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少女漫画と小説の感想ブログです

俺様より先に 好きだなんて 言わせねーよ。言わせないよう 唇ふさぐぞ、コラ。チュッ☆

悩殺ジャンキー 7 (花とゆめコミックス)
福山 リョウコ(ふくやま りょうこ)
悩殺ジャンキー(ノーサツジャンキー)
第07巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★(6点)
 

突然のキスに驚き、更に高熱にうかされながらも、改めてウミに気持ちを伝えたナカ。だがナカが「碧」のイメージモデル候補にあがっていることを知ったウミは、仕事に対するプライドとナカへの想いの板ばさみに悩む…。「boom!」の社長に仕事とナカのどちらが大切かと問われたウミは…!?

簡潔完結感想文

  • 新年の幕開けはキスと共に。自分の決めた段取りでしか動けない柔軟性に欠ける海。
  • ウミ、仕事辞めるってよ、を止めるってよ。海を奮起させるため皆あの手この手。
  • 新キャラ投入。出始めは悪ぶるのが通例です。バレていい人には簡単にバレる秘密。

新年が始まり、信念まで揺らぎ始める 7巻。

作中で新年が明ける回の本誌の掲載は1月号。
完全に狙ったシンクロ感でしょう。
明けましておめでとうございます。


さて、新年は明けた瞬間にナカの口は塞がれる。
なぜなら、海が一番言われたくない言葉をナカが発しようとしたから。
自分から伝えたい、でも今は自分に伝える資格はない(と勝手に思い込んでいる)。
海としては、この俺が先に告白されるなんて格好悪いことになってたまるかよ、ってな感じでしょうか。

そんな海の誓約なんて知らないナカは翻弄されるだけなのが不憫です。
キスの意味も、その後の海の圧力と自身の体調不良で問いただせないまま。
海が俺様なので彼のペースに持ち込めるのは便利なところですね。
多少、不自然な展開でも許されるところがあります。

まぁ海様素敵となるか、海様 末っ子っぽい身勝手さだなぁ、と思うか。
私は後者ですね。
いい場面だとは思いますが、ナカの気持ちに配慮しなさ過ぎて、海に独善性を感じました。
体調不良も、いつもは言えないことや出来ないことが出来る便利な状態。
そして早々に両想いにさせない、というのは作者の意志でもあります。


作者は色々な制約を設けることで、主人公たちに葛藤を生み出すことに成功している。

海がウミであり、ナカにとって戦友でライバルで好きな人。
色々な立場があるからこそ、簡単に進まない公私どちらの出来事がある。

ちゃんとその時点の登場人物の気持ちに立てば、容易に動けないことは分かるのだが、
制約につぐ制約で、この頃は爽快感まで失われているように思う。
余りにもウミナカの内面的な葛藤が多くて物語も遅々として進んでいない気がしてしまう。


そして、海・ナカの立場を変えての反復も功罪が多い。

今回のように高熱を出した相手の寝込みを襲う様子も、以前にもその逆で描かれていた。

海が高熱で倒れれば、ナカが看病する。
今回は、ナカが倒れたから、海が寄り添う。

以前は海が高熱でうなされながら、堤からのキスを消そうとナカにキス未遂した。
そして、その行動を忘れていたことでナカを傷つけていた。

今回、ナカは熱で朦朧としながら告白しようとする。
だが、その直前に海にブランド「碧」の選考にナカが進んでいることが露見して傷つける。
「碧」の仕事こそウミがやりたい仕事で、
この仕事に選ばれたら海はナカに告白しようと思っていたのだ。

高熱時にお互い無意識で傷つけている。
特に海はナカが寝ていないと本音や優しさが出せない仕様の人なので、
ナカが意識をなくすように熱や疲労で倒れてもらわないと、胸キュン場面が創出できない。

告白や両想いまでに多くのハードルを設けているのでしょうが、
ちょっと決め手に欠けるラリーは飽きてきました。


ナカの気持ちを知りながらも無視し続け、それが彼女を傷つけていることを知っている海は、
所属事務所の社長との口論の内、仕事を辞めると言い出す。

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同業者の仲間であり、ライバルであり、好きな人。仕事か あの子か、と聞かれたら…。

…んー、どちらも手に入れると言ったり、ナカのためになら仕事を辞められると言ったり…。
好きな人が出来た時の強さと弱さの両面を知った海の気持ちも十分に分かる。
でも信念が揺れるというのは気持ちがいいものではありません。
ってか、その問答も何回目だという感じです。


海が行き詰まった時に助言をするのは決まって堤。
「鬼監督」らしく厳しい言葉は使うものの、
的確に海のやる気を刺激することが出来る堤。
なぜなら海の行く道は堤がもう通った道でもあるから…。


一方、ナカも「碧」のデザイナーで千洋の母の人となりを知って「碧」のモデルになることを強く望む。
色々変化してきた二人の関係ですが、遂に肩を並べるライバルになりました。
モデルとしても、異性としてもお互いを認め始めるというスタートラインの完成。
先はまだまだ長そうですね…。

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本気で好きな人と、本気で好きな仕事で、本気の勝負を始めよう。

そして『7巻』から『悩殺・八犬伝』、6人目7人目が登場。
花楓(かえで)と苺(いちご)の双子の兄妹。
初登場時こそ、堤などと同じ高校生組の17歳設定だが、
のちにナカたちと同じ中学3年生であることが判明した2人。
八犬伝』の中では初めての同じ年の仲間になりました。

そして例によって例のごとく、『八犬伝』の人たちは初登場時は印象悪いです(美羽(みはね)以外)。
オーディションも、更には服作りもテキトーだという苺たち。
そんな彼らにナカは怒りをぶつける。
苺たちにも理由があるにしろ、かなり印象の悪い登場シーンです。

ただ、その一悶着の中で2人の人となりを知らせるという効果もありました。

そしてその過程の中で、ウミの秘密もバレます。簡単に。
八犬伝』の仲間たちですからね、秘密は共有しないと。
一度、衝突させてから仲良くなる展開は本当に少年漫画的ですね。
残る同志はあと一人。


一方、高校生組に巻き起こっている三角関係の嵐。
美羽に恋愛感情はないと千洋(ちひろ)に伝える堤。
堤の行動は謎ばかりですね。
ナカ一本に絞るために、退路を断っているのでしょうか。
ナカへの気持ちが本気とは思えない私には、どうにも遠回りしているだけの気がします。

そして美羽がずっと好きな千洋に明るい未来が待っている、とは思えず、
堤は無駄に罪を重ねていっているだけのように思う。
中途半端に優しい堤の言動で千洋の傷が深くなるだけだ。