《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

狂言は好意の表現方法。真面目系女子がつく子供っぽい嘘にロリ萌えが刺激された⁉

青春しょんぼりクラブ 3 (プリンセス・コミックス)
アサダニッキ
青春しょんぼりクラブ(せいしゅんしょんぼりくらぶ)
第03巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

「青年心理研究会(しょんぼりクラブ)」存亡をかけた生徒会監視によるWデートに参加することになったにま。よりによってお相手は、自分に好意を持っているかもしれない津和野!! ぎこちなく試練を克服していくなか、津和野がにまの手を握って…!? 新世代ざんねんラブコメディー、恋・愛・交・錯の第3巻!!

簡潔完結感想文

  • 2.5次元失恋。これで青心研メンバーは4人とも失恋を経験した。しょんぼり。
  • 部への復帰を目指し、青心研の活動実績を作ることに。2回目の幼なじみの恋。
  • 隠岐島との お出掛けに心が弾まざるを得ない にま。だがすぐ しょんぼり発生。

人目の失恋者が生まれて青心研全員しょんぼりの 3巻。

今回の失恋は0.5回分の失恋である。

青年心理研究会のメンバーであり、アニメ研究会の部員でもある
アニオタの簸川(ひかわ)の初めて二次元以上の存在に心が揺れた。

その対象が同級生の隠岐島(おきのしま)。性別は男である。
…といってもBL展開ではない。好奇心をおおきく振りかぶらないでほしい。

簸川は、隠岐島が女装コスプレをしていて、
更に変身アニメのキャラクタの変身前の制服姿をしている場合のみに心が反応する。

2次元(アニメ)でも3次元(隠岐島本人)でもなく、
その境界線上にいる2.5次元の存在に視線が奪われてしまう恋。
「この世のどこにも存在しないのと同じ相手に はじまる前から失恋」してしまった。
こんな特殊条件下でしか発動しないのが簸川の初恋だった。

はじまる前から失恋するのは にま と同じですね。
そして叶わぬ初恋をしたのは隠岐島と同じである。

彼にとっては正しい失恋かもしれないが、やっぱり一般的な失恋と比べれば0.5回分ぐらいの失恋ではないか。

f:id:best_lilium222:20211106184631p:plainf:id:best_lilium222:20211106184628p:plain
奪われる視線、熱くなる頬、それが恋だと指摘されて自覚される初恋は、その刹那、失恋に変わる。

して そんな簸川と隠岐島の会話を立ち聞きしてしまった主人公・にま も 0.5回分の失恋をする。

『1巻』1話で隠岐島
「やっかいな恋しかできないやつには
 冷静な他人がそばにいてくれるのはいいもんだよ」と言っていた。

それは初恋の女性のために女装までして与えられた役割を演じていた
隠岐島に対する簸川への言葉だと思っていたが、今回はその立場が逆になっている。

今回、隠岐島は簸川に
「どうしようもない相手ってのはあるよ それでも時間がたてば なんとかなる」
と実体験に基づく心の回復法を伝授する。

ただし 失恋を経験した隠岐島の心は現段階でも回復していないらしい。
「オレは とうぶん無理だよ」

その言葉が、にま の形になることを阻止していた隠岐島への想いに反応する。

これは高校に入って以降、好きになった相手に恋人ができてしまう当て馬体質とは違う、
にま にとって新たな形態の失恋である。

自分の中で好意も明確にならない(ように抑え込んだ)から、その対象も両想いになることはなかった。
だけど、自分のことも好きにはなってくれない希望のない未来が待っていた。
それが0.5回分の失恋。

0.5の次元の狭間には 救い切れない/掬い切れない気持ちが放り出されて漂うばかりである。


んな先輩男子2人の微妙な関係性に気づくのは にま。
さすが男性の恋に目ざとい鋭敏な心の持ち主である。

そういえば、『3巻』では生徒会から青心研の実績が求められる。
この時に にま の嗅覚を使えば、カップルは即座に誕生し、青心研の実績を でっち上げることも簡単だと思われるが、
にま自身が恋愛を力づくで封印している状態だから無理なのだろうか。

話は前後するが、水族館で迷子になった会長の妹を助けたのは、香菜(かな)だった。
彼女は幼なじみの津和野(つわの)の恋の行方が気になって尾行していたらしい。
にまを含め、1年生女子生徒の恋は最終盤まで もつれこむ長期戦の様相を呈す。

この迷子の捜索で、水族館スタッフに扮していた依子(よりこ)が、
生徒会副会長と遭遇してしまうが、ここで副会長から直々に個人的な依頼が成される。
これが次のターンの嚆矢となる。
相変わらず話の繋げ方が上手くて感心します。


にま と津和野の関係は保留となる。
津和野はにまの気持ちが全面的に自分に向いていないことを理解しているから、
彼の優しさもあって、強引に話を進めたりしない。


子のトラブルがあってくれたお陰で、
生徒会長(通称・オカン(男))から尾行や女装・変装の件は不問とされた。

しかし豪華な部室の奪還はならず、保留。
これもまた今後の活動によって評価されることとなった。
その今後の活動となるのが、布石が打たれていた生徒会副会長(女)とアニ研副部長(男)の恋だろう。

