《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

特定の相手(高嶺)をギャフンと言わせる姿は いじわるばあさん ならぬ いじわる花さん。

高嶺と花 2 (花とゆめコミックス)
師走 ゆき(しわす ゆき)
高嶺と花(たかねとはな)
第02巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

残念御曹司・高嶺とのお見合いを継続する事になった花。高嶺の祖父が、お見合い相手に会いたいと言い出した事がきっかけで、鷹羽財閥のパーティーにまたも姉と偽って参加する羽目に!! 完全アウェーを乗り切れる?更に高嶺の旧友・ニコラが来日! 花に接近する目的は?大反響! 格差×年の差お見合いラブコメディ第2巻★

簡潔完結感想文

  • パーティー参加に必要なのはガラスの靴ではなく ガラスの仮面。花 怖ろしい子ッ!
  • キスは 恋ではなくトラウマの始まり。粘着質な男に一生 嫌がらせ されちゃうわ ♥
  • 本格連載開始。花16歳の春は本書では何度 到来するのだろうか。サザエさん時空

がらせは究極の愛情表現ですから、の 2巻。

『2巻』は全6話が収録されていて、前半3話までが短期連載分、後半3話からが本格連載分となっている。
大雑把に言うと本書は読切短編の1話と、短期連載終了の7話、
そして長期連載終了の『18巻』の最終話と3回エンディングを迎えている。

1話で2人に縁が出来て、7話で その絆が更に深くなっている。
これは最終回ともいえる展開で、もう2人の関係性は揺るぎないと思われる。
この後は主役の2人が相手のみならず、恋をしている自分に反発する様子がメインとなるだろうか。

26歳の男性(職業・御曹司)と女子高生の組み合わせなので、
手を出したら、色々な面で そこで試合終了になる恐れがある。
この社会的障壁があって、つかず離れずの関係のままでいられるのは僥倖かもしれない。

私の今後の楽しみとしては、本書がどれだけ白泉社的な展開を見せるか、という点である。

まずは登場キャラの増加。
最終的にキャラが30人にも40人にもなることも ざらの白泉社漫画。
『2巻』で早速1人増えたが、しばらくは新キャラ祭りが開催されるのかが見所です。

そして時間の流れ方。
かの葉鳥ビスコさん『桜蘭高校ホスト部』では4回ほど春が到来したと思われるが、
本書も サザエさん時空に突入して、雑誌掲載時の季節と一致した季節イベントを取り入れた話が盛り込まれるのか。
季節イベントとキャラの加入、そして個人回が長期連載には欠かせません。

これから どのように全18巻が展開されていくのかが楽しみです。


頭は、短期連載終了に向けての大問題の勃発から。

『1巻』で御曹司・高嶺(たかね)の見合いに女子高生・花(はな)が乱入した騒動は、
鷹羽(たかば)グループ会長で高嶺の祖父の耳にも入る(ただし花ではなく姉の縁(ゆかり)の名で)。
そこで祖父がもう一度 縁に会いたいと言い出して、花は再び縁と偽ってパーティーに参加する。
高嶺が唯一 その威光を恐れ、意向に従う祖父のもとに行こうとする2人(しつこい)。

高嶺の方も、花を現在継続中の見合い相手として祖父に紹介することで、
これ以上の縁談を持ちかけられるのを阻止したいと思っている。
(もちろん花との見合いに横槍を入れられたくない気持もあるだろう)

パーティーに参加するため、姉に買い物に付き合ってもらい、
今度はプロのメイクと背伸びをしないドレスを用意しても16歳が、姉の年齢・23歳には見えるまでには届かない。

その結果に、パーティーには姉が参加し、花は同伴という形も提案されるが、
花は自分が多少 無様に映っても、高嶺の横にいるのは自分だという意思を表明する。

高嶺もまた同じ。
彼が選んだのは最初から縁ではなく花なのだ。
これは1話に構造が似てますね。

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今日までの特訓と持って生まれた頭の回転で難局を乗り切る花。後の大女優の誕生の瞬間である(嘘)

