《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

主人公たちの秘められた素質が一週間で覚醒! ついでに主人公の父も。インフレ加速中。

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小村 あゆみ(こむら あゆみ)
ミックスベジタブル
第7巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★(6点)
 

「だめ!! お前は行っちゃダメ!!」 花柚の家族は、前沢さんと共にフランスへ行くのが夏休みの恒例行事。今年は、花柚の代わりになぜか隼人が行くことに!? このことから2人の関係と将来に少しずつ変化が…!!

簡潔完結感想文

  • 花柚の家族は夏休みにフランスに行くのが恒例行事。花柚の心情を察した隼人が代理で参加⁉
  • 隼人が帰国する8月23日は彼の誕生日。彼のために細工寿司を会得しようとする花柚に条件が。
  • フランスでのケーキ三昧で開花する隼人の才能。でもそれ以上に目立つ親父がいるから霞む…。

子の悟飯が一時は最強でも、結局 主役は悟空なんだよね(『ドラゴンボール』) の7巻。

『7巻』は全体を通じて登場人物たちの秘めたる才能が明らかになる巻となっています。

そして才能が発覚することで個人としては明るい未来が見えるが、
同時に恋愛関係では暗雲が立ち込める気配がする。

『5巻』で夢と勉学の両立の難しさを身をもって知った花柚(はなゆ)だが、
夢と恋愛の両立は果たして可能なのか、それは次巻、最終『8巻』のお話。


んな恋愛模様を暗示させる前哨戦のような展開として描かれるのが、
花柚家族の1週間フランス旅行のお話。
これによって正式な交際開始から まだ1か月強しか経過していない花柚と隼人(はやと)は一週間も離れ離れになる。

…と言っても、花柚は国内で寿司屋修行に励んだ1週間。
海の外に飛んでいったのは、なんと隼人の方であった!


者が現地取材に行ったというフランス編スタートです。

まずフランスに行くまでの紆余曲折で連載2回分消費しています。
以前、花柚をフランスに連れて行くと漏らした、花柚の実家のケーキ屋の従業員・前沢(まえざわ)。

フランス人の血が流れる彼の祖母が住むフランスに一週間滞在するのが一家の恒例行事。
だが、隼人は前沢の発言もあり、花柚をフランスに近づけたくない。
理詰めで花柚を旅行に連れて行こうとする前沢に対し、
隼人は焦ったあまり、前沢の話術にハマり、自分が花柚の代理としてフランス行きを名乗り出る。

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またもや嫌な大人・前沢の挑発に乗ってしまう隼人。思いのままに動いてくれます。

このフランス行きが2人の人生を変える分岐点となります。


は隼人がフランス行きを決めるまで、
2人の仲は決して上手くいっていなかった。

花柚は恋愛の好きとは別の嫉妬や焦燥といった感情を隼人に抱いていた。
同級生で、恋人で、ライバル。
同じ年だけど、一緒に働くことで隼人に施された英才教育と経験の差を痛感して、それが精神的苦痛になっていたのだ。

もしかしたら2人がこのまま同じ道を進んでいたら、
遅かれ早かれ将来的に2人の関係は行き詰まっていたという暗示だろう。

それが、このフランス行きの件で目詰まりが解消されたようになった。

理由は2つ。
1つは花柚が隼人の立候補が100%自分の身代わりだと思い込んでくれたから。
確かに花柚は『5巻』で1週間のテスト勉強期間も嫌がるほど寿司屋の仕事に執着していた。
だから同じく1週間の旅行で寿司屋から離れることを望んでいなかった。

そこへ隼人が身を挺して花柚の旅行を阻止してくれた。
そこに深い感謝を示し、2人に出来始めた距離は解消された。
隼人としては嫉妬に駆られての行動なので、結果オーライの花柚の誤解なんだけど…。

そして2つ目が隼人の将来の分岐点。
フランス行きで隼人は自分でも知らなかった才能を、
天才パティシエの花柚の父に見込まれ、彼に再びパティシエの道が開かれ始めるのだった…。
これもまた同じ道では息が詰まる関係になる2人を救った事象ですね。

