《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

空に虹を架けて、花火も打ち上げた 君。でも季節は梅雨に突入。南作品の梅雨は危ない!

ReReハロ 7 (マーガレットコミックスDIGITAL)
南 塔子(みなみ とうこ)
ReReハロ(りりはろ)
第07巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★(6点)
 

ずっと一緒にもっと笑顔で! ずっと続いていたすれ違いを解消し、ついに両想いを確認しあったリリコと湊! 幸せいっぱいだけど、湊のはとこ・星梨奈のことは気になっていて…。湊と付き合い始めたことを思いきって伝え、謝ったリリコに星梨奈はなんと平手打ちを!?

簡潔完結感想文

  • 恋愛勝者の せめてもの罪滅ぼし。傷口に塩を塗り、火に油を注ぎながらの謝罪など いらぬ。
  • 逆恨みの犯行理由。失恋って どういうものかしら。初カレに浮足立つ私にはわからなーい。
  • 彼に会いたいから強行突破。天には花火、背後には君。心臓がバックバク の バックハグ。

想いの事後処理をして、後腐れのない関係を築く 7巻。

『5巻』が ライバルたちが両想いを阻止する巻で、
『6巻』が シナリオを無視して湊(みなと)が驚きの行動に出て両想いを果たす巻、
そして『7巻』が ライバルたちのカウンセリングをする巻。

大まかに言うと こんな感じの内容です。

湊の はとこ である星梨奈(せりな)、
そして湊への逆恨みから リリコに近づく名波(ななみ)、
彼らの成就されなかった恋を通じて、両想いの裏にある失恋を描くのが目的か。

事後処理と、今後の問題への下準備をするのが『7巻』。
うーん、不穏な空気、そして蛇足な展開になりそうな気配がする。

今回、花火を見上げて(完)じゃダメだったのかなぁ。
前回、虹を見上げて(完)でもよかったのに。


の中で私が一つ残念に思うのは、問題解決の順番。
星梨奈と名波への個別の対処は順番が逆だった方が良かったのではないか。

リリコ は『6巻』で両想いの報告をした際に、
星梨奈から平手打ちをされたこともあり、彼女を気にかけ、
傷口に塩を塗るように、無遠慮に彼女への接近を試みる。

今回、星梨奈は意地悪をしつつも、
結果的に リリコを敵視の対象から外すことになったが、
私はリリコのお節介と恋の勝者のデリカシーのなさを感じた。

上手くいったのは、星梨奈が寛大だったからでしかない。

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リリコの猪突猛進は、湊でも制御不能。これは今後の伏線だったりするのか?

今回、湊に自制や自粛を求められてもなお、
猪突猛進に最短距離で物事を解決しようという性格に リリコらしさを感じつつ、
人の心の機微を、恋を失った痛みを理解していないと思わざるを得ない。

リリコが それを分かるのが、元カノを巡る名波の消えない想いを聞いた時。
「好きな人が他の人を好き…」ということを意識した リリコは彼を慰撫する言葉を掛ける。

この流れの後に、星梨奈の痛みを真に理解し、
彼女のために自分が出来ることをする流れならば良かったのになぁ。

本書の流れだと、リリコは失恋の痛みを理解せずに、
勝者が抱く罪悪感を失くしたいために、即座に行動したみたいじゃないか。

『5巻』の感想文ぐらいから、作者への手厳しいコメントが続くが、
私には作者の考える構成は、どうにも腑に落ちないことが多い。

描きたい内容は何となくわかるのだが、
登場人物の心の流れや挿入するエピソードに心底「上手い!」と感嘆するものが少ない。

細かい思慮の中に作家性が出ると一層 面白くなると思うのだが。


書中ずっと、体育祭練習しすぎじゃない?
と思っていたが、どうやら両想いになる直前から体育祭までは10日余という時間経過らしい。

その根拠は『6巻』の1話目で「来週の土曜」に行われる、と言っていた体育祭が、
『7巻』の3話目でようやく開催されているから。

リリコがリレーの選手に選抜された日の前日も学校があったので少なくとも火曜日以降と推測される。

相変わらず時間経過の ゆっくりした漫画だなぁ。

その10日余りで、名波に急接近されたり、
両想いになったり、星梨奈に罪滅ぼしをしたりしていたのか。

やっぱり星梨奈への面会は時間を置いた方が良かったんじゃないか >リリコ。


そして私が気になるのは、この間の星梨奈の動き。

湊への失恋を予感してからというもの、ずっと体調不良を訴えていた星梨奈。

たまに外に出るとリリコに出くわして、平手打ちをしたり、
召使いにしたりして、果ては留学までしている。

10日前後の間に忙しいことで。

しかし一時的とはいえ留学は何のため だったんでしょうか?
留学という名の失恋旅行?

まさか文化祭に潜入した リリコと会わないため?
湊の隣に居るのが絶対に星梨奈じゃないというアリバイ崩しのための留学。

んな馬鹿な、と思いたいが、この作者なら やりかねない…。


走ってしまいましたが、湊の高校の文化祭にリリコが潜入。

湊が会いたいと言ってくれているんじゃないかと思えば猪突猛進、
たとえ湊の高校の文化祭は部外者が入れないと知っていても 取り敢えず試すだけ試すのが リリコ。

湊の同級生で顔見知りの小泉(こいずみ)くん に協力してもらい潜入成功。
高校の制服も借りて、湊と同級生デートを決行。

変装のスリルと、好きな人と一緒の空間に居られる喜びで胸の高鳴りは倍加する。

ここで湊の高校の文化祭に リリコが突入するのは、
『6巻』で リリコの高校に乗り込んだ湊とは逆の構図ですね。

会いたい時に会いに行く。
たとえそれで周囲の生徒から奇異な目で見られようと。

そんな2人のいい意味での恋愛バカっぷりが垣間見れる お話です。

2人を祝うような花火で(完)でも構わんよ、私は。

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恋愛の最高到達点で花咲く光。いやぁ 良い最終回だった。えっ 違うの??

だし、その裏で、これまで一緒にいた同じ空間を奪われつつある。

お互いに体育祭や文化祭の準備などもあった上に、
『1巻』から名前は登場していた湊の本来のお抱えの家政婦・エツコが登場。

家政婦は見た。
リリコというお嬢さんの生活態度を家庭環境を。
彼女を心配する言葉を並べて、湊の心に棘を埋め込むエツコ。
彼女の真意は何なのだろうか。

そしてリリコが知らない間に、彼女の楽園と湊の心は少しずつ変容していっていた…。

前作『360°マテリアル』では梅雨に入ったら、
主人公カップルが一気に険悪な仲になりましたが、まさか本書でも夏休み前には暗雲の予感…⁉


リリコが湊の部屋に入らないようになったのは、
両想いになった後で初めて料理を作った際の、
まるで新婚夫婦のような、いつでもイチャつき始めそうな
(端的に言えば性的な)雰囲気が出たので、それを回避するためだったりするのかな?

だから物理的にリリコを部屋に近づけない障害が幾つも用意されているのか。


あと、星梨奈への介入の際の、言い出したら湊の助言も聞かないリリコの描写は、
今後の展開の伏線だったりするのかな。
そうだとしたら、ちょっと作者を見直す。

ReReハロ 7 (マーガレットコミックス)

ReReハロ 7 (マーガレットコミックス)

  • 作者:南 塔子
  • 発売日: 2015/06/25
  • メディア: コミック