番は、花の演技力が試される場となる。
彼女はパーティーにガラスの靴を履くのではなく、ガラスの仮面をつけて挑んでいる。
姉になりきった言動で、周囲に疑問を持たせることなく つつがなく対応する花。

いよいよ会長との対面。
会長が開口一番、花に向かって「毛程位には興味を持っていただけたかな?」というのは、
お見合いの席で「悪いけど 毛ほどの興味もねーから」と中座した彼女の言葉を受けてのものだろう。
何と言う記憶力。
さすがは大財閥を率いる お人。
こんな人を騙すことなど出来ないのではないか。

大ボスを前にして、2人は初めて反発することなく協力する。
ここは新郎新婦、初めての共同作業、といったところか。
共通の敵(ではないが)の存在が2人の結束を強めた。

そうして会長と3人での会話が始まる。
会長の口から これまで高嶺は過去12回の お見合いをしたことが明かされる。

その全員が高嶺ではなく その地位や背景を見ていた。
花だけが、高嶺を見ていたことが お見合い継続の決め手。
これは花が16歳で、結婚や人生をそれほど意識していないことが大きいだろう。
天真爛漫、純真無垢、ある意味で若さの勝利とも言える。

高嶺について会長から意見を求められた花は、
「縁」としての模範解答ではなく、花としての印象を率直に伝える。
お見合いの継続を希望し、これからも高嶺のことを知りたい、と。

ここでも会長を騙してしまっては、先に本音を話してくれた高嶺に失礼になる。
それに嘘の中に真実を混ぜると、嘘の信憑性が増すと言いますし。


ボスとの対戦を終えても何とか生き延びたが、高嶺とはぐれた花。
1人になった彼女は周囲の参加者に飲酒を勧められ、花も覚悟を決める。
だが それを間一髪で高嶺が助け、彼は一気に酒をあおる。

こうして高嶺がピンチを助ける王子様になってくれた訳ですが、
これって2010年代の漫画では未成年の飲酒は絶対に認められてないってことでもあるのかな。

ちなみに高嶺は飲酒をすると素直になるっぽいですね。
思えば毎回の花との会食の時は、外車で送迎しているからお酒を飲む機会はなかったのかもしれない。
きっちり マトモにドレスアップした花や、酔った高嶺など初めて見る姿が増えて嬉しい。

こういう場面で、慣れない靴で靴擦れを起こすのは お約束。
高嶺は花をお姫さま抱っこをして歩く。
自分の歩くペースを乱されたくないというのが理由。
でも王子行動連発ですね。

靴と言えば、階段で花の靴が脱げて履かせてあげる シンデレラを彷彿とさせるシーンは
『1巻』の最初の読切の時に贅沢に使っちゃいましたもんね。
長期連載すると分かってから、その良いアイデアの使い方を公開したでしょうね。


期連載の最後は、高嶺が「ロリコン罪」にならないように、彼を避ける花の話。

距離を取る理由も素直に言えない花は、
わざと彼を傷つけるような言葉を用いてしまう。
「高嶺さんと一緒にいるの 飽きたんですよ」

その一言で、高嶺のプライドにひびが入り、彼は縮んでいった。
低嶺(ひくね)初登場ですかね。

だが高嶺は しっかりと花の異変を感じていた。

彼女が周囲の声に委縮してしまうのを見て、高嶺は彼なりに花の闘争心に火をつける。
「背を向けて逃げ出すなら 俺の勝ちだな」
負けず嫌いの花を挑発するためだけに絞りだされた言葉。

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甘い愛の言葉は囁けないけど、相手を発奮させる言葉なら幾つでも用意できる2人。

