢の姿で登校したと思ったら、
学園内の様子は僅かで、すぐに ぽんこ として違うステージに連れていかれてしまった。

ぽんこ と一緒にいた狐の いなりが連れていかれたのは、
国民的人気男性アイドルTENのコンサート練習場だった…。

そこで ぽんこ はステージセットを壊し、
そしてTENが本当は女性で、しかも化獣であるというトップシークレットを立て続けに知る。

TENの正体は化獣・貂(てん)。
どうやら戦闘力は いなり < ぽんこ < TEN のようで、ぽんこ たちは捕獲される。
この時、縄でぐるぐる巻きに吊るされた ぽんこ たちの下に、たき火の用意があるのに笑った。
拷問、または事と次第によっては殺す気満々なのね…(笑)
そして台詞では そのネタに触れないのも笑う。
こういう小ネタが満載だから何度読んでも楽しめる。

どうやら狐七化け、狸八化け、貂の九化けらしい。
これが戦闘力や変化の能力の差ということなのだろうか。

でもって この3人は人間社会では並び称されるような間柄。
これからは女性メインキャラとして3人が活躍するはずだったのかな(5巻以上続けば… グフッ)

(右)下段の ぽんこ 身代わりの術の姿。このキットを どこかで販売してくれないか…。

イブのセットを破壊したために、自分たちがセットに化けることを厳命された ぽんこ たち。
そこで知るのはTENの過去、そして同じ化獣である後輩2人との関係性。
ぽんこ は毎日 家と抜け出してレッスンを見守り、
それを知らない二ノ宮兄弟は ぽんこ のことを案じる。

そういえばTENがいたグループのアイドル化獣たちは、どうなるんだろう。
彼らのセカンドキャリアも二ノ宮一族が手配してくれるのかな。

日々、レッスンを重ねる中(TENたちが)、
ぽんこ は真がマンション内で一人っきりで倒れているのを発見する。
怪我や病気に対して動揺を隠せない野性の強い ぽんこ。
真が倒れたのは、ぽんこ を心配しすぎて夜も眠れないからなのですね。
ぽんこ は罪な お・ん・な。

そんな時、TEN(と付き添いの いなり)が引越しの挨拶に来て、ぽんこ は彼女たちに全力で救援を求める。
TENの処置に対して圧倒的感謝を見せる ぽんこ。

後輩たちの頑張りと、気の置けない関係になりつつある友人たちのお陰でTENの気持ちは変わりつつあった。
ここは これまでの展開と同じく、ぽんこ の素直な気持ちが相手の凍り付いた気持ちを溶かしていくという展開です。


が当日、後輩2人は化けられなくなってしまった。
これは前日にスタッフたちの遠慮のない意見を聞いてしまった精神的な影響。
(これが冒頭で引用した言葉である)

TENを守るために たぬき と きつねは協力する。
動けなくなった後輩たちに代わって、ぽんこ たちがTENと合わせて3騎士になる。

そうして何とかライブを乗り切ったTEN。
自分に人生を賭けてくれたマネージャーの喜びの涙を見て、
TENは男でも女でもなく、獣として本音を語る。

ふざける時は ふざけた内容なのに、
要所要所で しっかりと心に訴えかける内容にするからズルい。
それは ぽんこが泣く時に似ている。
その人が限界ギリギリまで頑張った涙に人は弱いのだ。


TENが この後、学園や私生活でも大暴れしてくれるなら、
この長めの初登場回に意味が出てきたんだろうけど、
大暴れする前に物語が終わってしまった…。

まだまだ余力と魅力を残しているキャラたちばかりだから、それだけが残念。
ばけものフレンドだけは いっぱい集まったのだけど…。