こうしてみると前沢は、いたずらな運命のキューピッドという感じですね。
彼の策略にまんまとハマることが、隼人の幸運の鍵なのかもしれない。


沢は天使。当て馬じゃなかったんですね。

前沢 圭吾(まえざわ けいご)24歳、既婚。既婚⁉
そう、彼の花柚への思わせぶりな態度は全部、花柚一家のことを思ってのことだったのだ。
花柚に近づく男だからと嫉妬に駆られていた隼人の道化っぷりが滑稽ですね。

しかし登場人物たちの結婚年齢が早い作品だなぁ。
大人組では松坂(まつざか)先生が30歳前後で独身なぐらいか。
松坂先生の子供と花柚の子供が同級生という展開があってもおかしくはない。
気を付けてね、隼人。


内に残った花柚は、
隼人が帰国する日が彼の誕生日だということを知り、一層の修行に励む。

隼人の誕生日に寿司屋の技術を駆使した贈り物を思いついた花柚。
その技術の教授を願った隼人の父から出された条件は料理勝負。
明日のまかないで父親が納得するようなものが作れたら教えてくれるらしい。

またまた少年漫画のような展開ですね。
ただ、これによって花柚は誰かのために料理することの喜びを知る。

そして『7巻』の共通テーマのような「才能」が花柚にあることが判明する。
それが「素材の相性を見抜く力」であり、発想を体現できることが花柚の才能。
花柚父も自分から娘にしっかりと受け継がれた そんな娘の能力を一番見知っているからこそ、どうしても家業を継いで欲しかったのだろうと隼人父は推測するのだった。

花柚が自分の才能に気づくのはもっと先であって欲しいですね。
自分の才能に気づいた瞬間に、増長して溺れそうな気がします。


ランスの隼人も、とある人の才能に間近で触れる。

いつの間にかに花柚の父は天才パティシエに昇格しました。
少年漫画のようにインフレを起こしているなぁ。

そして前沢は、そんな花柚父をフランスに連れてきたい。
花柚の父が「本場でどれだけのものを吸収して どんな風に成長していくのか」見たいから。
花柚父、38歳でもまだまだ成長中です。

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長身・イケメン・(職業)エリート。少女漫画の主人公の設定が全部乗っている主人公、の父。

前沢曰く、花柚父は「いろんな国を一人でとび回って勉強して 色んな賞 獲って 20代そこそこで 店 任されて」
そして22歳前後でお見合いをして結婚して花柚の父になっている。

色々と計算が合わない気がする。というか修業期間が短すぎるような気もするが…。
設定がちゃんとあるのならば、年表にして見たいものですね。


人はずっと前沢に翻弄されてますね。
『7巻』における隼人の深刻な顔は全て前沢によって引き出されているのではないか。
そして、大体が隼人を動揺させるために前沢の仕掛けた罠で、
語弊のある言い回しがされているだけ。
まぁ、しょうがない。前述の通り、前沢は隼人にとって運命のキューピッドなんだから。


そしてラストは隼人の才能が発掘される。
その発端は、「格付けチェック」のように花柚父か前沢か、
どちらが作ったケーキか分からない状態で花柚父の方にしか手を出さないというもの。

それ以前にも「(ケーキが)どれも店によっても味が違うし…」という発言をしていたことから、
花柚の父に一緒にフランスに来ないかと誘われる。

「君(隼人)が一緒に来るなら オレはすぐにでも フランスに来るよ 一緒に来い」
とまで熱烈なスカウトを受ける隼人。
彼もまたパティシエになる能力を十分に備えた人だったのだ!

少年漫画なら隼人覚醒!ってな感じですね。

…でもさ、ケーキが店によって味が違うなんて誰でも言えるよね。
そして隼人が花柚父の方のケーキにしか手を付けないのって、完全なる見た目の審査だよね。

口をつけて 100%どちらのケーキか当てるのなら舌の感覚を褒めるべきだけど、
視覚情報から判断してるというのは、美的センスの問題なのではないだろうか。

個人の癖や造形の違いを瞬時に判断しているのも凄いことだが、フランスに連れて行くほどではない。

この場面、なんだか説得力がないんですよね。
これをキッカケに物語を畳みにきてる感じだけが伝わってきますね。

才能の問題だけでなく、隼人が本場の空気を感じ取って、
より一層パティシエをする志望するシーンが欲しかった。

何だか、大人組に言われるがまま渡仏して、将来を決めたようで味気ない。