《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

芽吹きました。私の片岡先輩への思いと かけまして 先輩のジェントルな振る舞いと解く その心は隙・好きがないでしょう。

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南波 あつこ(なんば あつこ)
スプラウト
第2巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★☆(5点)
 

実紅(みく)の家に、次々と現れる下宿人たち。ペースを乱されっぱなしの実紅は草平(そうへい)に苛立ちをぶつけてしまう。順調だった片岡さんとのつきあいも、どうしてかギクシャクしはじめて……。だれもが手探りで歩いてる若葉の季節のラブストーリー。

簡潔完結感想文

  • 下宿人1期生全員集合。二面性はあるけれど下宿人たちはみんな優しくて…。
  • 好きな気持ちと好きじゃない気持ち、2つの自分の気持ちに気付いてしまい…。
  • 未来の展望がある訳じゃないけれど、真っ先に片岡との別れを選択する実紅。


思い立ったが吉日、ときめく or ときめかない の条件で心の掃除をする2巻。

自分の胸に降ってわいた思いをすぐに形にするのは主人公一家の性分なのかもしれませんね。

主人公の父は下宿をやろうと思いはじめ、会社を早期退職して早々に行動に移る。
間もなく下宿人たちは集まり、こうして彼のセカンドライフが始まった。

この『2巻』で下宿1期生全員集合です。
しかし3人で満室って、収入面が心配になる。
部屋数としてはもうちょっとありそうな気もしますが、
これ以上増えると家主と作品の手に余ってしまうのかもしれません。

会社員時代との収入の落差に自分の選択を後悔しない日が来なければいいのですが…。

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2巻で全員集合したスプラウトな人々。
下宿人たちの共通点は、意外な一面、でしょうか。

第1入居者の草平(そうへい)は直前の住まいの火事で残ったのは自分と僅かな物だけという辛い過去を持つ。
…が、それは一人暮らし していたのアパートのお話。
元々、家庭の都合で離れて暮らしており、決して天涯孤独の身ではなかった。

女子大生の清佳(きよか)を主人公・実紅(みく)が初めて姿を見た際には選挙ポスターに画鋲を刺していたが、
下宿先に来てからは明るく優しい女性で、二面性がある訳ではなさそう。
ただ文字通り、その顔には二面性があったみたい。

大学院生の滝川(たきがわ)はヲタク。
恋愛シミュレーションゲームのキャラクタを溺愛し、プレイ中に滂沱の涙を流す。

清佳が公職選挙法違反で逮捕されるよりも、この人が未成年者に手を出して逮捕される日の方が近いだろう…。


そして実紅に降ってわいたのは、草平への恋心。

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渦巻く醜い心。その一方で みゆ を庇うアンビバレントな心。
なぜ、自分が草平の恋人・みゆ に苛立つのか。
なぜ、草平を目で追ってしまうのか、その正体に実紅は気づく。


気づいてしまったら実紅の行動は早い。血筋かもしれない。
あなたのことはそれほど』どころか、好きという感情が自分の中に一切ないことに気づく実紅。
なので、ときめかない と思った人との関係は清算しなければなりません。

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気づかなければ問題のない人生だったはずが…。ここ好きなページです。
恋のライバルは強敵で、その恋が実る可能性は低いにもかかわらず、交際と片想いを同時進行にしない実紅には好感が持てますね。

片岡先輩に悪いと思ったのか、それとも自分がこれ以上関係したくないのか。

本当の理由を言わない不誠実さ からすると後者のような気がしますね。

またその別れの場面、実紅の方は別れを決意して緊張しているのに、
別れ話の前にヘラヘラとした笑顔で「いただきます」と言ったり、ファミレスのバイトの所作を褒める雑談しているのに違和感があります。
片岡の方も何かを予感している描写があるので、もっと緊迫した雰囲気を出して欲しかった。


一方で、順風満帆な人生だけあって、実紅は素直なところもある。
序盤から思い通りにいかないことが最近多くて反抗期みたいな態度になってもいるけど、
草平の不幸が勘違いだと思って涙ぐめる優しさを併せ持つ。

また、みゆ と関わるようになって彼女への暴言も見過ごせない。
例えそれが、自分の好きな人の彼女であっても。
決して人を思い遣れない人ではないのです。

そんな実紅の内心に、敏い草平は もう気付いているのかな…。


てっきり、「デストロイヤー」のみゆ が実紅・片岡の間に入ってきて、
二人の仲がこじれるのかと思っていたが、みゆは今のところ無害。

そう無害なんです。
ただ、草平の彼女というだけ。
それが憎いのは実紅側の言い分だ。
噂と違って、悪い子じゃないということが実紅を苦しめるのだろうか。

ずっと言葉が強くて、性格がキツいのは実紅の方だ。
いい子ぶって、本心隠しているのも実紅なのだ。

こんな自分の中の暗い感情、惨めな立場、それらは全部、
急速に育つ自分の恋心に気づかなければ生まれなかったはずなのに…。

今巻で設定の部分は終わり。
ここからが実紅にとっても作品にとっても勝負といったところでしょうか。


ここまででも登場人物の内面に肉付きがないかなぁ、と物足りなさを感じる。
設定以上の個々人の内面が見えてくるエピソードが無さすぎる。
ずっと設定という名の下絵をなぞってる感じがするのだ。

草平は「いつも笑顔で人なつっこい」が「逆にガードが固い」。
作者が設定資料で考えたことを、そのまま登場人物に言わせているような部分が気になる。
ここを一つの具体的なエピソードで読ませないのは手抜きに思う。

顔のアップばかりが多くて、会話や文字量が少ないのは、
読者に人物の心情を想像してという作者の意図か、
それとも連載にあたっての作者側の省エネ技術か。
背景などの描き込みが少なくて済むし、内容が薄くてもページが埋まっていく。

また、絵がちょっと変じゃないかと思う箇所が幾つか目についた。
正面・横・斜め以外の顔の描写が怪しい。
そして、ところどころ頭身がおかしくなっている。
特に片岡先輩、顔が小さすぎて、別れ話の場面、そこばかり気になっちゃいました。


恋愛に関しても、もっとエピソードが欲しい。
実紅が草平に惹かれる点とかきっかけとか。
じゃないと顔が好みの人がいました。
本能で動きました。
今の男はニセモノなので切り捨てました。

と、このままでは実紅が自分に正直すぎる快楽主義者にしか思えなくなってしまう。