《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

巻末で好きな人が私にひどい仕打ちをするのが恒例です。ぴえん。

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水瀬 藍(みなせ あい)
なみだうさぎ ~制服の片想い~(  ~せいふくのかたおもい~)
第3巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★☆(5点)
 

「つき合ってる子がいるんだ」
ドキドキの告白だったのに桃花大ショック!でも「好き」って気持ちを隠せばそばにいられる…?
鳴海への想いを封印して友達に戻る決心をする桃花。
そんな桃花を励まそうと快里が人気モデルの萌愛に会わせてくれた!
そこで萌愛のカレシが“鳴海空大”だと知った桃花は…!?

簡潔完結感想文

  • 恋人にはなれなくても友達としてならキミのとなりにいられますか?
  • 人気モデルが鳴海の恋人⁉「恋が迷子になっていく」から桃花も迷走。
  • 衝撃のラスト2ページ。次巻も買ってね、という鳴海からのサプライズ。


鳴海(なるみ)の行動は明らかに単行本化を意識している!と思う、二度あることは三度ある3巻。


桃花(ももか)自身も読者だって成功率の高いと思っていた鳴海への告白だったが、結果はまさかの「つき合ってる子がいるんだ ごめん」という青天の霹靂の返答。
これはその数ページ前にしか伏線がなかったので読者としても驚いた。
『1巻』ラストの引っ越し詐欺に続いて、『2巻』ラストでは彼女いません詐欺、そして桃花の心を奪い続ける泥棒の今巻での詐欺は…。


今巻ではずっと泣いてばかりの桃花ちゃん。
桃花のこういう悲劇のヒロイン的な言動はあまり好きではないが、今回ばかりは桃花に同情する。
あれだけ期待させておいて彼女の存在を明かしてから桃花を振る、イケメン化して調子に乗っている(ような気がする)鳴海に腹が立って仕方がない。
友人・快里(かいり)ちゃんのアドバイスもあって、好きという気持ちを持ち続けながら鳴海と接しようと努力する桃花。

そして雨の降る下校時に傘を持たなそうな鳴海に勇気を出して声を掛ける。
そして桃花は鳴海に告白を「なかったことにして…友達に戻りたい…」と要望する。
自分の想いを封印しても鳴海のとなりにいたいという桃花の痛々しい決意。
この場面では、それだけ強い想いがあるんだと知って(初めて)桃花に好感を持ちましたね。

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気まずさで無視されるぐらいなら友達の方がマシ。
ただ、恋のためなら、鳴海をもっと知るためなら、他の女子生徒の告白を覗き見するし、鳴海のデートも平気でストークするタイプなのが怖い。
偶然見てショックを受けるんじゃないんです。デートだと知りながら尾行して改めてショックを受けるんです。
強いんだか弱いんだか、純粋なのか狂気なのか、桃花は猪突猛進タイプ。


鳴海がデートする相手、すなわちつき合っている人は、人気ファッション誌のモデル・萌愛(もあ)だった。
読モとして活動しようという友人・快里ちゃんに誘われて写真撮影のスタジオを訪問した際に萌愛に話しかけられ、萌愛の彼が鳴海だと判明する。
「一度でいいからこんな女の子になってみたい」と思うような「かわいくって細」い「みんなの憧れ」の萌愛が彼女だと知り、再び泣き崩れる桃花だった…。

鳴海側には設定が盛られますね。雑誌撮影時の萌愛ちゃんの髪型ぐらい盛り盛りです。
鳴海の彼女というだけで桃花には羨ましいほどなのに、その上、萌愛はただの彼女ではない。
雑誌の表紙を飾るようなプロのモデルで、一般人の桃花よりも格上の存在として描かれている。

更には鳴海とは幼なじみで、しかも萌愛の両親の死に立ち会った同士で、幼い鳴海が「ずっと萌愛を守ってあげる」と誓ったという深い関係。
桃花が太刀打ちできない設定をこれでもかと並べ立てますね。

束の間の引っ越しといい、芸能人の登場、人の死にまつわる思い出などなど、ちょっと過剰な装飾で作品が下品に見えてきます。
鳴海側の事情からじゃなくても、もっと桃花の想いの純度を上げる手法はあったのではないかなと思ってしまう。


今巻で初登場の萌愛には結構な独占欲や悪意が描かれています。
もしかしたら幼少期に親を目の前で亡くしたトラウマがあるから精神的に成長しないのかもしれません。
だからそんな子供時代の連続として鳴海の存在がある。
でも恋人というよりも萌愛の依存かもしれませんね。
だからこそ萌愛と対比して精神的に純粋で善なる存在として桃花が浮かび上がるのでしょう。


鳴海の妹の発熱を起因として、鳴海宅に上がり込むことになった桃花。
桃花は妹・夕凪(ゆうなぎ)ちゃんを足掛かりに外堀を埋めていく。策士かもしれません。
そして鳴海と桃花が一つのベッドの上で笑い合っているところに、萌愛と鉢合わせする(語弊あり)。
修羅場ですね。でも萌愛はどうやって家に入ったんだろう。無断で?

気を利かせた桃花が辞去したが、夕凪ちゃんは萌愛には懐かない様子。
これも鳴海家に好かれる桃花の特別性を描き出しているのかな。
確かに萌愛には計算高さはあって、桃花は天然の人たらしなのかもしれないが、こうも露骨だと萌愛が可哀想になってくるなぁ。

そして存在だけは明示された鳴海の謎のお兄さん。
最後まで登場しませんでしたね。何の必要性があったのでしょうか。
まさか桃花に惚れる男役としての予備だったのでしょうか…?


後半はクラスを代表するイケメンの割には影が薄かった鳴海の親友・天野くんが活躍と暗躍を企てます。
煮え切らない鳴海の態度に憤って、桃花と天野の偽装交際を始めて動揺した鳴海から本心を炙り出そうという計画を桃花に提案する。
好きでもない人と一度交際してみる少女漫画のあるある展開ですね、と辟易していたところに、桃花の拒絶があって驚いた。
自分の気持ちを優先してまで鳴海の気持ちを試すなんて出来ない、と意思を示す桃花には好感度上がりました。

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正面対決を避け恋を迷走させる桃花
…が、直後にまたあるある展開に戻るのが悲しいところ。
萌愛に鳴海との関係性を疑われ、その追及をかわすために天野の提案した計画通りに動いてしまう桃花。
この行動によって色々とこじれた関係性に「恋が迷子になっていく」とまたヒロイン的に悩む桃花だけれど、これは自業自得かなと思ってしまう。

天野も自分の心を偽ってばかりの鳴海を「もう殴りたくなる」といって結果的に後日、本当に殴ってるし、もう登場人物の言動が迷子です。
友情からの行動かと思っていた天野くんも結局、桃花に好意を伝える。
好きな人には好きと言ってもらえないけれど、告白はもう2人目。まだまだ増えまっせー。
桃花を天然として描いているけれど、実は魔性の女っぽいですね。
でも愛されちゃうんだから仕方がないんです。


友人・快里ちゃんはよく名言を言ってますね。
作者の人生訓という感じが伝わってくる。
これはもう一人の友人の眼鏡っ子に言わせればいいのにと思っている。
快里ちゃんは快活で読モというキャラがあるのだから、もう一方に思慮深いキャラを与えればよかったのでは?

そんな快里ちゃんは阿久津(あくつ)くんと付き合い始めた様子。
阿久津くんが『前巻』で桃花に告白した件は無かったことに…。そして桃花に気まずさはないのか?