そうして高嶺は嫌がる事を徹底的にやる。
庇われたくないなら庇うし、守られたくないなら守り抜くと宣言。

君を守るため、そのために生まれてきた、だろうか。
高嶺にとっては、守る対象が目の前からいなくなる事のほうが切実な問題だと言う。
海水に濡れて髪を下ろしている高嶺が可愛い。
そして自分の決めゼリフの後に どうしても赤面する姿も可愛い。
私は赤面男性、通称・赤メンが好きだ。

そんな純情な彼は、相手からされたキス一つを根に持って2日間 寝込むし、
自分からキスをするのにも緊張で顔を赤くする。

一件落着をして、短期連載終了。
これ以後が通常連載となる。


期連載の初回で、花が脱マンネリを目指して、初めて花から高嶺を誘ったように、
連載もマンネリ回避のために、あれやこれやと試行錯誤していくのだろう。
今回は花見が目的だが、人の多さに人酔いした高嶺が珍しく遅刻する。
これも時間を無駄にしたくないと訴えていた高嶺の初めてのパターン。

この頃、サングラスにマスクをして花の前に現れる高嶺。
今回はフードも被っている。
これは花粉症対策ではなく、いらぬ噂を立てられぬようにするためだと判明する。
そんな気遣いも嬉しいが、花は 彼の顔が見られないのが残念だった。

そういえば花見をしているが、これは花の進級を意味しているんだろうか。
上述の通り、時間の進み方は今後の読み込むポイントです。


いては新キャラ・二コラ登場。
イタリア人の二コラは日本に留学していた際に大学生だった高嶺と知り合った男性。

本書の特徴の一つとして、新キャラは高嶺側の人間が多いことが挙げられる。

そもそも花と高嶺の属する社会が違うし、
花の側のキャラクタを増やしても、高嶺との接点が難しくなるのだろう。
そういう性質からか、高嶺側の知人と花が知り合うパターンが多い。

その多くは20代の人が多いとはいえ、高校生ではないので、
他の漫画よりメイン級の登場人物の平均年齢は高いと思われる。
案外、この年齢層の幅が多くの読者を獲得するのに役に立ってたりして。


ニコラから見せてもらう大学時代の高嶺は、片方だけ口角を上げて笑っていた。
それは高嶺が本心から楽しいときにしか出ない笑いで、
そうやって高嶺が笑っている姿を見て、花はニコラを信用する。

ニコラも またファッション界の御曹司。
2人目の御曹司である。
女性と浮き名を流すニコラと、奥手の高嶺。
そんな2人から取り合いになる花、という展開も見てみたかったかも。
ただ、本書は最初から2人の恋愛が確定しているようなものなので、
三角関係にしても『2巻』の段階でもう時すでに遅しという印象になってしまうのが玉に瑕。
行動が遅いんだよ、×××(ネタバレ)。


性を前にしたら口説かないのは失礼だと思うような情熱的な二コラに迫られる花を、高嶺が助ける。
格好はつかないが、何だかんだでヒーローなんですよね。

そして二コラに対して本気で怒る高嶺。

御曹司対決は高嶺の勝ち。
今回のニコラは本気ではないにしろ、
花も複数の男性の中から高嶺を選んだことになります。
(高嶺は1話から姉ではなく花を選んでいる)
そういう意味では、ニコラは御曹司ながら、初めての当て馬となりました。


高嶺を怒らせても再び花の前に現れるニコラ。

高嶺が校門前に駐車しなくなったら、新しい外車が現れた。
この学校の前は金持ちの駐車スペースで、空いた席に誰かが座る席取りゲームなのか⁉

話してみるとニコラは高嶺の生態をよく知っている。
それだけ近しい関係だし、彼に興味を持っていることが分かる。
だが かつて仲違いすることがあって、現在も2人の関係はしっくりこない。
あの高嶺が一時は心を許した相手だから、と仲を取り持とうとする花だったが…。

ちなみに高嶺が女性に花を贈ればいいと思っているのは、ニコラの影響もあるらしい。
頭の固いマニュアルくんだが、花一輪を花百輪にしてしまうのは金の成せるわざか。