《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

俺たちを結び付けてくれた悪魔のキューピッドがいなくても、俺たちは もう大丈夫。

兄友 4 (花とゆめコミックス)
赤瓦 もとむ(あかがわら もどむ)
兄友(あにとも)
第04巻評価:★★★★(8点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

西野家で停電中、怪我をしてしまったまい!加賀を気にするあまり、まいを真っ直ぐ見れなくなっていた西野さん…。でも、そこで本心を話せて…!?そして、嵐から一夜明けて帰宅したまいを待ちうけていた、両親の多大なる誤解とは!?二人がつき合う前の番外編も収録!兄・雪紘の過去が垣間みえる壁ごし&つつ抜けLOVE、第4巻!

簡潔完結感想文

  • 停電。目の前が真っ暗になったのは落雷のせいではなく、自分の失態に気づいて動転したから。
  • 誤解。恋人の両親に ご挨拶し交際を認めてもらったはずが、ご両親が認可したのは事実誤認で…。
  • 過去編。超長編化するにあたって これまで語られなかった過去を雪紘メインでお送りします。

『停電の夜に(ジュンパ・ラヒリ)』、男女3人の関係性に終止符が打たれる 4巻。

この『4巻』収録の18話で第一部完、といったところでしょうか。

物語に一区切りがつく内容で、その騒動の中で主人公カップルの成長も描けている。
自分たちで自分たちの問題を解決できるようになった彼らは もう無敵です。

作品が様々な要素で(恋愛描写・キャラクタ・ギャグとテンポ、そして虫のスマホアプリ)、
人気を獲得したために、超長編化が可能となったと推測される。

なので、本来は決着がついた三角関係も引き続き延長戦の様相を呈したり、
エピソードゼロ的な秘話を挟んで、第二部が開幕する。

一度 閉じた(ような)物語を続けるのは、
これまで以上の濃度の展開が必要で、大変な力量が要求される。
ここからが作者の真の力が試されていきます。


率直に言えば、恋愛に関しては今回以上のことはなさそうだが、
笑いに関しては まだまだ新しい種類を生み出しそう予感がする。
そこが本書の強みだろう。


て、主人公の まい、そして恋人の西野(にしの)、西野の従弟・加賀(かが)、
この3人が織りなす三角関係も、3人が一つ屋根の下で過ごす嵐の夜で清算された。

まい と西野にとって最初で、最大ともいえる意思疎通が不可能な状態。
一つ屋根の下、すぐ隣に居るのに、壁を隔てた2つの部屋に居る時よりも心は遠い。

西野は従弟の加賀の まい への本気の気持ちを察し、
そして本気だからこそ、彼への牽制に集中してしまっている。

いつもと違い、ピリリと緊張感をまとう西野に まいは戸惑う。

そんな西野の視野を広げてくれたのは、
少し前からの西野の態度に落ち込む まい の言葉で、
真っ暗になった視界と反対に、彼の心に光明をもたらした。

これまでで一番長く同じ空間にいるのに、離反していく心、
そして、2人の心を再び結びつける、至らなかった自分への悔恨。

自分自身の焦燥が原因で、相手に気を遣わせていることに気づかなかった西野、
そして自分の態度が原因で、他の男性に近づき過ぎたことを知った まい。

交際を続けていく中で、いつも相手を心の真ん中に置かなければならないのに、
今回は双方とも少し心の焦点がずれてしまった。

反省する2人には成長が約束されている。
恋愛は大きな山を越えて、また2人の関係は心のバリアフリーに戻っていく…。

今回も対話のキッカケとして西野の腕を取る まい の姿が良いですね。
起こっている問題から目を逸らさずに、同じ高さの視線で対話をしようとする2人が素敵です。

そして物語を必要以上に重く、湿っぽくさせないペット的存在の西野の妹・秋なのでした…。


して今回のこの騒動で一番大事なのは、まい の兄で、西野の友人である雪紘の不在でしょう。

この2人の出会いを作ってくれたのも、告白のキッカケを作ってくれたのも雪紘。

これまでは西野の小さな悩みや、まい の西野には聞けないことなどを、
それとなく(面白がって?)解決してくれた雪紘は、この嵐の夜には同じ場所にはいなかった。

神のような采配を振るう存在がいなくても、
2人は独力で2人の こじれた関係を解きほぐすことが出来た。
これが2人の成長を表す最も象徴的な出来事だろう。

ピータン野郎」と罵られ続けた西野も、実は成長し、独りで羽ばたくことが出来たのだ。
ピータンから鳥が孵化するイメージは大変 怖いものがある)

…などと言いながら、19話ではすぐに今まで通り、西野は雪紘に指導されているのですが…。


いうことで、すっかり平常運転の19話ですが、19話はサイコーですね。

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この次のページで笑わない人がいるか、いや いない(反語)。笑いのネタバレは しません。

両親の勘違いが本当に楽しい。
そして、そこから引き起こされる騒動が また楽しい。
こういう すれ違いコントでは作者の笑いのセンスが存分に見られますね。

両親の誤解は西野が まい の部屋に入らないことが原因でもあった。

雪紘なら さもありなん、と納得する両親の勝手な思い込みと、
それとは反対に、どんな息子でも許容する寛大な心が両立している親も相当 変人だ。


この話で初めて語られますが、西野は まい の両親と対面済みなんですね。
そして両親との対面が語られるのが、大きな山だった18話の直後というのも意味があり気。

少女漫画で両親と顔合わせをする、それすなわち結婚説を提唱している私です。
それでなくとも別れる確率は相当低いと思われる この2人。
さらなるお墨付きをもらったという感じですかね。

そんな七瀬(ななせ・まい兄妹の苗字)家の騒動もあって、まいの部屋に入ろうと試みる西野だったが…。

実際に西野が まいの部屋に入る日は、将来の約束をした後かな。
部屋に入ることが性行為へのメタファーだったりするのか(考えすぎか)。

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好事魔多し。こっちは まいの部屋だし。誤解されていた方が居心地が良かったかも⁉

楽しい誤解による一騒動で早くもリセットされた まい と西野と雪紘の本心が筒抜けの関係性。

そして更には現実を思い知ったはずの加賀の気持ちまでリセット。
諦めの悪い子のアタックはまだまだ続きそうです。
すると自然に西野の 大声ツッコミ も炸裂し続けるのです…。

割と顔が似ている西野と加賀。
それぞれの学校では西野もモテない訳ではないが、加賀の方が圧倒的にモテている。

これは西野の優柔不断っぽさ が女子生徒たちに知れ渡っているせいなのか、
加賀のアニマル気質やクールさが女子生徒に受けているからなのか。


雪紘と西野兄妹との出会いを描いた過去編は、超長編化となったから描ける内容だろうか。
エピソードゼロ的な内容が続く。

雪紘のカリスマ性や彼の性格は、
他漫画だったら鼻につきそうな完璧男子だが、
本書では雪紘は飽くまで脇役(…でもないか)。

そして彼の狡猾さと残忍さは、全て笑いを生み出すためだから許せるのかもしれない…。

兄友 4 (花とゆめCOMICS)

兄友 4 (花とゆめCOMICS)

兄友 4 (花とゆめコミックス)

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