今度は青心研×アニ研×生徒会副会長編である。

才色兼備の副会長と、アニ研の小太り先輩との恋もまた、女性側が素直になれない恋であった。
家がお隣同士とか、幼なじみとかも香菜と津和野の時と同じである。
少女漫画の王道設定を消化しているのだろうか。
彼らは2年生同士だからか、1年生の女子とは違い、結果は間もなく出る。


題はアニ研副部長の好きなアニメキャラがロリ系であり、生徒会副会長はその正反対にいること。

そこで話を聞くのはアニ研部長。
彼は本当に良いポジションにいる人である。
ウザいにはウザいのだが、彼の登場を心待ちにしている自分がいる。
青心研を除いた人気キャラ投票をしたら結構いい位置につけるのではないか。
にしても彼の家の半径1キロ圏内 男子しかいない環境って一体…。

この件で、アニ研部長も にま もイラストが上手くないことが判明。
だが、本人たちは そこそこだと思っているのが笑える。
隠岐島の歌といい、客観的評価と主観が食い違っているのが面白い。
自己評価は しょんぼりせず、無駄に自信があるのが若さかもしれない。

青心研とアニ研が総力をもって変身させた副会長の姿は、
自分でも似合わないと自覚するほど、本人の良さを相殺させていたのが笑える。
この2つの部活が出しゃばると、ロクなことにならないのは、『3巻』にして経験則となる。

アニ研副部長の好みに合わせる作戦は失敗し、生徒会副会長は落ち込んでしまい…。


る休みした副会長の部屋を見舞う にま と依子。

思えば、副会長がお気に入りの人形が犬に奪われたと嘘をついたのは、彼の気を引きたくてだった。
そして真面目な彼女が今回、生まれて初めて ずる休みをして嘘をつくことで物事が動く。
彼女のことを心配する心優しいアニ研副部長は ずっと健在なのだ。

窓の外からアニ研副部長の呼ぶ声がして、彼は小学校以来、副会長の窓に板を渡し、彼女の部屋に向かう。
これは物理的には恋の橋渡しであり、精神的には彼女の心の中に久々に入り込もうという意思であろう。

だが小太りな副部長の体重に悲鳴を上げる板。
その時、生徒会副会長が彼に駆け寄り、そして彼女が彼の部屋になだれ込む。
これもまた、色々な意味で彼の心に飛び込む勇気を持ったという表現であろう。
(まぁ 板への負荷を考えると利口な選択ではないが…)

f:id:best_lilium222:20211106184706p:plainf:id:best_lilium222:20211106184703p:plain
君が窓を閉ざすなら、僕はそこへ橋を架けよう。君がキュン死に するか、僕が転落死するか。

そうして青心研は失敗ばかりを積み重ねたが、こっちの幼なじみは見事カップルになり、
副会長の口添えにより、部への昇格が提唱されるのだった。

迷子を助けたのも香菜と友達になれたからだし、
副会長の件でまた縁が広がった。
巻を重ねるごとに学校生活の輪が広がっていくのが読者としても嬉しい。


室も戻り、青心研に平和が訪れたが、にま の心は荒れ狂っていた。
隠岐島に2人きりで出掛けようと提案されたのだ。

が、当日、現れたのは女装 隠岐島
しかも服が被って、自分が引き立て役になるという大惨事。
これは隠岐島が男性の姿で にま の隣に立つのが、津和野に悪い気がしたからだった。

ただしコスプレ雑誌の表紙を飾った隠岐島が声を掛けられたので、女装を解除。
これによって ただのデートと変わらない状況となった。

隠岐島の話は、来週に迫った7/20の依子の誕生日についてだった。

あれっ??『2巻』の冒頭で、隠岐島が学園祭から半年だから背は伸びていないはず、って話してましたよね…。
で、今まだ1学期なの???
半年じゃなくて半月なのだろうか。
それとも連載が長期に亘りそうで、時間の流れをゆっくりにした妥協の結果だろうか。
でも この時間操作(?)のお陰で、年間イベントが全部できることになったので結果オーライ。


子にとって誕生日は特別な日。
なぜなら8年前の誕生日に、母親が恋人を作って家を出ていったから。
だから彼女はそれ以来、誕生日を祝われてない。
だけどこの3か月で、彼女も変わったから祝いたいと隠岐島は考えていた。

ちなみに隠岐島の誕生日は6/10で誰にも言わずに過ぎてしまった。
自分のことは自分から話さないのが隠岐島らしい。
この日は簸川だけはアニメTシャツをくれたらしい。
男性同士で誕生日を知って、贈り物をするとは、簸川の隠岐島への想いを邪推してしまう(笑)

隠岐島の似ているようで違う、にまと自分の分析が面白い。

にまは根っこから優しいから誰にでも優しく出来るが、
隠岐島は自己分析では、自分が優しくしたい人の範囲は狭く、そして見返りを求めるから優しくしているという。

勿論、これは隠岐島の分析であって、にま自身の自己分析はまた違う。
評価がこそばゆいのは、それが美化されていると思うから。
そして相手がよく見えるのは、相手に好意を持っているからではないか。


依子が母と会おうとする当日の模様の途中で紙面が尽きる。
次が気になるじゃないか。