《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

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遠投 快投 完投 継投 失投 続投 暴投 力投、いさり 恋のキャッチボールなんだぞ。

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星上くんはどうかしている(3) (KC デザート)

星上くんはどうかしている(3) (KC デザート)

アサダ ニッキ
星上くんはどうかしている(ほしがみくんはどうかしている)
第3巻評価:★★★★(8点)
  総合評価:★★★★(8点)
 

「似てない双子」と有名な2人の星上くん。兄・望はぼっちで、弟・求は学校の人気者。正反対な2人と次第に親しくなっていく三毛野いさりだけど、夏休み最後の日、望に好きだと伝えてしまう。望の返事は? そして新学期、クラスの女リーダーの吾妻が孤立していて……!? 八方美人女子×似てない双子のトライアングルラブコメ、胸きゅん満載の第3巻!

簡潔完結感想文

  • 告白からの再告白。求の予言のような言葉に勇気を貰って今度こそ誤魔化さず。
  • 体育祭。校内徒競走の勝者には望への挑戦権が付与。性格の悪い女たちの争い。
  • あちらの気持ちが分からない時は、こちらに相談。だって気持ちは一つだから…。


いくつもの恋が並走し始める3巻。この混戦から抜け出すのに必要なのは姑息さと性格の悪さ⁉

『1巻』で出てきましたけど、星座の双子座になった双子は片方が神で、片方が人間らしい。
最初は誰もが、学校の王子様こと求(もとむ)こそが天にまします神だと思ったけれど、どうやらそれは逆で「ダメ上」と揶揄された望(のぞむ)こそが実は神様なのかもしれないと思い始めてくる。
天におわします、もしくは下界に降りてきたばかりの神には世俗の風習や感情を未だ理解できないご様子。
ただギリシャ神話の神様は確か結構、奔放な色恋をするはずなので今後の神様の動向は要注意だ。


『前巻』のラストで思い余って、その神様に告白した いさり。
だが望からの返事は芳しくなく、旗色が悪くなったとみるや否や、その発言を冗談にしてしまった いさり。
この変わり身は空気の読める いさりだから納得できるような、もっと心の強い所を見せて欲しかったような気がした。

が、いさりは望への告白が失敗に終わったことを報告した求に予言のような言葉をもらう。
「望は いつか いさりを好きになると思う」
これは双子ならではの確証なのか、それでも勇気を貰った いさりは望に再告白する。
2つの告白は間をおかずされており、その再告白こそ彼女の成長した一歩な気がする。
自分の気持ちを誠実に話す望の姿勢を見て、卑怯に立ち回ったりせずに例え叶わなくても本心を伝える。


まぁ、ただ後半の吾妻(あづま)との対決の場面では色々と姑息ですけどね、いさり。
いさりの場合、双子ならぬ三つ子の魂百までですかね(意味が違う)。
反・吾妻女子たちに吾妻に取り入った態度を指摘された時も同じだが、自分の汚点も含めて自分と向き合ってこそ青春です。


話が前後しましたが、なんとあのイジメの主犯格であった吾妻が望に恋していることが判明。
不器用な思いを持った人がまたここにも一人いましたね、
これ以降の彼女はそれまでと同じ言動をしていても、とても可愛く見えるから不思議。
望との出会いは吾妻の方が早く、好きになった期間も吾妻の方が長いんですね。
吾妻が主人公の漫画も絶対に面白かったはず。ツンデレx天然。私の気持ちに早く気づきなさいよ!


私は いさりと吾妻、いさりと求の丁々発止の会話のテンポが好きですね。
告白の場面でも喧嘩の場面でもテンポがいいから作品が重くならない。
この軽そうで重い、重くなりそうなところを軽く描いているこの作品が私は大好きです。

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物語に一定量存在する不和がついに星上兄弟にも。
それでも不穏な空気は流れ、『前巻』からその様相を呈していましたが、これまで思いの重さの不均衡はあったものの(重すぎる求)、仲良く10年ぶりの双子生活を楽しんでいた星上兄弟にも亀裂が入り始める。
というのも、求はもとより望も段々と自分の中に芽生えてきた気持ちに気づき始めて…。

そう、登場人物たちの恋模様は皆テンポが悪いんですよね。
皆ちょっとずつテンポがズレてるんですよね。
なので現時点では最終的に誰が両想いになっても驚かないかも。

そして、それぐらい双子それぞれの長所がちゃんと描かれている。

いさりもお弁当箱も突き落とすような態度を取った後で、寄り添ってくれるのが求。
どこまでも大らかで朗らかな、今やクラスの人気者の望
凄い剣幕で反論してきそうなところでしてこないのが求。
いさりを抱きしめてくれて胸を高鳴らせていたのが望。
困っている時にいつの間にか隣に現れてくれるのが求。
自分の取った言動に戸惑ったのか本格的にどうかしてしまうのが望。
やっぱり彼もまた神様ではなかったのかもしれませんね。
星上くんたちは双子座のただの双子だ。


終盤、いさりとのキャッチボール中に放った求の告白は直球じゃなくて変化球なんだけど求によく合った方法で、これはこれで思わず一瞬息が止まる。
エピソードとして挿まれるおもちゃの話も効果的かつ暗示的で、果たして望の神のような優しさは恋愛においても通用するのか…。

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君たちは 似てない双子 なんかじゃないッ!
本当に星上兄弟のどちらを選べと言われても難しいですよね(言われてないけど)。
弱そうに見えて強い人、強そうに見えて実は脆い人。
恋もまだ分かっていない純情な望の赤面も好きだけど、結局は優しい求にも抗えない魅力がある。
そして人として放っておけないのも実は求だ。
望は結構誰とでも上手くやっていくのではないか。
それこそ恋愛をモノみたいに扱ってはいけないが、次に自分なりのテンポで好きになった人ともちゃんと幸せになれる気がする。
まぁ、そんな望だから誰を選ぶのかが分からなくて結末に向けて緊張感が維持されるのですが…。